独自の地位を持つYOGA/LEGIONで成長機会を狙う
レノボ・ジャパンは2023年12月6日、Lenovo Legion および Yoga コンシューマ製品発表会を開催し、Yoga Book 9i Gen 8/Legion Goの二製品を発表しました。価格はYoga Book 9i Gen 8が382,800円前後より、Legion Goが134,800円前後よりで、どちらも12月8日に発売されます。
詳しいスペックは別記事を見て欲しいのですが、従来MultimodeだったYOGAシリーズはデュアルELディスプレイでさらに使い方を広げるMultimode+へ進化。そして日本でも一部のメーカーが販売していたハンドヘルドPCゲーム製品の発売となります。
発表会は冒頭コンシューマー事業部 営業戦略部 本部長の柳沼綾氏が、コンシューマーPCの現状と将来を紹介。レノボのコンシューマーパソコンとしては2008年にIDEAPADで市場に参入し、その後ノート、タブレット、テント、スタンドの4つのモードを備えたYOGAを2012年に投入と紹介しました。YOGAブランドは独自の地位を確立しています。
その後2017年にゲーミングパソコンのLEGIONを投入、こちらも高いコスパに加え日本独自の施策としてゲーミニケーションを提唱した社会人向けのeスポーツ部の設立と他社の設立支援、と若年層だけに留まらない施策や、サブスクリプション等でゲームの愉しさを伝える活動を行っています。
これからの新しいパソコンに求められる機能としてAI、フォームファクターとエコシステムを挙げました。いうまでもなくAIはここ数年のホットワードで、今年になって生成AIが社会現象となっています。レノボは従来クライアント内にAI機能を搭載していましたが、今後はクラウドと一体となったAIを開発しているそう。(差別化要素のある)YOGAやLEGIONを成長機会にしたいと期待を込めていました。
という事で、今回新しい体験を実現するYoga Book 9i gen8/Legion Goをリリース。Yoga Book 9i Gen8はCES 2023で52のアワード、Legion GoはIFA 2023で32のアワードを取得した製品という事で、日本ではやや遅れた投入となりますが柳沼氏は「特殊な部材に対応するのに時間がかかった」と回答していました。
二画面でMultimode+に進化したYoga Book 9i Gen8
製品そのものの説明はコンシューマー製品事業部 部長の櫛田弘之氏が行いました。
Yoga Book 9i Gen8には「The Book of Limitless Possibilities」と無限の可能性をキーワードとしており、中心となるディスプレイは13.3インチ。2,880×1,800の解像度を持つ有機ELをデュアルで採用。またタッチキーボードもあるためゴリラガラスで保護しています。
櫛田氏は(2012年に最初のYogaが出た際に)4-in-1として紹介していましたが、新製品は二画面を活用することでスクロール、ブック、ラップトップ、デュアルタブレット、テントと少なくても6つのモードに進化し「さらなる使い方をユーザーが開発して欲しい」と革新性をアピール。
ジェスチャー関係では3本指タップでタッチパッドが登場、8本指タップでソフトウェアキーボードが出るが、手前にも8本指スワイプで移動し、この場合はタッチパッドがメモ帳代わりにもなります。タッチキーボードは押した感覚に乏しいと言われていますが、「押すとキーボードが凹む」画面アニメーションと振動でキータッチを再現するハプティックスで対応しています。ハードウェアキーボードも付属しており、これも画面の上に置く位置でタッチパッドの位置が変わるとかなりの芸の細かさになっていました。
ThinkPad Foldとは異なり基本は独立二画面ですが、5本指で全画面ブラウズに素早く切り替わったり、ジェスチャーやボタンで上下左右のウィンドウ位置を切り替えるのはなかなか便利そうでした。これらのUIは付属しているYoga Book 9i User Centerで管理可能。
また筆圧感知のペンも付属しており、これを使って簡単にメモを取る。画面キャプチャの一部をメモに移す、手書きのメモをテキスト化するとディスカッションをしながらのメモをあとで清書するにも向いているように思えました。
スピーカーは最近のYogaで採用しているヒンジ内に入れており、今回はDolby AtomsとDolby Visionにも対応します。
サステナビリティに関してはレノボ全体で対応中(先日、Thikpad X1 Foldの説明と共にサステナビリティに関する説明会も行われています)。Yoga Book 9i gen8では天板のアルミニウムが100%リサイクル素材、ACアダプタの外装を90%リサイクルプラスチック、梱包材もすべてFSCマーク付きの素材とそこそこ進んでいるように思えますが、ThinkPadが最近対応している「製品を購入して剥がすだけの(保護)フィルムがコンシューマー製品には残っている」との事。
ちなみにレノボは2021年に「今後5年以内にすべてのPCパッケージを100%リサイクル素材を使う」と目標を設定しています。
製品重量は1.34kgで「劇的に軽い製品ではないが、PCとモバイルディスプレイを持つと考えれば軽いのでは?」と説明していました。
分離コントローラーはマウス代わりのFPSモードにも
引き続き柳田氏はLegion Goを紹介。「ハンドヘルドとしても(ディスプレイやキーボード類を接続して)パソコンとしても、コンソールとしても使える」と多機能性をアピール。
性能に関してはRyzen Z1 Extremeを搭載していることに加え、ファンの設計を重視して通常でも25Wでの動作、カスタムモードでは30W設定もできると見た目以上の性能があると紹介。通常使用時は25db未満と非常に静かですが、ゲームでフルパワーを出すためのパフォーマンスモードで動作させてみると思ったよりも風量のあるファンを使用しているのがわかります。
ディスプレイは8.8インチのWQXGA(2,560×1,600)、500nitt、144Hzとゲーム用としてはかなりの解像度で明るいものです。
左右のコントローラーはかなりのボタンを備えています。これは様々なモードで使う事を想定しており、コントローラーを本体から分離して使用する場合にそのまま握って使えるほか、右側コントローラーを添付するベースに取り付けることで「左手でWASDでの移動、右手はマウス」の操作となるFPSモードとなります。
ジョイスティックもドリフト減少が起こりにくいホール素子を使いタッチパッドも搭載しており、本体だけでもマウス操作ができるのは面白いところ。
ゲームの起動もプリインストールされているLegion Spaceから簡単にゲームにアクセスできます。