使用済みコピー用紙を原料に再生紙を作り出すエプソンのオフィス向け製紙機「PaperLab」(ペーパーラボ)に、大幅な小型軽量化と低価格化を果たした次世代モデル「新型PaperLab(プロトタイプ)」が登場しました。専用シュレッダーで粉砕した使用済みコピー用紙を入れれば、数分でA4用紙に再生されます。資源保護だけでなく機密保持にも役立つ夢のような製紙機、販売開始は2024年秋の予定です。プロトタイプのため、正式な型番や価格は未定となっています。

  • エプソンのオフィス向け製紙機の次世代モデル「新型PaperLab(プロトタイプ)」。高さが抑えられており、圧迫感なく設置できるようになった

普通のオフィスにも置きやすくなった新型PaperLab(プロトタイプ)

12月6日に開幕した展示会「エコプロ2023」のエプソンブースで、次世代PaperLabの実機がお披露目されました。新型PaperLab(プロトタイプ)は、内部で実行する紙の繊維化や紙への成形の工程を効率化し、現行のA-8000よりも大幅に小型化しています。販売価格もA-8000の半分程度に抑える見込みで、一般企業のオフィスや官公庁の施設などに設置しやすくしたのが特徴です。

  • 新型PaperLab(プロトタイプ)。製品版もほぼこの外観で販売する見込みとのこと

  • これまでのA-8000では2つに分かれていた工程を1つに統合するなどして、本体の小型化を図った。生成した再生紙をもとに、また繰り返し再生紙を生成できるのもポイント

  • PaperLabの製紙プロセスは従来と基本的に変わりない

機能面の改良では、繊維化した紙を結合する際に使用する結合材を樹脂から天然由来の材料に置き換え、環境に配慮しています。さらに、PaperLabで作った再生紙をもとに再生紙を繰り返し生成できるようにしました。

材料にできるのは、専用のシュレッダーで細かく粉砕した使用済みコピー用紙で、用紙をそのままの形で材料にはできません。今後、シュレッダー機能を本体に内蔵した派生モデルも開発する予定だとしています。生成できるのはA4サイズのコピー用紙で、カラー用紙や厚紙、A4以外のサイズの用紙の生成には対応しません。

  • 手前の専用シュレッダーと組み合わせて利用する。一般的なシュレッダーで粉砕した紙は材料にできないという

  • 専用シュレッダーを内蔵し、A4用紙が直接投入できる派生モデルも開発しているという

これまでのA-8000にはなかった工夫として、本体の表示パネルで環境保護への貢献度がチェックできるようにしました。新品のコピー用紙を使った場合と比べて、CO2排出量をどれだけ抑えたか、木材や水の資源をどれだけ保護したか、ということが数字で表示されます。この数字を社外に開示することで、環境保護への取り組みをアピールしたり、会社のイメージ向上につなげたりできるとしています。

  • 前面にある穴の奥に生成したA4用紙が排出される。その隣には、操作や情報表示のパネルを搭載する

  • 表示パネルで、再生紙を生成した枚数が確認できるほか、CO2排出量の抑制量などの環境保護の結果が数字で示される。これらの情報はスマホでも確認できる

  • 専用シュレッダーにも表示パネルを備えており、各種情報が確認できる

  • 専用シュレッダーで粉砕した用紙を左側から投入する。A4用紙そのままの投入はできない

  • 数分経つと、再生したA4用紙が生成できる。会場で見た限り、耳障りな騒音は聞こえなかった

PaperLab A-8000の改良版も投入

合わせて、販売中の現行モデル「PaperLab A-8000」の改良版モデル「PaperLab A-8000リフレッシュモデル(プロトタイプ)」も発表。使い勝手を改善したほか、生成できる用紙サイズを最大A3延長用紙に拡大しています。こちらは2024年春の販売開始予定で、同じく正式な型番や価格は未定です。

  • こちらは、現行モデル「PaperLab A-8000」の改良版「PaperLab A-8000リフレッシュモデル(プロトタイプ)」

  • カラー用紙が作れる点、厚紙やA3延長用紙の生成に対応する点など、機能は新型PaperLab(プロトタイプ)よりも優れている

PaperLabの開発を統括するセイコーエプソンの山中剛氏は「オフィスなど事業所内で使用済み用紙を粉砕して再生紙が作れるので、情報漏洩のリスクが抑えられる。市区役所などの公共施設に設置すれば、地域の子どもの環境教育にもつなげられる」と、PaperLabのメリットを語ります。

  • 「セイコーエプソンは2050年までにカーボンマイナスと地下資源の消費ゼロを目指す」と環境保護への意気込みを語る、セイコーエプソンの五十嵐人志氏

  • PaperLabの開発を統括するセイコーエプソンの山中剛氏