神奈川県の寒川町観光協会が、「西寒川支線100年記念硬券」を12月1日に発売した。「乗車券の製造を行う専門業者で作っている」(寒川町観光協会事務局長の久米順之氏)という硬券は、レプリカながらリアリティが高く、別売りのケースホルダーに入れるとキーホルダーとしても使えるようになっている。
西寒川支線は、かつて国鉄(現・JR)相模線に存在した支線で、寒川~西寒川間の1.5kmを結んでいた。当初は相模川で採取される川砂利の運搬を目的とする貨物線として、1922(大正11)年5月10日に開業。後に昭和産業一之宮工場が沿線に招致されると、その通勤客を運ぶために旅客営業を開始した。昭和産業一之宮工場は、戦時中に相模海軍工廠(しょう)となった。
戦後は再び貨物専用線となるが、海軍工廠跡地周辺への工場進出にともない、1960(昭和35)年11月に旅客輸送を再開。しかしモータリゼーションが進み、各工場も自前の送迎バスを運転したことなどから旅客輸送はふるわず、1984(昭和59)年3月に廃止された。
西寒川支線は昨年5月に開業から100周年、今年2月には西寒川駅の前身となる東河原駅の営業開始(1923年2月5日)から100周年を迎えた。これを記念し、JR東日本が今年11月11日に「西寒川駅開業100周年記念入場券」を茅ケ崎駅で発売したが、「発売当日の午前中で売り切れた」(茅ケ崎駅「みどりの窓口」)とのこと。入手できず残念に思った鉄道ファンは多いのではないかと思われる。
その意味でも、今回の「西寒川支線100年記念硬券」発売は朗報である。西寒川支線の廃線跡は緑道として整備されており、一部区間で線路も当時のまま残されている。この機会に西寒川支線の廃線跡を散策し、記念グッズを入手してみてはいかがだろうか。
販売数は硬券レプリカ(1枚150円)500枚、キーホルダー型ケース(1個600円)100個。セット購入の場合は700円。12月7日13時の時点で、硬券は在庫があり、キーホルダー型ケースも再入荷済み。数量限定だが、売れ行きによっては増刷するとのこと。