新潮社は2024年1月17日、『スマホ脳』の著者で精神科医のアンデシュ・ハンセン氏による最新作『メンタル脳』(1,100円)を刊行する。
同書は、「10代のメンタルはかつてないほど悪い」と警告するアンデシュ・ハンセン氏が手がけた最新作。「なぜ人は不安から逃れられないのか?」という問いから始まった前著『ストレス脳』(世界34カ国で刊行予定)を、児童作家のマッツ・ヴェンブラード氏の協力のもと若者向けにコンパクトに語り直した一冊となっている。
著者はわれわれ人類が現在に到るまで生き延びられている理由から語り始め、サバンナに暮らしていた時代から「脳」がどのように私たちを「生き延びさせて」きたのか、その仕組みを最新の脳科学を援用しながら平易に説明していく。と同時に、サバンナで暮らしていた時代に比べれば、はるかに疫病や戦争、飢餓といったリスクから遠ざかりながらも、なぜ現代人は気分が落ち込み、不安に追われ、引きこもりたくなるかを解説。
内容は、「なぜ私たちは生きているのか」「なぜ感情はあるのか」「なぜ不安を感じるのか」「なぜ記憶に苦しめられるのか」「なぜ引きこもりたくなるのか」「なぜ運動はメンタルを強化するのか」「なぜ孤独とSNSはメンタルを下げるのか」「なぜ『遺伝子がすべて』ではないのか」「なぜ『幸せ』を追い求めてはいけないのか」の全9章で構成される(細部は刊行時に変更の可能性あり)。
著者が日本の読者に向けてこのようなメッセージを送っている。
「私たちの4人に1人が人生において、うつや強い不安といった精神的な不調を経験します。25%という傾向は日本人にもスウェーデン人にも当てはまり、もっと言うと世界中どこでもそうなのです。ではなぜそれほど多くの人が苦しまなければいけないのでしょうか。
精神科医になって以来、ずっとその謎について考えてきました。そもそもそれが精神科医になった理由でもあります。
しかも世界的に今、10代のメンタルヘルスは『かつてないほど悪い』とも言われています。スウェーデンではここ20年、不眠で受診する10代の若者が10倍に増えています。
日本でも私の著書は『スマホ脳』をはじめとして、驚くほど多くの人に読んでもらえました。それはテーマが世界共通だからでしょう。スマホもメンタルも、どう付き合うかは世界中の人たちが毎日苦労している問題なのです。この本が日本でも良い効果を生み、多くの若者が自分の脳について学んでくれることを心から願うとともに、本を読んだ人たちがもっと運動をし、睡眠を大切にし、スマホに使う時間を減らしたいと思えるようになればうれしいです。成績のためだけでなく、メンタルも身体も元気でいるためにできることなのですから」