オフィス家具やオフィス構築のICTなどを展開する内田洋行は、新商品発表会「UCHIDA FAIR 2024」を東京・新川本社と新川第二オフィスにて開催した。
「人が主人公となるハイブリッド・ワークプレイス」をテーマに、さまざまな働き方にフィットしたフレキシブル性やテクノロジーとの親和性、サステナビリティなど、同社が考える「個人やチームにとって心地よく快適なオフィス空間」を紹介したい。
コロナ禍を経てオフィス回帰へ
コロナ禍によりここ数年でテレワークなど働き方に大きな変革がもたらされた。しかし直近ではオフィス回帰の傾向が強まりつつあり、オフィスの在り方や価値について見直される動きが高まっている。
内田洋行では、リアルとデジタルの両方で働く場を自然につなぎ、高品質なオフィスワークと人と人の結束力を高め、創造的生産性を高める場所として「ハイブリッド・ワークスペース」を掲げ、個人を大切にしながら自然なコミュニケーションが生まれるさまざまな空間「Team Base」を提案した。
チームや業務内容に合わせてレイアウトを大胆に変更できるよう工夫されたファニチャーは、人との適切な距離感を演出し、課題や目的の共有・議論、よりよい人間関係の構築を手助けする。
モバイルバッテリー「crevio」やPCと据え置きディスプレイをボタン一つで接続できる「ClickShare(クリックシェア)」などにより、ケーブルレスな環境を構築。業務の本質的な部分ではない作業のわずらわしさを無くし、より自由なワークスタイルを選べるよう、ICT技術でサポートするという。
さらに、地域産材活用プロジェクト「WooD INFILL(ウッドインフィル)」による空間構築システムにより、居心地の良い木質空間を設計しており、アイデアの創造性や醸成を高める工夫を施している。
スチール家具の会社として金属パーツのデザインとノウハウを活かしつつ、難しい加工を施すことなく木材を空間に取り入れるプロダクトを提案。そして、その木材を家具などの生活空間の中で使い続けることでCO2の固定化を図っているそうだ。
また良品計画との共同研究により、円柱状の国産杉を角材に製材する「木製中空パネル」のほか、木材を余すことなく利用する「国産材三層パネル」を新たに開発。
この日本の木でできた製材は、棚板やテーブル天板などに活用され、廃棄される木材資源を有効活用することでサステナブルな企業活動や環境づくりに寄与していく。
新しい時代にフィットしたオフィス家具のプロダクト
展示された新商品には、新しい時代の流れにフィットするようなプロダクトがラインナップされた。
「ELMER(エルマー)」チェアは、今までのオフィス家具には無い木のぬくもりと落ち着きを感じさせるようなラインナップ。ワーキングチェアをオフィス空間だけでなく、カフェやライブラリ、ダイニングなどでも調和し、空間を選ばずシームレスに行き来できるようなデザインにしたのが特徴だ。
座面はメッシュになっているため体重を柔らかく受け止め、長時間の着座でも疲れにくくなっているほか、木集成材の柔軟さとチルト機構によりなめらかな姿勢追従を実現している。
「Aptea(アプテア)」は省スペースを意識したコンパクトなタスクチェア。コンパクトながら、背座連動のリクライニング機構や40㎜厚座面のフィット感など、長時間使用でもお尻が痺れる「底付き感」が少ない仕様となっている。
高機能チェアでは、フレキシブルで軽快な「Steelcase Karman(スチールケース・カーマン)」をラインナップした。こちらはリクライニング強度の自動調整機能を備えており、着座と同時に仕事を開始できる。
高機能メッシュは伸縮性に優れており、しなやかに屈曲するフレームにより最上位の座り心地を実現。部品を最小限にすることで軽量化も実現しており、従来では20~30㎏となるところを13㎏まで重さを軽減できているという。
また、働き方の多様性が広まったことでオンラインミーティングなども日常的に行われるようになったが、オフィス内においてクローズドな環境の構築は消防や空調、建築上の制約を受けてしまい、窮屈な空間となってしまうことが多かった。
内田洋行のboxシリーズは、天井を開放して各種の制約から解放。オープンスペースでありながらクローズドと体感できる環境を実現した。
新製品の「Co-at box(コアットボックス)」は、天井ルーパーにすることで消防規制を受けることなく設置でき、オンラインで聞き取りやすくなるような吸音素材やカメラの画角に配慮したテーブル形状、快適性と見た目を損なわない配線機構など、随所に工夫を施しているのが特徴だ。
さらに壁面パネルに木装飾などの取付けが容易で、天井がフルオープンタイプの「E3 box」も用意されている。
ボックス内に設置されている機器も指向性マイクやスピーカーなど、音漏れもしにくく聞き取りやすい環境となるように設計されている。
またスマートフォンからワーカーに必要なあらゆる情報を引き出すことができる「Smart Office Navigator(スマートオフィスナビゲーター)」もアップデート。
チーム活動を支援する機能が強化され、チームのメンバーを選択すると、各々のスケジュールを自動的に確認して全員が集まれる日時やそのタイミングで使用できる会議室をレコメンドしてくれるようになった。
また、サイネージの表示も強化されている。メンバーが現在働いている場所やスケジュールを可視化しており、コミュニケーションのタイミングの最適化を図ることでビジネススピードを加速させる狙いとなっている。
そのほか、サイネージから二次元バーコードで空き会議室を予約や、フロアのセンサー情報から温度や湿度、エネルギー消費量を測定して表示することで、より省エネになる場所を選択しやすくなるなど、さまざまなアップデートが実施されている。