米NVIDIAは11月21日(現地時間)、同社2024年度第3四半期(2023年8月~10月)決算を発表した。AI向け半導体の圧倒的なシェアを背景に、データセンター事業の売上高が前年同期比279%の増加だった。ゲーミング事業も好調で、売上高・利益とも過去最高を更新した。

8〜10月期の売上高は181億2000万ドル(前年同期比206%増)。純利益はGAAPベースで92億4300万ドル(同1,259%増)、1株利益は3.71ドル。非GAAPでは、利益が100億2000万ドル(同588%増)、1株利益は4.02ドル。市場の予想平均は、売上高161億8000万ドル、1株利益3.37ドル(非GAAP)だった。

事業部門別の売上高は以下の通り。

  • ゲーミング:売上高28億6000万ドル(前年同期比81%増)
  • データセンター:売上高145億1000万ドル(前年同期比279%増)
  • プロフェッショナル・ビジュアライゼーション:売上高4億1600万ドル(前年同期比108%増)
  • オートモーティブ:売上高2億6100万ドル(前年同期比4%増)

2〜4月期決算発表時に、AIブームを追い風に業績を大きく伸ばしたNVIDIAの見通しは「時代のガイダンス」と呼ばれた。8〜10月期も同じようにアナリストの予想を大きく上回ったが、前期や前々期のような決算発表後の株価の急騰は見られなかった。米政府による中国への先端半導体輸出の新たな規制が業績の重荷になる可能性があり、生成AIブームを牽引してきたOpenAIのCEO解任による混乱も加わって、株式市場の反応は鈍かった。

輸出規制については、対象となる地域における第4四半期の売上高が大幅に減少すると予想している。しかし、世界的な需要の強さに供給が間に合っていない状況であり、規制の対象になる地域の減少は相殺されるとみている。大規模言語モデル(LLM)を開発するスタートアップ、コンシューマ向けインターネット企業、グローバル・クラウドサービスプロバイダーのニーズによる第1波に続く「次の波が押し寄せ始めている」という。国や地域のクラウドサービスプロバイダーが、それぞれの需要に応えるAIクラウドへの投資を強化しており、また企業もAIアシスタントやカスタムAIによる改革に力を注いでいる

2024年度第4四半期(2023年11月〜2024年1月)のガイダンスは売上高200億ドル(±2%)。市場予想の178億ドルを上回っており、予想通りならば第4四半期も160%を超える伸びになる。