製品評価技術基盤機構(NITE)は12月22日、ここ3年で除雪機による事故が増加しているとして、注意を呼び掛けた。

  • 進行方向の死角からこどもがソリで滑ってくる様子(イメージ)

2013年度から2022年度までの10年間にNITEに通知された製品事故情報では、除雪機によりけがを負った事故は38件だった。このうち21件が2020年度から2022年度までの間に発生したもので、ここ3年で事故発生件数が多くなっていることが判明した。また、除雪機の事故38件のうち25件が死亡事故となっており、その多く(25件中21件)が、使用者の誤使用・不注意によるものだったという。

  • 年度ごとの事故発生件数

  • 被害状況別の事故発生件数

  • 原因区分別の事故発生件数

死亡事故は「除雪機の下敷きになった」、「除雪機に巻き込まれた」の2つの事象で多く発生し、重傷事故は「エンジンを掛けたままの除雪機内部に手を入れた」事象で多く発生している。また、38件中26件が安全機能を無効化したり、使わなかったりして事故に至っている。

  • 事故事象別の事故発生件数

誤使用・不注意の背景には、「ちょっとだけなら大丈夫」という使用者の除雪機に対する油断や過信が潜んでいる。「レバーを握り続けるのが大変だから……」「少しの間なら停止しなくても……」などと安全機能を無効化したり、エンジンを掛けたまま除雪機から離れたりして、事故に至るケースも。また、2022年には屋内でエンジンを掛けたままにしている際に一酸化炭素中毒で死亡する事故も発生しているため、除雪機の屋内での移動時や保管時にも注意が必要だという。

  • 換気されていない屋内でエンジンを掛けたままにして一酸化炭素中毒になった様子(イメージ)

除雪機の気を付けるポイントとして、「安全機能を無効化しない」「エンジンを掛けたまま離れない」「人が近くにいる時は使用しない」「障害物に衝突しないよう注意する」「雪詰まりを取り除く際はエンジンを切り、雪かき棒を使用する」「屋内や換気の悪い場所ではエンジンを掛けたままにしない」といったことが大切だという。

  • 安全機能を無効化する様子(イメージ)

  • 死角に人がいないか確認する様子(イメージ)

近年は温暖化の影響で、全体の降雪量が減る一方で、湿った重たい雪が一度で大量に積雪する(どか雪の)傾向があり、今冬も除雪機の稼働が増えることが予想される。長時間の除雪作業は大変だが、油断や過信は命取りとなる。除雪機は注意事項をしっかり守って、正しく使うようNITEは呼び掛けている。

※全ての写真は、実際の事故とは関係ありません。