第17回朝日杯将棋オープン戦(主催:朝日新聞社・日本将棋連盟)は二次予選が進行中。12月8日(金)にはAブロックの全3局が東京・将棋会館で行われました。このうち、佐藤康光九段―西山朋佳女流四冠の一戦は112手で佐藤九段が勝利。佐藤九段は午後に行われた阿久津主税八段戦に臨みましたが惜しくも敗れ、本戦進出はなりませんでした。

「剛腕」対「豪腕」

4連勝で一次予選を通過した西山女流四冠は本棋戦における女流棋士初の二次予選進出者。この対局を含めて2連勝で本戦トーナメントに手が届きます。佐藤九段との初手合いとなった本局、振り駒で先手となった西山女流四冠は三間飛車に構えます。

大駒の押さえ込みを目指す後手の佐藤九段に対して西山女流四冠は美濃囲いのコンパクトな布陣から戦闘開始。金銀3枚からの圧力を避けるべく豪快に飛車を振り回したのが西山流の大胆なさばきでした。飛車桂交換の駒損よりも双方の陣形差を重視する大局観です。

佐藤九段が耐えて辛勝

形勢不明のまま局面は終盤へ。先手が細い攻めをつなげられるかに焦点が当たるなか、秒に追われた西山女流四冠に後悔の一手が出ます。後手玉に詰めろをかける香打ちは自然な一手ながら、手順に後手玉に入城を許したことで一気に寄せが見えづらくなりました。

その後も激しい攻め合いが展開されますが、勢いに乗った佐藤九段の反撃を止めるのは西山女流四冠をもってしても困難でした。終局時刻は11時53分、最後は自玉の受けなしを認めた西山女流四冠が投了を告げて佐藤九段の勝利が決まりました。

これで予選突破まで1勝と迫った佐藤九段でしたが午後に行われた阿久津八段との角換わり戦に惜しくも敗れています。

  • 佐藤九段は局後「(中盤は)うまくさばかれて苦しい戦いだった」と振り返った(写真は第69期王座戦挑決の時のもの 提供:日本将棋連盟)

    佐藤九段は局後「(中盤は)うまくさばかれて苦しい戦いだった」と振り返った(写真は第69期王座戦挑決の時のもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)

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