画面を折り曲げることのできる「折りたたみディスプレイ」搭載のスマートフォンも数が増えてきました。日本でもサムスンの「Galaxy Z Fold5」「Galxy Z Flip5」、Googleの「Pixel Fold」そしてモトローラの「razr 40」「razr 40 ultra」と5機種が販売中です。これらの製品が搭載する折りたたみディスプレイは、ディスプレイの大手メーカーが開発を行っています。
サムスンはディスプレイメーカーとしても大手であり、折りたたみに限らず新しい形状のディスプレイを次々と開発中です。今回はミュンヘンで開催されたミュンヘンモーターショー(IAA Mobility)で展示されていた次世代ディスプレイを見てきました。
折りたたみディスプレイの次に来ると言われているのがスライダブル、あるいはローラブルディスプレイです。これは丸めたり伸ばしたりできるディスプレイ。タブレットを両手で持ち、左右に引っ張ると画面サイズが大きくなるのです。サムスンは「Slideble Flex Solo」と「Slideble Flex Dual」の2タイプを開発中です。
Slidable Flex Soloは通常は約13インチのディスプレイですが、右側にディスプレイを伸ばすと17インチへと大型化します。縦長のタブレットから、横長の大型タブレットへと変身するわけです。デモ機ではAndroid OSが動いていましたが、完全に引き延ばすと3つのアプリを縦に3列表示も可能。マルチタスク用途としても使いやすそうです。
同じスライド機構を持ちながら、左右に引き伸ばすことで大型化するディスプレイがSlidable Flex Duo。可動部分が左右2つありますが、ディスプレイの伸びる部分の長さが短く、機構や強度などはSlidable Flex Soloよりも安定感がありそうです。
これらのディスプレイが実用化されれば、今までにはない新しい形状のタブレットやノートPCが誕生するでしょう。たとえばキーボードはコンパクトな大きさながら、ディスプレイを開いて伸ばせば17インチのディスプレイが使えるノートPCなど、持ち運びやすい小型サイズと大画面を両立したモデルも出てくる可能性があるわけです。
スライド機構に対し、より小さな径で巻き取ることのできるディスプレイがローラブルディスプレイです。開発中の「Rollable Flex」は、ディスプレイを巻き取ったときは幅が49mmとかなりスリムな大きさになります。このままスマートフォンにできそうなサイズです。
巻き取られたディスプレイはモーターで収縮可能。どんどん伸びていきます。
完全に伸びると254.4mmとなり、実に5倍の長さに伸びたことになります。展示されていたものは薄いディスプレイを巻き取るだけの簡素な構造のため、伸ばした状態で手に持つには強度が足りません。製品化される時はディスプレイを保護しながら収縮するフレームなどを周囲に配置した形状になるのでしょう。好きなサイズにディスプレイを伸ばして使えるスマートフォン・タブレットもいつの日か登場しそうです。
そして折りたたみとスライド、両方の機構を合体させた「Flex Hybrid」も開発中です。折りたたみスマートフォンのように普段はたたんでコンパクトに持ち運ぶことが可能で、開いて大画面が使えるだけではなく、さらにディスプレイを引き延ばせば特大サイズで使うことができるのです。
ポータブルゲーム機やメディアプレイヤー向きの「横長、縦折り」型など、折りたたみディスプレイもサイズのバリエーションがこれから増えていきます。スマートフォン以外にも折りたたみディスプレイの採用が進んでいくでしょう。
折りたたスマートフォンは「本体を折り曲げて使う」という、今までのスマートフォンではできなかった新しいユーザー体験を生み出しました。スライド式やローラブルディスプレイがどんな新しい体験を提供してくれるのか、数年後に出てくる新製品を楽しみにしたいものです。