第49期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は、挑戦者決定トーナメント敗者復活戦の伊藤匠七段―本田奎六段戦が12月11日(月)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、角換わりの熱戦を87手で制した伊藤七段が挑戦者決定二番勝負進出を決めました。

同門対決の大一番

棋王戦の挑戦者決定トーナメントは敗者復活戦があるのが特徴。この対局の勝者は挑戦者決定戦に進出します。宮田利男八段門下の同門対決となった本局は両者の息が合って角換わり腰掛け銀の駒組みに進展しました。

後手となった本田六段は右玉への組み換えを表明。先手が飛車先の歩交換と穴熊への組み換えを両方狙ったのは欲張りと見てここから反撃に転じます。対して伊藤七段が攻め合いで応じたことで盤上は一気に激しさを増しました。

唯一にして最大の勝負所

飛車先突破を目指す伊藤七段が金頭に桂を成り捨てた局面が中盤のポイントとなりました。丁寧な受けからの立て直しを目指した後手の本田六段ですが、局後これを後悔することに。感想戦では、すぐに攻め合いに転じておけばむしろ先手の攻めが細かったとされました。

角と金銀の二枚換えに成功した伊藤七段は豊富な持ち駒で反撃開始。自陣の金取りを手抜いて攻め合いに踏み込んだのが穴熊の堅さを生かした終盤術でした。終局時刻は18時57分、最後は自玉の寄りを認めた本田六段が駒を投じて伊藤七段の勝利が決まりました。

勝った伊藤七段は広瀬章人九段の待つ挑戦者決定二番勝負に進出。敗者側からの進出のため挑戦には2連勝が必須となります(広瀬九段は1勝すれば挑戦)。

  • 修業時代からしのぎを削った二人だが公式戦では意外にも本局が初手合い(写真は第52期新人王戦三番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

    修業時代からしのぎを削った二人だが公式戦では意外にも本局が初手合い(写真は第52期新人王戦三番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)