新潮社は11月17日、CFP加藤梨里著『世帯年収1000万円 「勝ち組」家庭の残酷な真実』を刊行した。
著者は、マネーステップオフィス代表取締役であり、ファイナンシャルプランナー(CFP®)の資格を持つ加藤梨里氏。
加藤氏によると、所得制限撤廃の話になると、きまって「タワマンに住んで外車に乗る人まで国が支援するのか」といった批判がわき起こるが、かつて‶勝ち組〟の代名詞でもあった「年収1000万円」世帯は、不動産の高騰、実質賃金の低下、共働きで子育てに追われる夫婦の増加などによって、今や、ギリギリの生活設計を迫られているという。
同書では、様変わりした中流上位層のリアルを徹底分析。前半で1000万円世帯の実態を住居費・教育費・生活費の3面から紐解きつつ、後半では「クレヨンしんちゃん」「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」に登場する3家族をモデルにして、「もし、あの家族の世帯年収が1000万円だったら?」という設定で、様々なシナリオを具体的に想定しながら生涯にわたるキャッシュフローをシミュレーション。最終章では具体的なお金の対策を紹介している。
第1章『住居費 不動産高騰で消えた「マイホームの夢」』、第2章『教育費 少子化でも過熱する「課金ゲーム」』、第3章『生活費 見落とされがちな「共働きにかかるコスト」』、第4章『国民的キャラクターで試算する1000万円世帯』、第5章『お金の育て方』で構成されており、全214ページ。価格は880円。
はじめに──「年収1000万円は"勝ち組"か?」論争
第1章 住居費 不動産高騰で消えた「マイホームの夢」
高すぎて買えないマイホーム/5年間で1・5倍に急騰した不動産価格/年収1000万円で「億ション」は買えるのか/ローン8000万円と5000万円、月々の負担の違いは?/月10万円以上の負担の差も/5000万円で都心に家は買えるのか/それでもどうしても都心に家を買いたいなら/ペアローンの意外な落とし穴/10年前から様変わりした住宅事情/「買えないなら賃貸」も厳しい
第2章 教育費 少子化でも過熱する「課金ゲーム」
子どもはぜいたく品なのか?/すべて公立でも1000万円超/少子化なのに親の負担が重い国/産むだけで50万円かかる/未就学児でも習い事が当たり前?/コロナ禍で過熱した小学校受験/受験対策費用はブラックボックス/入学後も出費は続く/「父親の経済力と母親の狂気」/「お金さえ出せばいい」わけじゃない/高騰する学費/「親と同レベルの学歴」のハードルはこんなにも高い/大学生の2人に1人が奨学金利用/私大定員減で少子化でも過熱する受験戦争/東大生の親の半数以上が年収950万円以上/親が稼ぐほど子どもが損をする/「子育て罰」を可視化する扶養控除制度/共働き世帯のジレンマ/「頑張ればなんとかなる」に悩む1000万円世帯
第3章 生活費 見落とされがちな「共働きにかかるコスト」 上がらない賃金、上がり続ける物価/疲れ果てた「パワーカップル」たち/都市と地方、生活費は本当に違う?/年収が高いと希望の保育園に入れない?/病児保育に月10万円/「小1の壁」で共働きを諦める親たち/民間学童の利用料は公設の10倍?/実家に頼れるかどうかは「隠れた格差」/時間はお金で買えるのか/共働きに迫る「隠れ貧困」のリスク
第4章 国民的キャラクターで試算する1000万円世帯
居住地・年齢・家族構成によって見えている世界は違うのか/「クレヨンしんちゃん」野原家のリアル/しんちゃんとひまわりが中学受験したら/ひろしとみさえが共働きだったら/「サザエさん」波野家のリアルイクラちゃんが「お受験」に挑戦したら/タイコさんに第2子が生まれたら/節約で本当に家計は改善するのか/タイコさんが扶養内でパートを始めたら/「ちびまる子ちゃん」さくら家のリアル/まる子とお姉ちゃんが奨学金を借りたら/ヒロシが現役期間を延ばしたら/「子育て」と「老後」を両立する難しさ
第5章 お金の育て方
お金の対策を考える/家計改善の方法は十人十色/失敗しない教育資金計画/学資保険vs.NISA/老後資金の育て方/公的年金のみvs.iDeCo/波平さんが今からiDeCoに加入して意味があるのか/所得制限から「お金を守る」/所得を減らすのも手