NTT西日本が地域の企業や自治体のDXを支援する拠点として2019年8月より展開している「LINKSPARK」(大阪府大阪市・グランフロント大阪)。その大阪拠点に設けられた「Microsoft Base Osaka-Umeda」について、メディア向けの説明会が10月13日に行われた。
DX推進拠点「LINKSPARK」とは
日本国内の約60%の企業はDXの検討を進めている一方、 その推進に当たってはデジタル人財の不足、DXで取り組むべきテーマの設定、ICT環境準備といった課題を抱えているという。
こうしたことを背景にNTT西日本が地域の企業や自治体のDXを支援する拠点として展開しているのが「LINKSPARK」で、大阪拠点を2019年8月にグランフロント大阪にて開設。その後は金沢、名古屋、福岡、2023年1月に開設された広島とオープンを進めてきた。
LINKSPARKでは、データに基づく意思決定をサポートするデータサイエンティスト、デザイン思考によるビジネスアイデアの創出をサポートするデザインシンカーなどのメンバーが常駐。DX施策の実行における課題解決やDXのテーマ設定からICT環境準備までのトータル支援を実施している。
いずれの拠点でもディスカッションスペースやデモ展示スペース、カフェなどを併設しており、開設から約4年で1,000件を超えるDX案件を創出してきたという。
そうした中で今年5月、地方自治体や大学などに向けてコンサルティング・ソリューション提供を行ってきたNTT西日本は、日本マイクロソフト社と連携。グローバルで多様なクラウドサービスを展開する日本マイクロソフト社の強みを掛け合わせながら、さらなるDX推進支援を実施していくため、「LINKSPARK OSAKA」の一角に「Microsoft Base Osaka-Umeda」を開設した。
事業変革・価値創出に向けたDX推進のヒントなる新技術を駆使した、さまざまなデモ展示を用意している「LINKSPARK大阪」だが、「AI Port」、「Microsoft Base Osaka-Umeda」の「Hololens2を活用したMR体験」「生成AI活用」という3つのデモを紹介している。
マイクロソフト社の最先端技術の活用方法をデモで紹介
「AI Port」は入力 (Input) / 中間処理 (Processing) / 出力(Output)のブロックを組み合わせることによって、さまざまなAIサービスの技術・仕組みを直感的にわかりやすく紹介するデモ。
大半のDXサービスはAI要素技術 (物体検知・感情推定・音声認識等)を組み合わせによって実現されており、本デモではブロックを使いそうしたAIサービスの一例を体験できる。
今回のデモでは、カメラとマイクの入力ブロックやディスプレイなどの出力ブロックを配置。カメラに映るものをタグで表示する「物体検知」のAI、人の表情をデータとして読み取る「感情推定」のAI、マイクから入力された音声をリアルタイムで文字起こしする音声認識のAI などの処理が紹介された。
既存のAI要素技術を適材適所で配置することで、AIサービスを短期間・低コストで容易に構築でき、最新技術やトレンドに合わせた柔軟な置き換えが可能であることを体感できるのも本デモの特徴のようだ。
続いて紹介されたのは「HoloLens2」というデバイスを活用し、仮想世界と現実世界を融合させたMR (Mixed Reality)体験のブースだ。
AR/VRとの違いは相互作用性で現実世界に仮想物体がその場にあるかのように映し出すことができ、仮想物体を表示するだけではなく、触る・掴むといった操作ができること。ジャスチャー・音声による操作が可能な完全ハンズフリー型デバイスを使い、3Dホログラフィックで物体を投影可能で高度な再現性を実現していることもMRの特徴だという。
製造業における製品開発や、研修・教育分野、新たな観光体験などへの活用が期待されているMR。今回のデモでは、観光分野におけるルート案内アプリを想定したユースケースと製造業での活用を想定した大型設備の設置シミュレーションという、2種類のデモが紹介された。
最後に紹介されたのは、ビジネス改革が期待されている生成AI「Azure OpenAI Service」(ChatGPT)に関するデモのブース。
高性能なAI言語モデルでテキスト処理や会話を実現し、基本機能に加えてシステム連携によって幅広い価値を提供するChatGPTだが、ビジネス用途では情報漏洩リスクなども指摘されてきた。
マイクロソフト社のAzure OpenAI Serviceの活用では、高度なAIをセキュリティ、 SLAを担保したかたちで利用可能で、他システム連携による拡張性の高さなどもポイントだという。今回のデモでは「平家物語」の要約と英文への翻訳、ダイエットなどのニーズに合わせた献立レシピの提案、ホームロボットと生成AIの技術を掛け合わせによる活用方法などが行われた。
NTT西日本では日本マイクロソフト社との連携によるこれらのデモ体験なども通じて、DX推進をさらに加速させていきたいとのことだ。