◆ 理想像は「トリプルスリーに近い選手」
2023年、メジャーリーグでは新ルール「ピッチクロック」導入の影響もあり、盗塁数が前年比の1.4倍と激増。この恩恵もあり、ブレーブスのロナルド・アクーニャJr.外野手(26)はメジャー史上初の「40本塁打&70盗塁」を達成した。マリナーズのフリオ・ロドリゲス外野手(22)は32本塁打&37盗塁をマークするなど、アクーニャJr.以外の「30本塁打&30盗塁」超え達成者は計3名。パワーとスピードを兼ね備えたニュースターが次々出現した。一方、プロ野球では2ケタ本塁打&2ケタ盗塁をクリア選手したはわずか2人。12本塁打&26盗塁の西武・外崎修汰内野手(31)と、もうひとりは10本塁打&13盗塁をマークした楽天・小郷裕哉外野手(27)だ。
小郷はプロ5年目の2023年、自己最多の120試合に出場。そのうち半分以上の62試合で3番に入った。規定打席にあと2打席届かなかったものの、ほぼ右翼のレギュラーとして打率.262、10本塁打、49打点、13盗塁、OPS.716をマーク。打点数はチーム2位、本塁打数は同3位、盗塁数は同4位だった。
悔しさを力に変えたシーズン。6月8日の阪神戦(楽天モバイル)では自らの失策で敗戦濃厚の状況に追い込まれたが、9回二死から1歳年上の小深田大翔が起死回生の逆転サヨナラ3ランを放ち号泣。試合後「今度は自分が他の選手を助けられるような選手になりたい」と話し、さっそく6月17日の巨人戦(東京ドーム)で2試合連発となる決勝2ランを放って見せた。
今オフは2250万円増の3100万円で契約更改(金額は推定)。来季に向け「あと2打席で規定打席に到達できなかったところは悔しい。その悔しさをエネルギーに変えてやっていきたいです」と意気込んだ。
理想像は「トリプルスリーに近い選手」。その可能性を十分に秘めている。同じくパワーとスピードを兼ね備えた同期入団の辰己涼介らと切磋琢磨しながら、新生・今江楽天の象徴と言われるような活躍に期待したい。