日本新生児成育医学会の公式X(旧Twitter)が11月27日、「ネット上での他人の母乳売買」について注意喚起をおこない、注目を集めている。ネット上で母乳が販売される事例が見つかり、こうした注意喚起に至ったようだ。同学会では、細菌汚染や、化学物質の混入リスクがあるとして、母乳バンクの利用を勧めている。ネットでは「買う奴がいるの?」「日本は母乳信仰が過ぎる」などと話題だ。

今回、日本新生児成育医学会の公式Xでは、「母乳売ります、を買わないで!インターネットでの母乳売買は、牛乳の混入や細菌汚染、化学物質混入等のリスクがあります」と注意を促した。また、「母乳バンクでは、母乳提供者の医学的背景の確認、提供母乳の検査と低温殺菌処理などの厳密な衛生管理のもと、必要なあかちゃんに安全な栄養を届けています」と付け加えている。

こうした注意喚起は、過去にも厚生労働省から「インターネット等で販売される母乳に関する注意喚起の依頼について(pdfが開きます)」として発表されている。そこでは、「既往歴や搾乳方法、保管方法等の衛生管理の状況が不明な第三者の母乳を乳幼児が摂取することは、病原体や医薬品等の化学物質等が母乳中に存在していた場合、これらに暴露するリスクや衛生面でのリスクがある」と説明。母乳を通じて感染する可能性がある病原体の例では、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)や、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)などが挙げられている。

母乳は、赤ちゃんの免疫系を強化する役割を果たすとされており、世界保健機関(WHO)では、生後6カ月間は母乳のみを飲ませることが推奨されている。少し古い調査になるが、2015年に厚生労働省が発表した「平成27年度 乳幼児栄養調査(pdfが開きます)」によると、日本においても母乳育児を希望する人は9割を超えている。しかし、生後3カ月の母乳育児率は54.7%と低いのが実態のようだ。こうした実態や、社会が母乳にこだわる風潮が、今回のような注意喚起の背景にあるのだろう。

ネット上では「母乳神話、続きますね。母乳もミルクも完母期も完ミ期も経験してますが、過ぎたことなので、今どんな影響があるのかわかりません」「よかれと思っても販売する気持ちがわかりません😨売買が横行していることに驚きです」「母親教室で、SIDSのリスク低下のためになるべく母乳で育てましょう。という印刷物が配られたら必死になると思います」「買う奴がいるの?(๑•ૅㅁ•๑)母乳で育てたいって…素性もわからない人ので?危険性とか考えないのかな」「日本は母乳信仰が過ぎる。そりゃ母乳が免疫力も高めるし良いというのはわかるが母体への負担がデカいもっと粉ミルクを推奨してもバチは当たらないだろ」などの声が寄せられている。