7日に最終回を迎えた読売テレビ・日本テレビ系新ドラマ『ブラックファミリア~新堂家の復讐~』(毎週木曜23:59~)。このたび、福田浩之プロデューサーが最終回に込めた思いを明かした。(※本記事はネタバレを含みます)

  • 『ブラックファミリア~新堂家の復讐~』最終回より=読売テレビ提供

■『ブラックファミリア』全10話の1週間見逃し配信再生数は平均100万回

ドラマ完全オリジナルの今作は、謎の死を遂げた女子高生の家族が、愛する娘の死の真相を追うため、様々な姿に“なりすまし”し、復讐を遂げるミステリー。最終回の見逃し配信再生数は8日~10日の3日間で78万回を超え、全10話の1週間見逃し配信再生数が平均100万回を突破するなど深夜ドラマとしては異例の数字を記録している。福田プロデューサーの、今作に対する思いや、放送を終えた今だから明かせる秘話とは。

■福田浩之プロデューサー コメント

5年前の9月末に病気で亡くなった妻が最後に見た映画が、『SUNNY強い気持ち・強い愛』でした。その中で、僕も妻も大ファンだった板谷さんが病気で亡くなる役を演じられており、彼女のために学生時代の友人たちが集まるというそのストーリーを見て、妻も映画と同じように最後に同級生たちに会ってから亡くなりました。妻も自分も、最後に『SUNNY』のおかげで同級生たちに会えたこと、勇気づけられたことをとても感謝していて、そのきっかけとなる役を演じられていた板谷さんに、いつか絶対に御礼が言いたい、と個人的に思っていました。そんな時に、自分がこれまでに手掛けてきた“ブラック”シリーズの最新作を……という声をいただき、これまでの作品とは違う、復讐の動機として新しいテーマを持ちたく、自分に子供がいることもあり、子供を亡くした母親の復讐、というのを思いつきました。その復讐劇の内容が、板谷さんに話をするならぴったりだと思い、「板谷さんと仕事をしたい」「ブラックシリーズの新作をやりたい」の2つが重なってできた作品が、この『ブラックファミリア~新堂家の復讐~』です。奇跡的なタイミングが重なり、思い入れの強い作品になったこの『ブラックファミリア』を、本当に地上波だけでなく配信でも、多くの方に楽しんでいただけてうれしい限りです。

最終話のラストシーン、一葉は梨里杏を殺した真犯人である葵を、新堂家に迎え入れます。葵に梨里杏の死を本当の意味で償わせるためには、「愛する人を理不尽に亡くす苦しみ」を知らないといけない。ですが……葵はこの段階で、「死にたい」「殺して」と自分自身を愛せておらず、さらに母親から受けていた愛情も歪んでいて、家族愛も理解できていなかった。そこで一葉はまず、母親としての愛を葵に注ぐことで、家族愛とはこういうものなんだ、という意識を葵に植え付けようと考えます。そうすることで、麗美が出所する頃には、きっと葵は麗美よりも一葉のことを母親として慕うようになっている、それが麗美に対する更なる復讐にもなるからです。そして、最終的には、一葉によって真の家族愛に満たされた葵が将来、愛する人と結ばれ自分の子供を産んだ時に改めて、「あなたが自分の子供を大切に思うように、私にとってその大切な子供は梨里杏だった。あなたはそんな存在を殺したのよ」という事実を突きつける。本当の意味で愛を知った上で、初めて葵は自分がした罪と向き合い、償うことが出来る、と一葉は考えたのです。歪んだ愛しか知らない葵だから「愛しているから殺した」なんて今は言うけれど、「本当の愛を知ったらそんなことはできないでしょう?」と、一葉は伝えたかった。愛をきちんと知った葵の償いはどんなものなのか? そして、その結果、一葉が葵に対しどんな行動を起こすのか? つまり、一葉にとって納得できる復讐の対象へと育てるべく、葵にこれから自ら愛情を注いでいくこと、それが一葉にとっての新しい復讐のスタートなのです。ラストシーンの最終カットがタイトルで終わりますが、これは、本作としては一旦ここで終わりだけれど、新堂家の復讐劇はまだ終わっていない、「ここからが新しい『ブラックファミリア』だ」という意味合いを込めています。

ぜひ、このラストシーンに制作陣が込めたこの真意を知った上で、もう一度最終話を見返していただけたら幸いです。きっと、最終話、そしてこの『ブラックファミリア』という作品の見え方が変わってくると思います。また新しい気持ちで、本作を楽しんでいただけたらうれしいです。

【編集部MEMO】最終回あらすじ
一葉(板谷由夏)は、葵(瀧七海)の「私が梨里杏を殺した」という衝撃の告白に、激しく動揺。葵は梨里杏(星乃夢奈)に対する歪んだ愛情を一葉に語り、自分を殺してほしいと迫る。ついに、愛する梨里杏のために復讐を遂げる時が来た。一葉は、葵の首にかけた手に力を込めていく――。沙奈(渡邉理佐)は倫太郎(塩野瑛久)に監禁されたまま、危険な状態が続いていた。倫太郎は「新堂家の家族の絆を試す」と言って航輔(山中崇)に卑劣なゲームを仕掛けた。倫太郎の指定した時間までに航輔が監禁場所を突き止めて助けに来なければ、沙奈を裸にしてその姿を生配信すると脅迫。しかし航輔には、場所を特定する手がかりなどまったくなかった。タイムリミットが過ぎても、航輔は助けに来ない。家族の絆なんてなかった、と倫太郎は身勝手な思いを吐露。倫太郎が沙奈に迫ったその時……!? 伊志嶺(長妻怜央)扮する Mr.サルベージの生配信で、梨里杏を殺した上に優磨(森崎ウィン)の命も狙った犯人は麗美(筒井真理子)だ、と暴露された。麗美は、世間から激しいバッシングを浴びる。すべては麗美の計画通りだった。Mr.サルベージの配信を早乙女家の邸宅で見ていた一葉。彼女は、早乙女家の罪を一身に背負う覚悟をした麗美と再会するのだった。家族を守りたい二人の母親が、対峙する。新堂家の復讐の果てに待ち受けるものとは。