岡山県矢掛(やかげ)町で「体験型ふるさと納税」を利用し、e-bikeで地域散策を楽しんできました。利用したモンベル社製のe-bikeや矢掛町観光で訪れたいおすすめの店などをレポートします。

  • e-bikeで江戸時代の宿場町を観光

倉敷の奥座敷「岡山県 矢掛町」って?

岡山県の南西部に位置する矢掛町。美観地区で有名な倉敷駅から電車で約30分の場所にあり、里山の豊かな自然と、300年以上変わらない宿場町の街並みが印象的な町です。

  • 重要伝統的建造物群保存地区に指定される「矢掛宿」

江戸時代に旧山陽道の十八番目の宿場町として栄え、今でも当時の面影を残す街並みが残ります。

  • 参勤交代で往来する大名が宿泊した「旧矢掛本陣石井家住宅」

参勤交代で往来する大名が宿泊した、旧矢掛本陣石井家住宅と旧矢掛脇本陣高草家住宅は、どちらも重要文化財に指定されている貴重な建物です。本陣・脇本陣の両方が重要文化財として残っているのは日本で唯一、矢掛町だけ。

  • 本陣だけに宿泊できないときに、予備として利用していた「旧矢掛脇本陣高草家住宅」

毎年11月第2日曜日には、矢掛市街地を舞台に「矢掛の宿場まつり大名行列」も開催し、当時の様子を再現しています。

「道の駅山陽道やかげ宿」で、現地体験型ふるさと納税を申し込む

矢掛町では「現地体験型ふるさと納税」を導入。

従来のふるさと納税では、オンラインで返礼品を選んで納税をし、後日返礼品が送られてくるのに対し、こちらでは、寄付を行う人が直接現地に赴いて手続きし、その場で体験利用券などのお礼品を受け取って利用できる制度です。

  • 道の駅山陽道やかげ宿は駅舎のデザインを岡山出身の工業デザイナー・水戸岡鋭治氏が監修

今回は寄附金額10,000円で、アウトドアブランド「モンベル」のe-Bikeをペアで5時間利用できるチケットと交換してきました。

  • 道の駅山陽道やかげ宿で申し込み、すぐに体験可能

利用できるのは、モンベルの最新電動アシスト付きMTB(e-Bike)「シャイデックMT-E」。同ブランドの自転車を採用したのは、矢掛町とモンベルが包括協定を締結しているのが理由だと聞きました。

剛性に優れた異形断面チューブや高性能フロントフォークを備え、高いポテンシャルをもつ車体にドライブユニット「SHIMANO STePS E8080」を搭載。

アシストモードはエコ、ノーマル、ハイの三段階から選ぶことができ、シーンに応じて効率的な走りができるようになっているのが特徴です。

  • 平坦な道ではエコ、山道ではハイにして走行した

往復15kmの道のりを、坂道や山道、砂利道などで走行してみましたが、安定した走行で疲れを感じません。特にe-bikeだと「一生懸命漕ぐ必要」がないので、里山の風景を眺める余裕もありました。

サイクリングで立ち寄りたい、矢掛の名店

関東でゆべしと言うと胡桃の餅菓子を想像しますが、岡山では柚子が練り込まれた餅菓子のことを言います。岡山県は柚子の産地であるため、江戸時代より地元産の柚子を使用した柚べしが製造されてきました。

  • 天保元年創業の老舗和菓子店「佐藤玉雲堂」

「佐藤玉雲堂」の柚べしは、餅米、柚子皮、白味噌、砂糖のみを使用したシンプルな一品。中身は竹皮に包まれていてもっちもち、柚子の良い香りが漂います。参勤交代の大名たちにも好まれ、矢掛本陣に宿泊された篤姫様も気に入ったという代物です。

カカオ豆と砂糖のみを原材料とし、矢掛町産花崗岩の石臼で仕上げる本格クラフトチョコレート店「石挽カカオissai」。

店内では全商品の試食ができ、じっくりと味見をしながら商品を選べます。サイクリング休憩には、カカオの旨味をダイレクトに感じる「石挽カカオチョコアイス」がおすすめ。

  • チョコレートとカカオの専門店「石挽カカオissai」

木工作家・フジタマリさんの作品と妹の恵莉奈さんが作る焼き菓子やドリンクが楽しめるカフェギャラリー「ときとま」。お二人は他県から矢掛町に移住し、古民家を自分たちでリノベーションしたのだそう。

  • カフェと木工作家フジタマリのギャラリー「ときとま」、恵莉奈さんが作る焼き菓子は旬の食材を使った季節限定の味わい

フジタマリさんの木工作品は、広葉樹の優しい色合いと、ころんとした可愛いフォルムに癒やされます。カフェタイムを楽しみながら、作品を選んでみては。

  • 「矢掛屋 INN & SUITES」で江戸の古民家に泊まる

e-bikeで矢掛町を巡った後は、江戸の古民家を再生した「矢掛屋 INN & SUITES」で宿泊し、里山のゆったりとした時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。

  • 徒歩5分程度の範囲に客室、夕朝食施設、温泉が分散している

「矢掛屋INN & SUITES」では、複数の空き家を利用して宿泊施設や受付、食堂等を別々に配置。施設が建物内に一体となった通常のホテルとは違い、観光客が宿場町全体を巡って、溶け込んで滞在できるようになっています。

もともとイタリアで発祥したまちづくりの概念で、「Albergo=宿」「Diffuso=散らばっている」という意味があり、矢掛町は世界初の「アルベルゴ・ディフーゾ・タウン」に認定されています。


岡山駅や倉敷駅から少し足を伸ばすだけで、こんなにも美しい里山が広がっているのかと驚きました! e-bikeを利用すれば、宿場町の街並みから、田園や里山ののどかな風景を一度に楽しめて、旅行の幅が広がりそうです。