お風呂上がりに体重測定して記録できる「スマートバスマット」を販売するissinが、新たなスマートデバイスを正式発表しました。心拍数と連動したオンラインのエクササイズサービスに使う製品です。
新サービス「Smart 5min」は、運動が健康にいいとは言われていても、なかなか時間が取れない「運動の習慣がない人」がターゲット。エクササイズを習慣化してもらう工夫を凝らした、ユニークなサービスです。
2023年9月に開発発表されており、12月6日から応援購入サービス「Makuake」で支援募集を開始。1日目で(目標金額の3倍となる)300万円を突破しました。一体どんなデバイスなのでしょうか。
運動しない人に向けた運動サービス。「健康な生活」を目指して
「Smart 5min」は、心拍数を測るスマートバンドと、スマートフォン向けアプリを組み合わせたオンライン運動サービスです。“朝の5分間”を使い、高強度の運動20秒間+休息10秒間を8セット繰り返す「タバタトレーニング」で、毎日の生活に運動を取り入れ、生活習慣病のリスクを減らし健康の維持を目指します。
Makuakeでのリターンは、「超超早割 40%オフ」で5,880円(残り18個)、「超早割 35%オフ」で6,370円(個数制限なし、いずれも2023年12月7日13時50分時点)など。購入すると、スマートフォンアプリの有料メンバーシップ1年分(年間6,000円。無料時からの自動更新はなし)が付属します。
一般販売時の想定価格は9,800円前後を想定。Makuakeで販売した製品のリターン発送が完了した後に、量販店などでの一般販売も予定しています。
使い方は、朝起きた後、好きなタイミングでバンドを手に巻き、バンドとBluetooth接続したスマホで専用アプリを立ち上げ、その日の体調をアプリ上で選択。すると準備運動を経てトレーナーによる配信が始まり、見本の動きに合わせて5分間運動、終わった後に気分を選んで終了となります。
運動中は、一緒のタイミングでトレーニングしている人のユーザー名や心拍数が表示され、”一緒に頑張っている人がいる”一体感を演出します。
どうやって運動を習慣づけるか? 3つの工夫に注目
この「Smart 5min」の面白いところは、徹底的に「運動しない人」向けのサービスだということ。スポーツ計測機能を持ったスマートウォッチは数多くありますが、機能が豊富であればあるほど、運動のベースがない人にはハードル高く感じることもあります。
開発会社のissinは、シーリングライト一体型プロジェクター「popIn Aladdin」(現Aladdin X)シリーズで知られるpopInを立ち上げた程涛(テイトウ)氏が創業。テイトウ氏はpopInに在籍していた2021年12月、いま注目を集めているNintendo Switchソフト「スイカゲーム」もリリースしています。
シーリングライト一体型プロジェクターでは電気を点けるときにそのままプロジェクターを使うかどうかが頭をよぎり、スマートバスマットではお風呂上りにバスマットを使うついでに体重を測れるものの、運動は生活上の導線となるきっかけがなく、テイトウ氏は「習慣化させる仕組みづくりが一番難しい課題だった」と紹介しました。
厚生労働省の調査によると、20歳以上で運動習慣がある人の割合は3割ほど。特に働き世代となる20代~60代では3割を切る世代が多く、運動できない理由の1位は「仕事(家事・育児など)が忙しくて時間がない」、2位は「面倒くさい」といった理由が挙げられています(厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」/令和元年)。
そこで「Smart 5min」には、運動を習慣させる工夫が凝らされました。具体的には、準備不要で5分でできること、AIが自動で自分に合った運動を提案してくれること、心拍数(運動強度)や参加ユーザーを可視化してモチベーションにつなげることです。
朝起きたとき、顔を洗った後、水を一杯飲んだ後……ルーティン化しやすい朝の5分で、準備なく運動をスタートできる点がこだわりの1つ。カメラも不要なため、フォーム指導など双方向のやりとりはできませんが、部屋着のままで参加でき、部屋の掃除もいりません。顔を洗ったり歯を磨いたりと、習慣になっている行動が多い朝の利用が推奨されていますが、もちろん、昼や夜でもエクササイズを実施可能です。
なお、バンドを手首に巻くのも面倒に感じる場合があるため、腕にパチンと当ててくるっと巻き付ける、おもちゃのような仕組みのバンドを採用しました。
そして、スマートフォン向けアプリの操作は、最初に出てくる体調選択と、最後に選ぶ運動後の気分の選択だけ。
運動の習慣がない人は、そもそも自分に合った運動が何かわからないものですが、「Smart 5min」ではユーザーの個人データやその日の体調、運動後の気分の選択などを、使っていくうちにAIが学習し、自動でその人にあったエクササイズを提供。「頭を極力使わなくていいようにしたかった」とテイトウ氏はいい、2~3週間でパーソナライズが進みますが、使えば使うほどその精度は高くなっていくとのことでした。
モチベーションについては、トレーニング中の運動強度をリアルタイムで測定するほか、一緒にトレーニングしている参加者のユーザー名と運動強度も表示することで、運動ジムで隣の人が頑張っている様子を見るような感覚で、自分も運動できます。
この運動強度は、トレーニング中の心拍数を最大心拍数(220-年齢)の割合(%)に基づいて、5つの心拍ゾーン(低強度/中強度/高強度/ほぼ最大/最大)に分類したもの。その人の最大心拍数に対しどの程度の負荷がかかっているのかを%で表示でき、自分や参加者の状態がひと目でわかります。
タバタトレーニングの科学的メカニズムを証明した立命館大学スポーツ健康科学部 特命教員(教授)の田畑泉氏は、「高強度のトレーニングはとてもきつい。そうではなく、安全で楽しい運動で最初の一歩を推奨したい」と「Smart 5min」への取り組み方を紹介しました。