フジテレビ系ドキュメンタリー特番『密着!中村屋ファミリー 勘九郎の涙 七之助の宿命 姫路城で歴史が動いた!46年ぶりの衝撃SP』が、22日(21:58~)に放送される。

金子ノブアキ

5月、世界遺産・国宝姫路城の眼下に「平成中村座」が建てられた。現場に着いた中村勘九郎と中村七之助も、思わず笑いが出てしまうほど見事な借景。「本当にすごい。昔だったら打ち首だ!」と、興奮が抑えきれない。

新型コロナ以来ストップしていた平成中村座公演。3年ぶりに昨年、浅草で再開したが、まだ飲食や観客の声出しが禁止などの制限があった。それがついに姫路の地で復活。ご飯とお酒を楽しみながら芝居見物…そんな江戸時代にタイムスリップしたような「平成中村座」が戻ってきた。芝居小屋ならではの“観客と役者の近さが生み出す一体感”も久しぶりに感じてもらえ、勘九郎も「平成中村座の魅力を再び発揮できる」と心から喜んだ。そんな姫路城の舞台、実は中村屋にとって特別な意味があった。

平成中村座姫路城公演の演目の一つ「天守物語」は、姫路城の怪奇伝説を泉鏡花が戯曲化した名作で、まさにこの天守閣の最上階が舞台となっている。この演出を人間国宝・坂東玉三郎が、主役の「富姫」を七之助が務めることに。「富姫」は、玉三郎が1977年に初役で演じて以来、45年以上、ほかの誰一人演じることなく守られてきた大役だ。その歴史と責任の重圧に七之助が挑む。繰り広げられたのは、1日10時間以上にもおよんだ、玉三郎の熱い指導とこだわりの演出。果たして七之助は「富姫」を受け継ぎ観客を魅了できるのか。そして、カメラの前で勘九郎が見せた涙の理由とは。

半世紀の歴史が動く大舞台が続くある日、平成中村座が制服姿の女子学生であふれた。歌舞伎を観たことのない地元・女子中高生に平成中村座を体験してもらう、という企画だ。彼女たちのための特別な演出も・・・すると中村座に響き渡ったのは少女たちの悲鳴だった。中村屋は若者たちのハートをつかめたのか。

中学1年生になった勘九郎の長男・勘太郎は、最後となる国立劇場や夏の歌舞伎座の舞台に立ち、歌舞伎役者として大きく成長した演技で喝采を浴びた。そんな勘太郎に特別なオファーが。中国・杭州で開催されたスポーツの祭典「アジア大会」の閉会式で披露される映像に出演、父・勘九郎と親子で「連獅子」を舞ったのだ。CG合成によるダイナミックな映像は各国に配信された。

そして、あどけなさが残る次男・長三郎は小学4年生。来年2月、亡き祖父・勘三郎の追善公演で今度は長三郎が親子で「連獅子」に挑むことになった。そして、猛稽古が始まった…。

4年前に初めて小倉の地に建った平成中村座。その熱狂を再び…という熱烈オファーを受け、11月に平成中村座小倉城公演が開催された。この小倉の街、実は1年半前に街の台所・旦過市場が大火災に見舞われ多くの店が焼失してしまった。そこで勘九郎は、復興を応援するため平成中村座の休演日にチャリティーイベントを企画、中村座を初めて「映画館」にしつらえ映画を上映、収益を市場に寄附するという取り組みだ。スクリーンに登場した懐かしい姿に皆、涙…その人物とは。

小倉城公演・夜の部の演目は地元にゆかりの「小笠原騒動」。実はこの演目、勘九郎が伯父・中村芝翫から受け継いだ最も重要な役のひとつ岡田良助を今回、芝翫の長男・中村橋之助を抜てきして引き継がせていた。芝翫は、亡き勘三郎とともに平成中村座を育ててきた盟友のひとりでもあった。400年の長きにわたり、役者たちが力を合わせてその芸を脈々と継いできた歌舞伎。その伝統継承の瞬間を小倉の観客は目撃したのだ。千穐楽、終演後の楽屋に、東京・歌舞伎座の舞台を終えやってきた中村芝翫の姿があった。

中村屋を密着して今回で34年、23本目となるこのドキュメンタリーシリーズのナレーションは、ミュージシャンで俳優の金子ノブアキが2017年以降、7回担当している。金子は勘九郎と高校の同級生でもあり、中村屋とも歌舞伎にも距離が近い関係だ。そんな金子が、今回のみどころとナレーションに臨む思いを語った。

■金子ノブアキ コメント

「45年以上守られてきた大役を七之助さんが受け継いだ『天守物語』のエピソードがみどころです。歴史的なお話でもあり、中村屋が好きな方にとっても、とても大きな出来事だと思うので、ぜひその瞬間を見ていただきたいです。また、実は勘九郎くんとは高校の同級生なんです。ナレーションをしながら友達として気持ち的に入り込む瞬間があるので、主観が入りすぎないように寄り添う感じで務めてきました。これは、僕にしか出せない距離感だと思いますし、他のナレーションの仕事とは違います。人とのご縁、人生のご縁、また歴史的な映像と記録に長く携わらせていただけることに感謝しています」走り続ける中村屋ファミリー、その奮闘にご期待ください!」

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