アグリスポーツ協会が設立された

農地でアグリスポーツに取り組む参加者(より)

2023年10月29日、富山県射水(いみず)市で「日本アグリスポーツ協会」が設立されました。この協会の代表である西村顕志(にしむら・たかゆき)さんは、一般社団法人アスリッシュの代表でもあります。

アスリッシュでは、射水市内の耕作放棄地などを利用して、農業体験と陸上競技を組み合わせた親子教室を開催してきました。この教室では耕作放棄地でストレッチや50メートル走などを行った後、参加した親子が畑を耕し堆肥(たいひ)をまくなど、農業体験と陸上競技を同時に楽しめます。農作業では普段使わない筋肉を使うほか、凸凹の地面を歩くことで体幹も鍛えられます。腰をかがめての農作業はきついと言われることもありますが、見方を変えると体力づくりができる場とも捉えられます。

このイベントの反響が想定以上に大きかったことが、協会設立のきっかけになったそう。
日本アグリスポーツ協会では、こうした取り組みを通じて農業とスポーツを掛け合わせ、耕作放棄地や担い手不足といった農業の課題解決にもつなげようとしています。

西村さんは「畑で走ると体幹が鍛えられます。それだけでなく、アグリスポーツの後に収穫した作物をみんなで食べれば食育にもつながる。アグリスポーツが、耕作放棄地や担い手不足の解決となるだけでなく、アスリートの雇用やセカンドキャリアにつながればと思います」と、アグリスポーツの意義についてコメント。さらに活動を広げていきたいとのことで、「企業の協賛のもとアグリスポーツのイベントを開催していくので、まずは協賛いただける企業の数を増やしていきたい」と今後の意気込みを話してくれました。

大手企業もアグリスポーツの取り組みを開始

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スポーツ用品メーカーの株式会社アシックスもアグリスポーツの取り組みを始めています。地域の農地活用に取り組む株式会社みみずやと協力し、個人の心身充足と組織のパフォーマンスアップを目的とし、アグリスポーツとワーケーションを組み合わせてサービスを展開。さらに農業の人手不足の解消など、地域課題の解決にもつなげようとしています。

また同社は、今までスポーツ分野で培ってきたノウハウを活用し、農作業を運動トレーニングとして体系化する試みにもチャレンジしています。
例えば、農作業でかがみながら収穫をする動きはスクワットの動きと似ており、「大腿四頭筋」や「ハムストリングス」を鍛えることにもつながりそうです。農作業を運動トレーニングとして体系化すれば、健康意識の高い層の需要ともマッチすることでしょう。

アグリスポーツという言葉を通じて、体づくりの一環として農業に関心が集まれば、日本の農業が抱える問題である「耕作放棄地」の対策にもつながるかもしれません。

農業に新たな付加価値をつける試金石になるのか。農業とスポーツを掛け合わせた、アグリスポーツという異色の取り組みに、今後も注目が集まります。