今や日常生活に欠かせないコンビニエンスストアですが、新型コロナウィルスが蔓延する前のころから中国を中心に店員不在の「無人コンビニ」が流行しはじめました。日本でもJRが東京都内の新駅、高輪ゲートウェイ駅に無人コンビニ「TOUCH TO GO」を開業したときは大きな話題となりました。それでは海外でもその後、無人コンビニの普及は進んでいるでしょうか? マレーシアの首都、クアラルンプールにある無人コンビニを使ってみました。
クアラルンプールの無人コンビニ「PANAS EXPRESS」は市内数か所に支店を出しています。今回訪問したのは日系資本のショッピングモール「LaLaport BUKIT BINTANG CITY CENTRE」にあります。名前からわかるように、ららぽーとがマレーシアにも進出しているのです。
訪問したのは深夜2時ころ。ドアはロックされており自由に出入りはできません。セキュリティーはしっかりしているようです。
入り口には来場者の顔を登録するためのカメラが設置されています。店内で万が一問題が起きたときに来場者を後から確認できるようにしているのでしょう。とはいえ友人同士など複数人数で訪れた時などは、1人が顔認証すれば同時に入れてしまいます。まあ店内には多数のカメラが設置されていますし、そのような場所に入って問題を起こすような客も実際はいないのでしょう。
広くはない店内にはぎっしりと食品などが陳列されています。価格はクアラルンプールで訪れた他の大手コンビニエンスストアチェーンとは変わらず、無人店舗だからと言って極端に価格差があるわけではないようです。
一般的なコンビニエンスストアの場合、狭い店に深夜に入ると店員さんと二人っきりになってしまい、なんだか気まずくなって早めに出てしまうなんてこともあるかもしれませんが、無人コンビニならじっくりと商品を手に取って見ることもできるので、気軽に立ち寄れると感じます。
一方では欲しいものが見つからなかった時や、どんな商品なのかわからないときに店員に確認することができません。特に海外のコンビニエンスストアであれば日本にもない商品も多いので購入時に悩んでしまうことも。でも無人コンビニは地元の人向けのお店なのでそこは割り切っているでしょうし、観光客もスマートフォンで検索すればその商品が何なのかは自分で調べられるでしょう。あらゆるサービスを提供するお店と考えてはいけません。
食品以外の商品も充実していました。旅先で紛失してしまいがちなUSBケーブルもしっかり売っており、仕事で滞在中も安心して代替品を購入できます。
さて東南アジアのマレーシアは常夏の国。日本の冬でも気温は30度あります。常に水分が必要なので外出中はコンビニでの水分補給が欠かせません。今回もドリンクを選んで購入。無人レジに商品のバーコードを当てて決済を済ませます。
支払方法はクレジットカードやスマートフォンを使ったモバイルペイメントなどを選べます。支払方法に迷っていたりすると、突然無人レジの横のスピーカーから「使い方がわかりますか?」と声が聞こえてきました。店内のカメラを使って来客の確認も行っており、戸惑っている客がいた場合は遠隔でサポートもしてくれます。
ということで無人コンビニといいながらも、実際は遠隔地に店舗を関するスタッフが常駐しており、常時店内を監視カメラで確認しているのです。陳列台の在庫のある程度のチェックや、万引き防止などもカメラを通して対策を講じているわけです。
なかなか便利な無人コンビニですが、世界中に広がらないのは売り上げの限界があるからかもしれません。来客の多い場所に大型店舗を出店すれば、売り上げが上がる一方で商品の補充も頻繁となり結局は店員が必要となります。無人コンビニは今回訪問したような小規模な店舗に向いていますが、それでもある程度の来客が見込める場所でなくては赤字になってしまうでしょう。無人コンビニをビジネスとして軌道に乗せるには、まだまだ試行錯誤を繰り返す段階なのかもしれません。