iPhoneの手軽さと扱いやすさで、プロのニーズに応える本格的な写真撮影機能を提供するカメラ・アプリ「Halide」。OS標準の「カメラ」アプリからのステップアップを目指すiPhoneユーザーに好まれている。そのHalideを開発するLux Opticsの共同創業者であるベン・サンドフスキー(Ben Sandofsky)氏が12月4日に、「The Announcement」というメッセージ動画を公開し、新しいビデオ・アプリ「Kino」を発表した。2024年2月までに最初のバージョンをリリースする予定。Halideユーザーからは、Halideへのビデオ撮影機能の追加が求められていたが、サンドフスキー氏はその可能性を否定し、写真アプリとビデオ・アプリを別々に提供する。

Halideは、ライブ露出値モニター、フォーカスアシスト、手動深度キャプチャなど豊富な撮影ツールを備えている。「プロ仕様カメラ」を謳うカメラアプリだが、機能面で言えば、他の本格カメラアプリに比べてHalideにしかない機能はなく、むしろ乏しい。その魅力は、タッチ向けにデザインした独自のユーザーインターフェイスで、本格的な撮影機能や手動モードのカメラコントロールをスムーズに扱えるようにしていること。機能と操作性のバランスが良く、多機能でありながら動作は軽快で、本格的な撮影を手軽に楽しめるのが特長である。Halideがビデオアプリを作る場合、これらの特長を組み込むことが期待される。

  • Halide

Halideの最初のバージョンは2017年のiOS版で、それはiPhoneのRAWサポートの追加に合わせたリリースだった。同様に、Kinoの開発も、AppleがiPhone 15 Pro/ iPhone 15 Pro MaxにLog(Apple Log)ビデオ・エンコーディングのサポートを追加したことから始まった。Logはプロの映像制作で使用される映像の収録方式で、ダイナミックレンジが広く、撮影した映像にカラーグレーディングを施して自由に色味を調整し、より高度な編集を可能にする。サンドフスキー氏によると、「映像制作者にとってのLogビデオは、写真家にとってのRAWと同じようなもの」であり、使いこなすことで通常のカメラ撮影では難しい深みのある映像表現を得られる。

これまでLogビデオのサポートは一部のプロ仕様のビデオカメラに限られたが、AppleがiPhoneでApple Logをサポートしたことで、プロ以外の人たちもLogビデオを撮影しやすくなった。さらにKinoのような撮影ツールが登場することで、プロの知識と経験を持たないユーザーもより本格的なLogビデオ撮影を楽しめるようになる。