「エアドロ」の愛称で呼ばれるAirDropは、2つの端末間を1対1の関係で直接つなぐピアツーピア(P2P)の通信で成り立ちます。Bluetooth LEの低消費電力とWi-Fiの高速性を生かした、つながりやすく転送速度が速いことがメリットです。
AirDropでは、常時稼働させてもバッテリーのもちに対する影響が軽微なBluetooth LEで通信相手を検出し、写真のようにある程度大きいファイルは通信ルートをWi-Fiに切り替える、という流れでファイル送信を行います。Bluetooth LEの通信範囲は約10mのため、AirDropも半径10m以内にいる相手を対象にします。
しかし、AirDropでファイルの送信を開始したあと、相手が半径10mの外側へ移動してしまったら...従来のiOSは、通信が中断され転送に失敗する仕様でした。一瞬で転送が完了する写真や文書ファイルはともかく、ビデオのように数百メガバイトにもなるファイルは数十秒ほどかかるもの、相手を目の前に止めておくのはひと苦労です。
iOS 17.1では、AirDropの転送処理をインターネット経由で継続できる機能が追加されました。送信者と受信者の両方がiOS 17.1以降のiPhoneを利用し、インターネットに接続された状態かつiCloudにサインインしていることが条件となりますが、転送処理が中断される可能性は低下しました。
ご質問のように、AirDropの処理中に相手との距離ができた場合、送受信者ともiOS 17.1にアップデート済であれば転送に失敗する心配はありません。インターネット接続にモバイル回線を使用するときには、通信費が発生することになりますが、AirDropの利便性はiOS 17.1で格段にアップしたといえそうです。