アイドルグループ・A.B.C-Z(橋本良亮、戸塚祥太、河合郁人、五関晃一、塚田僚一)による舞台『ABC座星(スター)劇場2023 〜5 Stars Live Hours〜』の千秋楽公演が21日に東京・帝国劇場で行われた。
2012年の同グループDVDデビュー時より、毎年演劇劇場でミュージカルとショーを上演してきた演劇プロジェクト『ABC座』。様々な題材で上演を重ね、2021年からは同グループが主演に加えて初めて演出も手掛けている。この度、改修前の現・帝国劇場で最後のABC座となる最新作を上演。河合は千秋楽の21日をもって同グループを脱退する。
■A.B.C-Z、最後の5人ステージにそれぞれがコメント
本編ラストの挨拶で、橋本は「僕ちょっと危なかったです。『頑張れ、友よ!』が流れてきた瞬間に」と泣きそうになったことを告白。「別に泣いてもいいんですけど、最後の最後ぐらい、笑顔で見届けて帰してもらいたいなという気持ちで今挑んでます」と心境を吐露する。「これにてA.B.C-Zの第1章が終わるんですけども、すごく悲しいですね。悲しいですけども、明日から第2章が始まるんだなと思うとすごくワクワクしております。5人でできなかったことありましたけども、これから4人でやってく上で、4人にしかできないこともたくさんありますから、そこは自信持って4人で突き進んでいきたいなと思ってます」と決意を表明した。
橋本は「僕は明日でセンターじゃなくなります。誰とシンメになるかわかんないですけども。1人抜けた分、郁人の分までがんばってやろうという気持ちでセンター割に立っていたいし、頑張っていきたいなって思います」と、メンバーが偶数になったことでフォーメーションが変わることに言及。「5人で東京ドームに立ちたかったなという思いがあります。その夢を昨日寝る前に考えて、危なかったんです。でも、河合郁人のアクリルスタンドを立てればいいなと。そしたら僕がセンターに立って、5人で東京ドームに立てるので、その時は皆さんよろしくお願いいたします」とお願いする。「センターじゃなくなるんですけど、皆さんの心の中にあるA.B.C-Zのセンターからは退きませんからね。絶対一生退かないので。来年もABC座があると僕は信じてるんで、4人を応援してくれたら嬉しいし、また遊びに来てくれたら嬉しいと思います」と語りかけた。
塚田は「2つのこととお別れしなければいけないかもしれないんだよね。2024年で帝国劇場は改修工事に入って、来年の演目はわかんないんですけれども、もしかしたら最後になるかもしれない」としみじみ。同劇場での思い出について「堂本光一くん主演の『SHOCK』」と説明し、アクロバットで客席に着地してしまったエピソードを披露する。「多分ステージの神様っていると思ってて、その神様に助けてもらった気がします。だからステージの神様に『大きくなりましたよ!』と。今はアクロバットステージから落ちることなく今日も成功しましたよ!」と叫んだ。
そして「もう一つは、河合卒業。ABC座が終わったら卒業するわけなんですけれど、やっぱり河合のA.B.C-Zの活動が最後になるわけだから、河合のファンで埋め尽くされているのかなと思ったんだけど、なんかそうでもなかった」と発言し、会場はざわつく。しかし塚田は「いろんなファンの人たちがいて、僕のファンとかとっつーのファンとかジュニアのファンとか、河合の最後見届けたい、応援したいということで来てくれてるのかなと思って」「やっぱり河合、愛されてるなあって。幸せもんだなというと楽観的なんだけど、多分、その幸せは自分の努力で勝ち取った幸せなんだよね」といい話。「今後一人になって、何にも心配してません。お互い体に気をつけて頑張ってきましょう」とメッセージを送った。
五関は「悲しいですよね、もうこのシーンの僕の漫談が聞けなくなるってことですから」とジョークを飛ばしつつ、「それともう一つ河合くんが卒業ということで。ずっと同じグループのメンバーとしてやってきて。最初の方は赤ちゃんですから、MCとか前に出れない時から1人で突っ走って引っ張ってくれたから感謝だし、そのおかげでこんな堂々と漫談できるようになったのは忘れずにいたい」と、漫談の観点からも河合に感謝する。
さらに五関は「でもA.B.C-Zというのは終わりじゃないですから。これからもずっと続いていくし、 皆さんの心の中にもこの5人のA.B.C-Zていうのはずっと残ると思います。今日、最後に目に焼き付けましたか? 一生忘れないでください」と強い言葉。「今後、河合が自分の番組で出演しているテレビを見ながら、子供や甥っ子姪っ子、友達に『この人、もともとA.B.C-Zだったんだよ』と。お互いそんな会話ができるぐらいでっかくなれるように、 というか、でっかくなっていかなきゃなって今思ってます」とコメント。「今回このABC座、やるかやらないかぐらいのレベルで2、3転したんですけども、皆さんの協力もあって、 5人のラストを素晴らしい形で終えることができたので、本当にありがたく思ってますし、だからこそ僕たちよりも河合も明日からのスタートを思いっきり切って素晴らしいタレントにならなきゃなと思っています」と決意を新たにした。
戸塚は、河合が「脱退」と表されることに「ピンと来なかった」と疑問を提示。「それで卒業だとか、旅立ちだとか言い換えてたんですけれども、もしかして自分のメンバーだからバイアスがかかって美化しちゃってるのかなと思って。なんだろうと思った時に、『脱』はいいんですよ。A.B.C-Zを脱いで1人で行くわけですから。ただ『退く』という言葉が納得いかなくて。僕は『進』という字を当てて『脱進』という言葉を自分の中で作りました」と明かす。
続けて「でも、もしかしたら既存の言葉にあるんじゃないかなと思って調べたら、ありました。『脱進機』という機械式の時計のパーツみたいです。どうやら秒針だったり、ゼンマイに関わるパーツのことでした。『河合くんの話を聞いてたら心の時計が止まってました』『脱進機が壊れてました』そんな方もファンの方でもいるんじゃないかなと思います。しかし今、一緒に最後のショーを重ねて、この1年を一緒に過ごして最後の5人のミッションとして河合くんを送り出すこと、そして4人の新しい一歩を踏み出すことを成功させた時に、時計の針を進めようと思っていました。明日にときめいて、胸の振り子を踊らせて、時計の針を進めるんだって。明日から時計の針、進めますよ」と宣言。「皆さんまだついてこれないかもしれないですけど、時計の針を止めません。進めます。なので、この僕たち4人もそうだし河合くんの物語は進んでいきます。もしよろしければついてきてください」とメッセージを送った。
戸塚はスタッフ陣にも感謝の意を示し、「河合くん、1999年からおよそ四半世紀、デビューしてからは11年一緒にいてくれて、そばでずっと一緒に夢を追いかけてくれてありがとうございました。ファンのみんな、いつでもどんな時でも俺たち5人を応援してくれて、どうもありがとうございました」と語りかけた。
■河合郁人が涙
最後に河合は「僕はA.B.C-Zの一員としてステージに立つのは今日が最後になります」と語り始め、「初日が始まって悲しいという気持ちより、楽しい気持ちが勝っていたんですけど、今はやっぱ寂しい気持ちがあります。が、自分が掲げた目標をしっかり目指して。だからといって、今までA.B.C-Zとファンの皆さんと作った思い出はなくなることはありません。強がっていろんな約束しちゃったけど、叶えられなくてごめんね。僕の力不足です」と涙で声を詰まらせる。
客席のファンからの「そんなことないよ!」という声に、河合は涙ながら「本当に叶えたいことって叶わないこと多いんだけど、新しく違う道に進んでいくと思えたのも、今までの思い出があったから。力強いみんなの応援があったからこそ、次に進めるし、メンバー一人ひとりにも本当に迷惑かけたし、楽しいこともたくさんしたし、悩んだりもいっぱいしました。それでも今メンバーがこうやって背中を押してくれる気持ちを背負って新しいステージに僕は行きます」ときっぱり。
「ただ、僕は引退するわけではありません。この世界におります。だからこそ 今までのことをしっかり背負って新しい道で戦っていきます。もしこんなわがままな僕でも、もし応援してくれるなら引き続き応援の方、よろしくお願いします」と頭を下げた。
カーテンコールでは5人で「明日の為に僕がいる」を歌い、河合は「全然聞いてなかったんだけど、こんなにカメラの方来てくれたんだ」と驚き。戸塚は「脱進でお願いします」と見出しについて頼む。
最後には「みんなで歌っちゃおう!」と「サポーターズ!」をファンと熱唱。橋本が「最後にみんなで叫びますか。ラストですからね、5人での叫びは」と客席を煽ると、塚田が「今度から『俺たちと皆と河合で〜!』」と提案する。河合が「ライブを観に行ったら言って!」と苦笑すると、五関が「それか、みんなで言ってもらってもいいよね。『俺たちと皆でA.B.C-Z!』『河合も〜!』」と案を示す一幕も。塚田が「最後だね、みんな一つになろう!」とまとめ、橋本が「俺たちと皆で!」と言うと、客席のファンも「A.B.C-Z〜!」と応えていた。