インフォマートは12月12日、「物流の2024年問題」に関する調査結果を発表した。同調査は11月2日~9日、物流業界で働く404名を対象に、インターネットで実施した。

  • 物流の2024年について、あなたの状況に最もあてはまるものをお選びください

自動車運転業務における労働時間が規制されることで、国内全体の輸送能力が不足する「物流の2024年問題」について尋ねた。

「知っており内容を十分理解している」と回答した人は「運送業(総合物流+道路貨物輸送)」(33.9%)、「倉庫業(総合物流+倉庫)」(34.8%)だった。「知っており、ある程度の内容は理解している」まで含めると業界全体で7割以上が理解していると答えている。

「物流の2024年問題」の要因の1つに、2024年4月から適用される「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(通称:改善基準告示)」がある。

これについて運送業の47.2%、倉庫業で45.7%が「知っており内容を十分理解している」「知っており、ある程度の内容は理解している」と答えたが、過半数の人が内容をよく知らないでいることもわかった。

  • 改善基準告示について、あなたの状況に最もあてはまるものをお選びください

「改善基準告示」により自動車運転者の拘束時間の上限や休息期間等の規制が強化されるが、その認知度は「物流の2024年問題」よりも低い結果になった。

改善基準告示や残業上限規制によって生ずる「物流の2024年問題」において、運送業と倉庫業はそれぞれどのような課題を抱えているのか調査した。運送業での課題のトップ3は、「労働時間の管理方法の見直し」(49.7%)、「従業員の収入減少」(40.6%)、「従業員の離職」(37.4%)だった。

倉庫業では、「運賃の値上げ・配送コストの増加」(47.1%)、「荷役作業等、倉庫内作業負担の増加」(31.1%)、「運送会社との交渉・契約の見直し」(30.6%)、「燃料や資材高騰等のコストアップ」(30.6%)が上位になっている。

  • 物流の2024年問題に関連する運送面での課題について、勤務先の状況にあてはまるもの

「物流の2024年問題」に関連する対策について現在取り組んでいるものを聞くと、運送業での対策は「値上げ交渉」(33.5%)、「荷役・荷待ち時間の交渉」(22.6%)、「給与形態の見直し」(21.3%)が多い。倉庫業では「荷役・荷待ち時間の見直し」(34.5%)、「荷主や運送業者との料金交渉」(28.6%)、「輸送方法そのものの見直しや変更(モーダルシフト)」(22.8%)がトップ3だった。

  • 物流の2024年問題に関連する運送面での対策について、現在取り組んでいるもの

各帳票の受け渡し方法について尋ねると、運送業では最も電子化が進んでいる請求書でも47.7%が「すべて紙」と回答し、納品書は52.9%と半数以上が「すべて紙」と回答した。倉庫業でも請求書で41.7%、納品書では43.9%が「すべて紙」と回答している。

  • 帳票類の受け渡しについて

紙の書類を電子化している企業に対し、効果を尋ねたところ、運送業・倉庫業共に「あてはまるものはない」が約2割で、約8割の企業が電子化によるなんらかの効果を実感していることがわかった。運送業では「現場業務の効率化」が32.9%で最も多く、次いで「セキュリティの強化」(31.4%)、「事務業務の効率化」(30.0%)が続いた。

倉庫業のトップ3は、「印紙や郵送代等のコスト削減」(40.2%)、「事務業務の効率化」(38.2%)、「残業時間の削減」(31.4%)だった。

  • 紙の帳票類を電子化したことによる効果