スタジオポノック最新作の長編アニメーション映画『屋根裏のラジャー』が、12月15日に公開される。イギリスの作家・A.F.ハロルド氏の『The Imaginary』を原作とし、少女・アマンダの想像から生まれた“イマジナリ”の男の子・ラジャーらイマジナリーフレンド達による冒険をアニメーションで描いている。
今作で主人公・ラジャーを導く猫のイマジナリ・ジンザンを演じたのは、山田孝之。これまでも数多くの作品で声優を務めてきた山田に、今作を演じるうえで大事にしたことを聞いた。山田が数年前から意識しているという自身の“マイルール”とは――。
■自身の捉え方もその時々で変わる
――今作の脚本を読んだとき、率直にどのように感じたのか教えて下さい。
イマジナリという想像の存在が主人公ということで、文字だけの情報ではなかなか伝わってこない部分もありました。イマジナリもそうなんですが、イッセー尾形さんが演じられたミスター・バンティングや、その横にいる女の子などキャラクターがそれぞれ何を表現してるのか、ということは考えていました。
――作品を観て、それぞれが表現されているものは見えましたか?
完成した作品を観た今でも考えています。何かに置き換えるとしても、それは多分、観た人それぞれだと思うんです。バンティングってこういうものを具現化・表現してるんだろうなと、考えながら観てもらうのもいいかもしれません。僕自身の捉え方もその時々で変わると思います。
■ラジャーを導く存在・ジンザン 意識したのは距離感
――山田さんは今回、ジンザンという猫のイマジナリを演じられました。演じるうえで心がけていたことはありますか?
ジンザンはラジャーを導く存在で、ある種、物語のきっかけになるキャラクターなんですが、あまり押し付けがましくない様にしようという意識はありました。導くにしても、グイグイ引っ張っていくような感じにはしない方がいいなと。
――確かにジンザンは、優しさはありながらもラジャーに対して積極的に促してはいないように見えました。
ラジャーに対して「ついてくるならついて来い」と。あくまでも本人に最終的に判断させて一歩踏み出させるように、一言声をかけてあげるくらいテンションで距離を詰め過ぎないようにしていました。
■近年の意識の変化「感謝を伝えるように」
――今回、作中でアマンダとラジャーが「屋根裏部屋の誓い」として三つの決め事を作っています。山田さんの中で決めているルールを教えて下さい。
場合によっては難しいときもあるんですが、なるべく「すみません」からは入らないということ。代わりに一言目には「ありがとうございます」と言います。何かと「すみません」から入りがちなんですが、何かしてもらったら「やってくれてありがとう」と感謝を伝えるようにしています。
――特に日本人は枕詞のように「すみません」が口に出てしまいますよね。その心がけはいつ頃から意識し始めたんでしょうか?
ここ数年の話です。これというきっかけがあったわけでなく、言う側としても言われる側としても、どっちの言葉の方がいいのかと考えたときにやっぱり謝罪より感謝だろうと。
――言われてみると「ありがとう」の方が返事としては適切ですね。
特にここ数年は、いろんなものに常に感謝をしています。ご飯食べるときも毎晩感謝。やっぱり忘れちゃいけないし、伝えなきゃいけないと思うので、人に対してだったら言葉が通じるので、積極的に「ありがとう」を言うように心がけています。
■山田孝之
1983年10月20日生まれ。鹿児島県出身。1999年に俳優デビュー。スタジオジブリ『猫の恩返し』(02)に声優として出演。そのほか主な出演作に『闇金ウシジマくんシリーズ』(12~)、『ハード・コア』(18)、『ステップ』(20)、『はるヲうるひと』(21)など。