滝川クリステルが代表理事を務める「一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル(以下、クリステル財団)」は、5年に一度の動物愛護管理法見直しに向けてより多くの署名を集めるため、「ペットたちに感謝する日」である11月22日に啓発動画「そこが変だよ! 犬猫裁判」を公開した。

同動画では、たとえ動物虐待の罪で有罪判決を受けた飼い主であっても、ペットを連れて帰れてしまうという問題を描いている。また、クリステル財団の代表を務める滝川自身もナレーションを務めているとのこと。

2019年の動物愛護管理法改正により、虐待が厳罰化された。また、その中で、獣医師は虐待の疑いがある動物を発見した際、「遅滞なく、都道府県知事その他の関係機関に通報しなければならない。」という通報の義務化にも焦点が当たったという。動物虐待を許さない社会になる兆しが見えてきた一方で、法改正後にも、以下のような事例がある。

(1)2022年6月、夏日となった日の日中、約11時間もの間、餌や水を与えられずに2頭の犬が車内に放置された事件。車のドアに鍵がかかっていなかったことから、最終的には命の危険が伴うとの判断で警察が2頭を救助したが、通報から7時間以上が経過していた。

(2)2020年6月、飼い主が足のつかない水量の浴槽に子猫を投げ入れたり、痛めつける様子をSNSに公開。その後、告発・逮捕された飼い主でだが、不起訴処分となった。

(3)2020年11月、民家で164頭の犬がすし詰め状態にされていた。行政から飼い主へ不妊手術や犬の譲渡を何度も勧めていたものの、県は多頭飼育崩壊に対処する指針などは定めておらず、最後まで「動物愛護法に基づく立ち入り調査にも乗り出せなかった」と話している。

虐待された動物は、証拠として一時的に保護されても、動物虐待罪で飼い主が有罪になったとしても、飼い主が所有権を放棄しなければ、結局は飼い主の元へ返されてしまう。また、現行法のもと、保健所や動物愛護センター等の行政には、そもそも動物を保管する義務がないため、虐待された動物を保護する体制が確立されていないといった問題があるという。

クリステル財団は、9月20日よりChange.orgにて、「#飼い主に傷つけられた動物を守れる社会に」署名活動プロジェクトを開始。5年に一度の動物愛護管理法見直しに向けて、飼い主に虐待された動物たちの命を守れるよう、虐待された動物の「緊急一時保護」と虐待した飼い主の「所有権喪失」を求めるという。現在2.6万人(11月21日時点)を超える署名が集まっているとのこと。

「#飼い主に傷つけられた動物を守れる社会に」署名活動プロジェクトでは、「緊急一時保護」「所有権の喪失」「行政による被虐待動物の保管」の実現を目指すという。

代表の滝川クリステルさんは、マイナビニュースに向けて以下のコメントを寄せた。

「2021年6月より、私たちは動物虐待防止の啓発や支援に関するプロジェクトを行っています。

活動のなかで見えてきたもの、それは、特に、勇気を振り絞って通報しても救われない命の存在と、その存在に対し何もできない自分たちの無力さでした。

この状況を変えたい。そんな想いから今年9月より『#飼い主から傷つけられた動物を守れる社会に』という新プロジェクトを開始。その最初の一歩として、2025年の動愛法改正を目指す署名活動を始め、そして今回「所有権の壁」をテーマにした動画が完成しました。

「犯人が捕まりさえすれば虐待を受けた動物たちは保護され幸せになる」……

実はそうではないと私たち自身が初めて知った時に感じた“驚きと違和感”を皆さまと共有できれば幸いです。

動物たちにも私たちと同じように感情があり、痛みや苦しみを感じます。

様々な情報が溢れ日々仕事に追われる中で、動物たちが直面しているこの現実に想いを馳せてくださる皆さまと一緒に一歩踏み出すことで、動物たちが本当に守られる社会に近づくことができると信じています」