2024年1月から「新NISA」がスタートします。大幅なアップデートが加えられ、非常に注目度の高い新制度。しかし、“イマイチ中身がわからない”、“やっぱり投資はちょっと怖い”と考える人も少なくないようです。
そこで今回は投資歴10年を誇り、『世界一面白くてお金になる経済講座』『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』(ともにダイヤモンド社)の著者でもある南 祐貴(セカニチ)さんに新NISAの魅力や投資のメリット・デメリットについて話をうかがいました!
■「投資=ハイリスク?」 もし10年前にアメリカ株に投資していたら……
――「投資=ハイリスク」というイメージを持っている人も多いです。どうお考えですか?
確かに、日本では「投資=怖い・損しそうなもの」というイメージが根強くあり、未だに貯金派の人が多いようです。ただ、資産を貯金だけで所持しておくということは、「資産の価値が年々下がっている」と言えるのです。
マクドナルドのハンバーガーを例にして考えるとわかりやすいでしょう。
昔のマクドナルドは、セットで注文しても大体500円以内には収まっていました。でも、今ではセットで1000円を超えるケースも珍しくありません。マクドナルドのハンバーガーの値段が、単純に2倍以上になっているんです。
コンビニのおにぎりも同じで、昔は鮭おにぎりが100円で買えたのに、今では200円近くしますよ。10年前は最新のiPhoneが4~5万円で買えていたのに、今のiPhoneはその3倍以上の値段に釣り上がっています。つまり、社会全体のインフレで私たちの生活費が上がっているんです。
――特に最近はインフレを実感させられますね。
一方で、Appleの株価はこの10年で10倍になっていますから、この成長に乗らなかった人は機会損失をしていることになるんです。(*世界で最も注目されている指数の1つ、S&P500は直近30年で大幅に上昇。時価総額ではAppleが世界最大の企業。)
日本では、未だに「投資はリスクだから貯金しておこう」と考える人が多いわけですが、貯金はインフレに負けるという危険性を孕んでいます。
10年前と比べて現在の生活費が2倍に上がっている場合、預金したお金の価値は当時の「半分」になっています。
もし、貯金ではなく、株式投資や不動産投資にお金を回していれば、株価は好景気(インフレ)とともに上昇しますから、お金の価値が半分になる危険性を避けることができた。
――しかし、リーマンショックなどもあった。やはりリスクも……?
リーマンショックやコロナショックなどで短期的に株価が落ちることもあります。しかし、いずれも数ヶ月~数年も経てばショック(暴落)前より株価は《上昇》しています。もし危機が起きれば国家をあげた金融緩和、つまり「お金のバラマキ」が行われる。結果、通貨の価値が下がる代わりに「株価が上がる」という歴史なんです。通貨の価値が下がる=何も行動しない人が損をしています。
――あくまで仮定の話として、10年前~30年前にもしNISAで投資を行っていたらどうなっていた?(NISAが昔から存在すると仮定)
アメリカ株は直近の10年間の平均で毎年+8%の成長を遂げています。NISAでアメリカ株(S&P500)に投資していたと仮定し、毎年1.08倍に増えたという前提で計算しましょう。
もし初年度に360万円を投資すると? (※新NISAは年間360万円の投資の枠がある)複利(投資の運用で得た収益を当初の元本にそのままプラスして再投資すること)での計算になるので、10年後は1.08倍の10乗、つまり2.16倍で約778万円。20年後だと4.66倍で約1,678万円、30年後だと10.06倍だから約3,622万円に膨らんでいた計算になります。これだけ資産を増やせるチャンスが「誰にでも」あった。やはり「何も行動しない」は大損しているのと同じですね。
――セカニチさんは普段から「新NISAは日本最強の神制度だ」とおっしゃられていますが、その理由を教えてください。
私はこれまで10年以上もマーケットを見続け、あらゆる投資をしてきました。最も実感しているのは「税金を抑える=最もノーリスク・ハイリターンだ」ということです。もちろん脱税は違法なのでNGですよ。「合法の範囲内で税金を抑えること」が投資の必勝法であり、投資で勝つための絶対条件です。
私が知っている富裕層たちは、みんな共通して税金(と政治)に敏感で、無関心な人は1人もいません。日々の納税額が凄まじいから、税金に関してすごく敏感なんです。逆に言えば、正しい税金の知識を持たない限り、一生貧乏で過ごすことになるかもしれません。 その点、NISAは「非課税」なのでかかる税金はゼロ。お得でしかないし、NISAを活用しないのはむしろ相対的に損していると言えます。投資で勝ちたければ、非課税の優遇枠をフル活用できるように今から準備と行動をしましょう。新NISAは2024年1月からスタートです。皆さまの良いNISAライフを応援しています。
――来年から「新NISA」がスタートしますが、従来のNISAとの違いを教えてください。
いろんな投資家が口を揃えて言っていたのは、「一般NISAは期間が短すぎ、つみたてNISAは投資できる金額が少なすぎた」ということ。NISAは年間120万円まで投資することができますが、非課税期間はたった5年間。つみたてNISAは20年間という長い非課税期間がありますが、年間40万円までしか投資できませんでした。
これを是正したのが新NISAで、非課税枠は累計1800万円! しかも「無期限」です。1年間に投資できる上限額が360万円なので、最短で5年で枠を全て使いきれる計算になります(最速での枠の使い切りは富裕層のみかもしれませんが)。全国民が少額でも良いので絶対に活用すべき制度で、「新NISAを否定する人なんていない」と断言してもいいくらい、スゴいアップデートが図られました。
――新NISAへの投資はどれくらいのペースで行っていくのが正解ですか?
正解はありません。人によってバラバラです。大前提として、「投資は余裕資金でやる」が必須の考え方です。一度投資したら、投資していたことすら忘れちゃうような人のほうが、最終的に大成功するんですよ。
というのも、投資したお金の増減を気にし始めるとつい余計な売り買いをしちゃうのが人間の本能。欲が深い人は、上がったときに株を買って、下がったときに株を売る…という悪い習性があるからです。だから、投資したあとも株価の推移を気にしないでいられるよう、「余裕資金のみ」で投資しなければいけないんです。
――生活を切り詰めてまで投資してはいけない、ということですね。
そうですね。ちなみに、世界最強とされる投資法が「ドルコスト平均法」です。これは一定期間で一定金額を投資し続ける方法。例えば「毎月25日に必ず3万円を投資する」と決めたら、それを20年以上もコツコツと継続するのです。
株価が上がろうが下がろうが関係ありません。とにかく欲を抑えて機械的になること。この「ドルコスト平均法」こそが世界で一番強いということは論理的に立証されていますし、世界中の投資家も満場一致で認めています。
余裕資金の金額感は人によって全然違います。学生なら月々1,000円ずつにして、社会人になったら5000円~数万円に増やすという方法でもいいと思います。あくまで余裕のある範囲で、ドルコスト平均法を使っていくといいでしょう。まさに、「継続は力なり」ですね。
――1年に一度まとめて投資するのと、毎月小分けにして投資するのとでは、どちらがよい?
「月々」で機械的に投資すると良いでしょう。20年以上の長い目で見れば毎月でも毎年でも、どちらでも大差はない。しかし、毎月5万円なら気にならなくても、一度にどかんと60万円を投資しちゃうと、どうしても心理的に緊張しちゃうじゃないですか。給料の振込が月1回の人が多いと思うので、それに合わせてドルコスト平均法も「月1回」が良いと思います。
――最後に、投資先はどのように決めるのがオススメですか?
日本国内での人気ランキングはもちろん、世界中の投資信託の中でもぶっちぎりNo.1の結果を出している「S&P 500」一択だと私は思っています。これは世界最強の厳選された500社の指数(インデックス)です。Microsoft・Apple・Google・NVIDIA・Amazonなどが上位に入って成長を続けています。S&P 500の指数は30年間で13倍になっています。もちろんこれは、世界最高レベルのパフォーマンスですね。
※最終的な投資のご判断は自己責任でお願いします。