2023年12月2日から3日にかけて、Riot Gamesが主催するイベント「Riot Games ONE 2023」が、神奈川県・Kアリーナ横浜にて開催されました。「Riot Games ONE 2023」は、Riot Gamesが今年の集大成を披露するオンライン・オフライン統合イベントで、Kアリーナ横浜でのオフラインイベントは、そのフィナーレにあたります。
オフラインイベントでは、人気ストリーマーたちが『League of Legends』(以下、LoL)で対戦する「The k4sen」や、『VALORANT』のストリーマーチームがプロMIXチームに挑戦する「THE UNLOCKERS」、そして『VALORANT』の海外プロチームを招待して行われる「PRO INVITATIONAL」が行われました。記事では、DAY1の模様をお届けします。
Kアリーナ横浜の音響を活かしたオープニングからスタート
会場のKアリーナ横浜は、2023年9月末にオープンしたばかりの新施設。良質で迫力ある音を届けるハイクラススピーカーが設置され、かつ全席がステージ正面を向いた扇形になっている、没入感の高い会場です。
そうしたKアリーナ横浜の特性を活かし、イベントはホロライブ所属VTuberによる音楽パフォーマンスからスタートしました。「Riot Games ONE 2023」限定ユニットとして登場したのは、紫咲シオンさん、ラプラス・ダークネスさん、ハコス・ベールズさん、こぼ・かなえるさんの4名。『LoL』のチャンピオン(キャラクター)で構成されたバーチャルポップグループ「K/DA」の楽曲『POP/STARS』を披露しました。
なお、今回「PRO INVITATIONAL」で招待されたシンガポールチーム「Bleed Esports」のEgoist選手は、兄弟でホロライブの大ファンなのだそう。試合中には、デスクにぬいぐるみを置いてプレイしていたほどで、DAY1終了後の記者会見では「オープニングでパフォーマンスを見ることができて、とても興奮しました」とコメントしていました。
フードやブースなど、会場内外に盛りだくさんのコンテンツ
会場の内外には、オフィシャルグッズ販売やフードエリア、スポンサーブースなど、充実したコンテンツが展開されました。オンラインで配信を楽しんでいた人にとっては、インターバルが少し長く感じられたかもしれませんが、会場でステージ間に各種コンテンツを楽しもうとすると、むしろ時間が足りないほどでした。
会場の外に設けられたフードエリアには、コラボフードのキッチンカーがずらりと並びます。コラボフードは、箱やカップがイベント仕様のデザインになっているだけでなく、イベントのテーマカラーであるグリーンを取り入れた、見た目にインパクトのあるさまざまなフードが販売されました。
また、オフラインイベントではおなじみのコスプレイヤーたちも多数参加し、会場をより華やかに盛り上げます。スポンサーブースでは、メーカーやデバイスなどのゲームに関わりが深い企業のほか、セブン-イレブンやメンズビオレONE、キッコーマン豆乳など、毛色の違う企業の出展も複数見られたことが印象的でした。
想像を超える演出でファンを驚かせた「The k4sen」
オープニングアクトに続いてステージで行われたのは、人気ストリーマーたちが『LoL』で対戦する「The k4sen」。k4senさん率いる「Team The k4sen」とSHAKAさん率いる「Team The SHAKA」が、Bo1で対戦します。オマージュをふんだんに盛り込む「The k4sen」らしく、韓国リーグ「LCK 2023」のSpringとSummerを元ネタにしたオープニングムービーからスタートしました。
試合は、「Team The k4sen」がリードするなか、「Team The SHAKA」が逆転のチャンスをつくる白熱した展開を迎えます。しかし、終盤では「Team The SHAKA」がバロンを獲得する隙に、「Team The k4sen」が一気にゲームエンドを狙う判断で勝利しました。
両チームともに十分な見せ場をつくりましたが、「The k4sen」の本領発揮はここからでした。試合後のトーク中、敗北した「Team The SHAKA」のらいじんさんが怒ってステージを去り、会場が騒然とするなか残るメンバーが慌てて追いかけます。すると、ステージが暗転。そして、らいじんさんがクロノブレイクを発動し、時を戻す――という映像が流れたのです。
クロノブレイクとは、『LoL』のチャンピオンであるエコーが持つ、時を巻き戻すスキルのこと。映像では、アニメ『Arcane』でエコーとジンクスが戦うシーンや、エコーの紹介トレーラーがオマージュされていました。映像のあと、ステージには再び幕がかかったトロフィーが現れ、「The k4sen」が始まる前まで時が戻されたのでした。
驚くほど高いクオリティのオマージュ映像によって、両日ともにBo1を行うという2日間のイベントを最大限おもしろく見せる、「The k4sen」にしかできない見事な演出でした。なお、「Team The k4sen」が敗北した場合は、しゃるるさんがクロノブレイクを発動する想定で、そのパターンの映像も用意されていたことが、のちの配信などで明かされています。
ストリーマーチームがプロに挑んだ「THE UNLOCKERS」
続いてのコンテンツは、『VALORANT』でストリーマーチームがプロMIXチームに挑む「THE UNLOCKERS」。ストリーマーチームが1キル獲得するごとに1枚、1ラウンド獲得するごとに5枚のオリジナルTシャツを獲得し、来場者に抽選でプレゼントされます。
DAY1のストリーマーチームは、Clutch_Fiさん、mittiiiさん、MOTHER3さん、鈴木ノリアキさん、TORANECOさんの5名。対するプロMIXチームは、「FENNEL」CLZ選手、「Crazy Raccoon」makiba選手、「FENNEL」SyouTa選手、「SCARZ」善悪菌選手、そしてヨーロッパチーム「NAVI」からsuygetsu選手を迎えた5名です。
試合は、ストリーマーチームがファーストラウンドを獲得する滑り出しを見せましたが、対するプロMIXチームは、suygetsu選手を筆頭に圧倒的なフィジカルを披露。しっかりとその実力を示し、プロMIXチームが13-6で勝利しました。そして、ストリーマーチームの59キル6ラウンド獲得という活躍により、計89枚のTシャツが来場者にプレゼントされました。
各チームの新体制に注目が集まった「PRO INVITATIONAL」
続くコンテンツは、『VALORANT』プロ4チームによるエキシビジョンマッチ「PRO INVITATIONAL」です。日本からは「ZETA DIVISION」(以下、ZETA)と「DetonatioN FocusMe」(以下、DFM)、海外からは「BLEED Esports」(以下、BLD)と「NAVI」が出場。どのチームも、来シーズンに向けた新体制に注目が集まりました。
マッチ1は、「BLD」対「NAVI」。「BLD」は、今年「VCT Ascension Pacific」を制し、2024年から新たに「VCT Pacific」参戦を決めたチームで、スタープレイヤーyay選手の加入も大きな話題になりました。しかし、残念ながら今回はyay選手が体調不良により参加できず、新体制のお披露目はおあずけに。yay選手の代わりには、LEGIJAコーチが出場しました。
対する「NAVI」は、10月にardiis選手が加入し、2022年の国際大会「Masters Copenhagen」で「FunPlus Phoenix」として優勝したときのロスター5名が復活しています。「BLD」との試合では、Shao選手が少人数戦での驚異的な強さを見せ、「NAVI」が13-7で勝利しました。
続くマッチ2は、「DFM」対「NAVI」です。「DFM」は先日「Crazy Raccoon」との業務提携を発表し、neth選手、Meiy選手、popogachi選手が新たに加入。来シーズンに向けた期待感を見せたい「DFM」でしたが、連携力の高さで圧倒した「NAVI」が13-3で勝利しました。
そして、マッチ3は「ZETA」対「DFM」。「ZETA」も来シーズンに向け、hiroronn選手、Yuran選手、Carlaoコーチを新たに迎えています。この日本チーム対決では、Dep選手がレイナでずば抜けたパフォーマンスを発揮し、「ZETA」が13-2で圧勝。「DFM」は、まだ日が浅いロスターであるという背景はあるものの、今年はチームづくりの面で苦戦が続いただけに、来シーズンに向けたプレッシャーは大きいでしょう。
DAY1の終了後には、「NAVI」と「BLD」の記者会見が行われました。新ロスターの「DFM」と対戦した印象について、「NAVI」のd00mbr0sコーチは「新しいロスターというのは、それ自体が挑戦です。そんななか、新しいセットアップなどいろいろなことを試していると思いますが、まだチームとしての基盤ができていないように感じました。なので、ここからどう育てていくかじゃないでしょうか。どのチームにもポテンシャルがあると思うので楽しみです」と語りました。
また、yay選手の加入後のチームの変化について、「BLD」のLEGIJAコーチは「彼はとても経験があり、多くのことを成し遂げてきたスーパースター的な選手です。彼自身もそういったメンタリティを持ってこのチームに来ているので、自分たちがそれに慣れていくことと、文化的なバックグラウンドが異なる彼がこちらに慣れていくこと、そのお互いのやり取りがとても大事だと思っています。そして、今それが実際にうまくいっているので、満足しています」と、自信をのぞかせました。
2タイトルともにオフライン完全復活を遂げた2023年
イベントはDAY2も同様のスケジュールで開催され、今年の集大成となる「Riot Games ONE 2023」は幕を閉じました。2023年は、『LoL』と『VALORANT』の2タイトルにとって、オフラインが完全復活を遂げた年だったといえます。
『LoL』は今年8月、国内プロリーグ「League of Legends Japan League」(以下、LJL)のオフライン大会が4年ぶりに復活。ひと足早くオフライン大会が行われていた『VALORANT』も、今年6月に国際大会「Masters Tokyo」が開催され、声出し解禁によってより一体感のある盛り上がりを見せました。
コロナ禍が明け始めた昨年は、オフラインで大会やイベントが体感できるだけで、ファンにとって十分な価値がありましたが、良い意味でだんだんとオフラインが特別なものではなくなってきたといえるでしょう。それを踏まえると、特にオフラインイベントの機会が多い『VALORANT』では、コンテンツに変化が求められているようにも感じます。
ただ、両タイトルの競技シーンにおいては、来シーズンに向けたさまざまな変化が発表されています。特に『LoL』では大会形式が刷新され、「LJL」が「Pacific Championship Series」(以下、PCS)エコシステムに加入。「LJL」上位3チームが「PCS」プレイオフにて国際大会の枠をかけて戦う形になるため、日本チームにとって大きな挑戦の1年となるでしょう。両タイトルともに、ぜひ2024年の大会やイベントにも注目したいところです。