ヒューリック杯第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は二次予選が進行中。11月28日(火)には第12ブロックの斎藤慎太郎八段―牧野光則六段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの熱戦を139手で制した斎藤八段が決勝トーナメント進出まであと1勝としました。

両者得意の相掛かり

二次予選から登場の二人は予選突破のために2連勝が必要。振り駒が行われた本局は先手となった斎藤八段の注文で相掛かりに進みます。自玉を中住まいに収めた両対局者はともに右銀を玉の守りにつけて持久戦の態度を示しました。

局面は先後同型に近い構えながらも後手の牧野六段が飛車を五段目に引いている点が注目を引きます。飛車の横利きをうまく活用した牧野六段は持ち歩を3枚にして先攻の姿勢。この後も手筋を駆使して桂を使った銀の両取りをかけることに成功しました。

一気の踏み込みで抜き去る

苦しい時間が続く先手の斎藤八段ですが、自陣の遊び駒を活用して決め手を与えません。本格的な戦いを前に盤上では両者からの歩の手筋が飛び交うなか、機を見て飛車取りに桂を打ったのが斎藤八段の反撃開始の合図となりました。

後手陣に連続してくさびの桂を打ち込んだ斎藤八段はここから一気にギアチェンジ。金取りのと金を手抜いて攻め合いに踏み込んだのが後手からの攻めの切っ先を読み切った勝着となりました。牧野六段も反撃を試みますが先手玉を寄せきるには至りません。

終局時刻は18時15分、最後は自玉が一手一手の寄りと認めた牧野六段が駒を投じて斎藤八段の勝ちが決まりました。勝った斎藤八段は次戦で決勝トーナメント進出を懸けて杉本昌隆八段―西田拓也五段戦の勝者と対戦します。

  • 斎藤八段は第92期以来となる決勝トーナメント進出を目指す(写真は第79期名人戦第1局のもの 提供:日本将棋連盟)

    斎藤八段は第92期以来となる決勝トーナメント進出を目指す(写真は第79期名人戦第1局のもの 提供:日本将棋連盟)

水留 啓(将棋情報局)

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