JR西日本は12~13日の2日間にわたり、グランフロント大阪北館地下2階で「JR西日本グループ イノベーション&チャレンジデイ 2023」を開催した。多機能鉄道重機(人型ロボット)の展示・操作体験などが行われ、なごやかな雰囲気のイベントとなった。
「JR西日本グループ イノベーション&チャレンジデイ 2023」は、JR西日本グループの多領域にわたる技術・サービス・ビジネスを紹介するイベント。その取組みを発信すると同時に、グループ外のさまざまな事業者等とネットワークを広げ、「心を動かす、未来を動かす」新たなビジネスの共創を生み出す機会にもなっている。
数あるブースの中で最も注目されていたのが「株式会社人機一体」のブースだった。同社は立命館大学発のベンチャー企業であり、先端ロボット工学技術の社会実装に取り組んでいる。
とりわけ注目されたのが、人型ロボット「零式人機 ver.2.0」。高所作業車やクレーンの先端に取り付け、高所作業を行う汎用型のロボットである。鉄道現場では、おもに架線での高所作業に用いられ、両手を使っての作業が可能になっている。従来も作業用ロボットは存在したが、「零式人機 ver.2.0」の特徴は人間と同じく両手で作業できる点にあり、線路沿いにある樹木を伐採できるなど、汎用性が高い。
人間の直感に従ってスムーズに動く操作性も自慢のひとつ。筆者も実際に「零式人機 ver.2.0」を操作し、棒を握るなどの動作にチャレンジしたが、想像以上になめらかに動き、コツさえつかめば誰でも操作できるように感じた。「零式人機 ver.2.0」はJR西日本での活躍が決定済み。予定では、2024年度から、日本信号が製造販売する「零式人機ver.2.0」をベースにした商品がJR西日本の営業線で導入される。
JR西日本に限らず、鉄道業界ではロボットやAIの導入が進む。一方で、人との関係が失われることはない。それを痛感したのがJR西日本グループの特例子会社、JR西日本あいウィルのブースだった。JR西日本あいウィルは障がい者の自立と社会参加の促進を目的としている。同社の取組みのひとつが、JR西日本のトレーディングカード「JRWEST TRADINGCARD」の制作である。
「JRWEST TRADINGCARD」は1セット2枚ランダム入りで400円。12月22日からは、2024年春にデビューする新型車両273系「やくも」のカードも登場する。「JRWEST TRADINGCARD」はJR西日本商事が運営する鉄道グッズショップ「トレインボックス」などで販売する。
近年、車内の安全性が話題となっているが、解決の一助として期待されるのがJR西日本新幹線テクノスが開発した「車内異常音検知装置」。車内にて乗客からの悲鳴が上がった場合にマイクを通じて検知し、乗務員室に異常を知らせるものだという。
車内カメラは犯罪の抑止につるがるものの、即座の異常検知には課題を残す。乗客の悲鳴は監視カメラでの目視よりも異常を検知しやすいが、こどもの泣き声といった通常音と、悲鳴などの異常音を正しく区分する必要があり、膨大なサンプル音を通じて検証したという。その結果、周波数や音圧などで通常音と異常音を区分するとのことだった。