さまざまな業界で人手不足が深刻化し、企業の採用環境が厳しさを増しているようです。しかし、現在の売り手市場は来年も継続するのか? 2025年卒の就活生にとっては非常に気になるところでしょう。
そこで今回は、「2024年卒企業新卒内定状況調査」(マイナビ)をもとに、来年の企業の採用動向を確認します。
この調査では、定義が変更されたインターンシップ(タイプ3・4)に参加した学生の情報を、企業がどのように利用する予定なのかについても質問しています。
すでにタイプ3・4のインターンシップに参加した経験がある方、あるいは冬期に開催されるインターンシップに参加予定がある25卒の就活生は、注意が必要です。
24年卒の採用充足率と内定者満足度は過去最低を記録
2023年11月にリリースされた「2024年卒企業新卒内定状況調査」 では、2024年卒採用の振り返りと2025年卒採用の予定を企業に聞いています。
まずは振り返りから。
24年卒の採用充足率(※)は平均で75.8%と過去最低の数値となり、内定者に対する満足度については、「質・量ともに満足」の割合が22.4%で、こちらも過去最低となりました。
こうした調査結果から、企業の採用意欲は高いものの、人手不足、採用難でなかなか計画通りの人員が確保できない状況が続いていることがわかります。
※採用充足率:企業が募集した人数に対してどれだけ内定者が確保できたかを表すもの
25年卒は採用予定数を「増やす」企業が増加。採用活動は「厳しくなる」と判断
こうした状況は、来年も続くのか? 同調査によると、回答した企業のうち79.9%が2025年卒の採用を実施する予定で、採用予定数を「増やす」予定がある企業が2年連続で増加。「減らす」予定の企業が減少しています。
また、企業にとっては引き続き厳しい採用環境が続くことが予想されるなかで、次年度の採用活動について「厳しくなる」と考える企業が、上場、非上場とも8割近くに上っています。
在学中にコロナ禍を経験し、経済の先行きに不安を感じた経験を持つ2025年卒の就活生にとっては、まずはひと安心という就職環境かもしれません。
ただし、売り手市場とはいっても、人気業界、競争倍率が高い企業を志望している場合は、内定獲得は簡単でありません。
売り手市場という言葉を鵜呑みにせず、インターンシップや仕事体験に参加して、少しでも自分のことをアピールして爪あとを残そうと考える就活生が増えているのもうなずけます。
新定義インターンシップは、情報が採用活動に利用される可能性に注意
しかし、ここで注意が必要です。2025年卒より一定の要件を満たしたインターンシップについては、参加学生の情報を採用活動に利用することが可能となりました。
前述の調査では、インターンシップ参加学生の情報を採用活動で利用する予定があるかどうかについて聞いていますが、タイプ3・4のインターンシップを予定している企業のうち、88.5%が情報を利用する予定があると回答しています。
その利用の仕方については、「応募データ(専攻内容・連絡先など)」、「参加時に感じた適性・人柄」、「参加時の姿勢」に続いて、「参加時の活躍状況」、「インターンシップへの参加選考の評価検討」などの回答があがっています。
学生にとってインターンシップは、自分の職業適性や企業との相性を確認できる貴重な機会ですが、企業側にとっては自社が求める人材像にマッチする学生との接点が持てる場です。
学生側としては、中身の濃い体験をして、業務内容や職場環境をしっかり見極めることが重要ですが、自分の「適性・人柄」や「参加姿勢」、「活躍状況」などが、しっかり確認されていることも忘れないようにしたいものです。