帝国データバンクは保有する「商流圏~売上高依存度推計データ」をもとに、ダイハツ工業に部品などのモノやサービスを提供する周辺産業(商流圏)の特徴や取引規模を推計(2023年時点のデータが基準)し、結果を発表した。
影響の大きい地域・業種は?
ダイハツは製造する64車種・3エンジンの認証試験において174個の不正が発覚したと公表した。同日より、国内外で生産中のすべてのダイハツ開発車種を一旦、出荷停止としている。トヨタ自動車の子会社でもあり、トヨタやスバルにOEM供給で供給していた車種でも不正が発覚。帝国データバンクは「出荷停止は広範にわたり、ダイハツとの取引を通じてものづくりを支える国内のサプライチェーン企業に与える影響が懸念される」としている。
帝国データバンクの調査によると、ダイハツを頂点とするサプライチェーン企業(売上高の1%以上を依存している企業)は国内に推計8,136社あることが判明。同社と直接取引のあるTier1は921社 、二次下請けであるTier2が4,945社、Tier3が2,114社と続く。
サプライチェーン企業は47都道府県すべてに分布。これらの企業に派生する売上高合計は推計2兆2,110億円に達するとのこと。各企業の売上高依存度は平均4.2%。出荷停止措置が長引けば、これらの企業の業績や雇用、地域経済への影響が懸念される事態となる。
サプライチェーン企業の所在地を都道府県別に見ると、トヨタグループのお膝元で多くの自動車関連産業が集積する「愛知県」が最も多く2,084社。派生する売上高は推計5,674億円にのぼる。次いでダイハツ本社(池田)工場のある「大阪府」が1,043社で派生する売上高は2,607億円だった。次いで多いのは「東京都」の562社・2,006億円だ。
社数は多くないものの、滋賀(竜王)工場のある「滋賀県」や子会社のダイハツ九州が拠点を置く「大分県」では、県内企業に派生する売上高が大きい。「滋賀県」は187社・903億円、「大分県」89社・4,800億円となっている。
業種細分類別に見ると、サプライチェーンで最も多いのは「自動車部分品・付属品製造業」で630社、次いで「金型・同部分品・付属品製造業」の468社など製造業が上位を占める。
部品などを搬送する「一般貨物自動車運送」(408社)や「労働者派遣業」(187社)、車両の電子化が進む中で「受託ソフトウェア開発」(147社)なども多く、国内有数の産業でもある自動車産業だけあって業種の裾野は広い。