アウディ初の電気自動車(EV)として2020年に日本にやってきた「e-tron」がマイナーチェンジを経て「Q8 e-tron」に生まれ変わった。アウディの象徴「フォーリングス」は2Dの新デザインに。バッテリーは容量が拡大し、これまでよりも長い距離を走れるようになった。
「e-tron」の後継モデル
「Q8 e-tron」はアウディ初のEV「e-tron/e-tronスポーツバック」の後継モデルだ。e-tron/e-tronスポーツバックの登場は2018年、日本には2020年に入ってきた。2022年末までに世界全体で約16万台が売れたそうだ。
このモデルがマイナーチェンジし、「Q8 e-tron/Q8スポーツバック e-tron」に名前を変えて発売となった。「Q」はアウディのSUVであることを意味し、「8」はアウディラインアップの中で最上級クラスのクルマであることを示す。
アウディの車名は基本的にアルファベットと数字の組み合わせとなっているが、「e-tron」については「アウディのEVといえばe-tron」というイメージを定着させたいということで、あえてこの車名で市場に投入したという。「アウディの4輪駆動といえばクワトロ」というのは定着しているが、e-tronについても認知度向上を優先させたらしい。今では「e-tron GT」や「Q4 e-tron」などのモデルが登場し、日本におけるアウディのEVラインアップは計10車種まで増えている。
Q8 e-tronは先代モデルe-tronと同じプラットフォームを使っているが、バッテリー、モーター、空力性能などの改良により全面的な進化を遂げている。
バッテリーの容量と効率を改善!
では、バッテリーはどのように改良したのか。
Q8 e-tronには「50」と「55」、Q8スポーツバック e-tronには「55」というグレードがある。50と55の違いはバッテリー容量だ。50の総容量は95kWhで先代モデル比24kWh増、55は114kWhで同19kWh増となっている。フル充電での走行可能距離(WLTCモード)は50が424km(同89km増)、55が501km(同78km増)だ。
バッテリー容量を増やすとともに、空力性能を引き上げ、モーターの効率を上げることで航続距離を伸ばした。55ではバッテリーの設計そのものを見直し、電極材を折り重ねるように配置する「スタッキング方式」を採用することで、バッテリーの寸法やモジュール数を変えずに容量を増加させた。
充電性能は50/55の両モデルとも150kWまでの急速充電に対応可能。アウディジャパン、ポルシェジャパン、フォルクスワーゲンジャパンの3社が共同で展開する急速充電ネットワークサービス「PCA」(計279基、拡大予定)も利用できる。例えば「55 e-tron quattro」の場合、150kWの急速充電器を使用すると、バッテリー残量10%の状態から80%まで理論上は34分で充電できるという。
Q8 e-tronの価格は1,099万円~1,317万円だ。