カシオの電子ピアノ「Privia」(プリビア)のアンバサダーを務めるピアニストの角野隼斗さんと、同じくグローバルアンバサダーのシンガーソングライター、ホセ・ジェイムズさんのトークライブが開催されました。2人の出会いや、Privia最上位モデル「PX-S7000」の魅力が存分に語られ、豊かな表現力に応えるPX-S7000は音楽や音作りにしっかり向き合う「音楽の沼」に連れて行ってくれるかも!
即興演奏も披露されたトークライブ
今回取材したトークライブは、「José James featuring Hayato Sumino supported by CASIO」の前に、関係者向けにクローズドで行われたものです。幸運にも取材する機会に恵まれました。
角野隼斗さんとホセ・ジェイムズさんが初めて共演したのは2023年4月のこと。米国カリフォルニア州アナハイムで開催された楽器見本市「NAMM Show 2023」のCASIOブースでセッション。その様子は生配信も実現し、日本でも話題になったそうです。
初めて会ったときのお互いの印象について、角野さんは「共演できると聞いたときはとてもうれしかったです。最初はちょっと緊張していたと思うんですが、プレイしてみたら、お互いのバイブが合うというか、2人はバックグラウンドが違うはずなんだけれど、それがもう本当に自分にとって心地よく交ざり合う感覚と、それでいてとても刺激的な感覚があって、とても楽しかったです」と。
一方、ホセさんは「最初はシャイな感じでしたが、隼斗さんがピアノを弾きはじめた瞬間に才能がスパークして感動しました。音楽は通訳のいらない世界共通言語だから、2人の魂が共鳴するようなセッションができてすごくうれしかった」とにこやかに振り返りました。
2024年に誕生20周年を迎える「Privia」
2人がアンバサダーを務めるPriviaシリーズは2003年に登場。さかのぼると、カシオの電子楽器は「すべての人に音楽を奏でる喜びを」という思いから1980年にスタートしました。Priviaは、自分で楽しむピアノ、自分の部屋に置けるピアノという意味の「Private Piano(プライベートピアノ)」から作られた造語です。
発売以来、Priviaシリーズは楽器の本質的な機能やデザイン面が進化を続けています。2022年9月発売のPX-S7000は、部屋の真ん中に置いても周りと調和する全周デザインや、カシオの電子ピアノとして最新のサウンドテクノロジー、鍵盤の質感、タッチ感などが特徴です。
プライベートでも長くPriviaシリーズを愛用しているという角野さんは、デザインのよさに加えて、「こんなに小さくて軽いのに、音が本格的でタッチも上質。弾いていてすごく楽しい。自分がとても楽しめる楽器」といいます。
ホセさんもデザインを評価。ハーモニアスマスタードが、(住んでいる)ロサンゼルスの天気にぴったりだとして、「真のライフスタイルピアノ」と力強く語ります。サウンドクオリティについても「すべてのパフォーマンスが高いレベルで共存している」と語りました。
音色の多さにも触れ、「クリエイティブでいるために、こういった楽器を身近に置くことは必要不可欠」だと。自宅では窓際に置いて景色を見ながら弾いたり、ポータブル性を生かして別の場所でも演奏を楽しんだりしているそうです。
筆者もPX-S7000をお借りしたことがあります。透明なアクリルの譜面立て、ペダルユニット一体型のスタンド、ファブリック素材のスピーカー、そしてキーボードカバーまでこだわったデザインが素敵。遊びに来た友人にも好評でした。
部屋の壁際に置いても、真ん中に置いても、スタンドを使わずテーブルの上に置いても、ベストな音響を楽しめるところもポイント。鍵盤は樹脂と木材を組み合わせたものを採用しており、重量感のあるタッチでした。自分の打鍵の強さに対する音の反応も期待通りの仕上がりだと思いました。
グランドピアノを基にした音は、弾いたときに感じる弦の振動なども混ざった美しい響き。また、電子楽器やエレクトリックピアノなど、多彩な音色を楽しめるのは電子ピアノならではです。
さて、今回のトークライブでは、2人の即興演奏も披露されました。ホセさんの歌声はとても豊か。フレージングや音色が多彩で、繊細に歌声を紡ぐかと思えば、力強く歌い上げ、「ボーカルジャズの歴史を塗り替えた」といわれるのも納得です。
その声とセッションするピアノもすごかった……! 聴く人の感情を揺さぶるボーカルと、遊び心のある電子ピアノの音が溶け合った演奏とでもいいましょうか。
即興演奏に使った設定を後から教えていただいたのですが、「メロディーラインのEPは、NEO Soul EPとなります。スプリット機能を使い、ベース音として使ってたのは、Super Saw Ld1となります」とのこと。スプリット機能とは、高音域と低音域(鍵盤の右半分と左半分)に異なる音色を設定して演奏する機能です。
角野さんは、メロディーをNo.043、ベースラインをSYNTH LEADの242番「Super Saw LEAD 1」に設定し、1台の楽器で2つの音を組み合わせ、ペダルで響きを変えるなどしていました。なお、カシオのWebサイトには各音色のサンプルが用意されているので、ぜひ一通り聞いてみてください。
PX-S7000では、グランドピアノをはじめとするアコースティック楽器、電子楽器、エレクトリックピアノなど多彩な音色を楽しめます。一口に「グランドピアノ」といっても、9種類もあります。筆者はなかなか音を使いこなせず、いつも気に入った音で弾いていました(それでも楽しい!)。今回のような演奏を聴くと、多彩な音色を盛り込む必要が分かりますし、演奏意欲が高まります。
PX-S7000の楽器としての魅力についても後から質問すると、ホセさんは「サウンドに驚かされた。温かみがあって生き生きしている。鍵盤も弾きやすくてタッチコントロールも最高」とし、角野さんは「ピアノの弦が複雑に響き合う感じをすごく高いレベルで再現してくれている。感情表現がそのまま音に乗ってくれる。生きた音という感じがする」とコメント。
デザインの印象を先に語られることが多いPX-S7000ですが、アーティストの表現力についてくるタフな楽器でもあります。じっくりと音楽に向き合いたいとき、生活の中でもっと音楽との親密性を深めたいとき、相棒となる存在かもしれませんね。