南京虫(ナンキンムシ)とも呼ばれるトコジラミが、近年国内外で猛威を振るっています。
そのかゆみは睡眠障害や皮膚トラブルを引き起こし、さらに感染症の拡散リスクも潜む危険があります。
この記事では、最新の統計データから読み解くトコジラミの被害の実態と、私たちの日常生活に及ぼす影響について解説します。
最新の相談件数で見るトコジラミ被害の深刻化
トコジラミに関する相談件数は、2023年11月までに東京で306件、大阪で307件と、たった2都市のみで2022年度の683件に迫っています。
トコジラミは、主に海外旅行客や渡航者の衣類やバッグに付着して持ち込むことで発生します。また、流通の発達によって海外から輸入されるベッドなどの家具に紛れ込んでいたことが原因で、時折持ち込まれることがあります。
トコジラミの発生時期は6~9月ですが、暖房が発達している日本の室内では1年中生息できるのが特徴です。
トコジラミとは?生態・生息場所について
トコジラミの成虫は体長5~8mmほどで、扁平楕円形の赤褐色をしています。吸血するとおなかの部分が膨れ、体長が1.5倍以上に伸びるのが特徴です。
トコジラミの生息場所
トコジラミは特に狭く暗い場所を好み、昼間や部屋が明るい時には隙間に身を潜めています。
●畳の裏や隙間
●カーテンの折り目・縫い目
●布団や枕のマットレスの縫い目や隙間
●家具の隙間
上記のような見落としがちな場所に潜んでおり、血糞や卵、死骸が見つかることがあります。
トコジラミの吸血被害|激しいかゆみがもたらす健康リスク
トコジラミは吸血害虫で、刺されると唾液に含まれるアレルギー物質がかゆみや発赤を引き起こします。
かゆみが激しい場合、十分な睡眠が難しくなり、かきむしることで皮膚障害が生じる可能性があります。
トコジラミは人間の体から発せられる熱と二酸化炭素に引き寄せられ、主に夜間に活動します。夜行性で、就寝時や明け方3~5時に多く活動し、お腹が空いていると昼間でも吸血の可能性があるため注意が必要です。
トコジラミの駆除方法
夜な夜なかゆみに悩まされ、刺された痕や血糞などのしるしを見つけたら、それはトコジラミの可能性が高まっています。
被害を拡大させず快適な空間を取り戻すためには、早急な駆除が不可欠です。
ただし、一般的な殺虫剤が必ずしも有効でないことにも留意しなければなりません。また、燻煙殺虫剤の利用は逆に広がる可能性があるので慎重に行う必要があります。
以下では、トコジラミの駆除方法について解説します。
1. 掃除機で吸い取る
ゆっくりと掃除機を動かし、吸い込んだごみはすみやかに封をして廃棄しましょう。ただし、トコジラミを吸い込んだ掃除機を被害のない場所に放置しないように気をつけましょう。そうすることでトコジラミの蔓延を防げます。
2. ガムテープで捕る
トコジラミや卵を見つけたらガムテープを使用して捕獲します。ガムテープはしっかりと密封して捨て、素手では触らないようにしましょう。
3. 殺虫剤を使用する
購入前に必ず有効成分を確認し、プロポクスルまたはメトキサジアゾンが含まれた殺虫剤を選びましょう。ピレスロイド系殺虫剤は効果がない可能性があるため要注意です。
4. 潜伏リスクのある物品を処分する
被害が拡大した場合、駆除よりも処分が確実かもしれません。家具や不要なアイテム、特にトコジラミが潜むかもしれないダンボールは即座に処分しましょう。
5.害虫駆除サービスを利用する
トコジラミは一度増えてしまうと自力での完全駆除が難しくなるため、早めの対策が必要です。私が所属している「駆除ザウルス」では、駆除施工から再発防止の予防消毒まで一貫して行っております。トコジラミにお困りの際は、専門業者にご相談する事をお勧めします。
(内田 翔:害獣・害虫駆除業者)