ネスレ日本は、希少な東京・小笠原諸島産カカオ豆を使った「キットカット ミニ 東京カカオ」を11月20日より数量限定で販売開始した。一般的な外国産カカオ豆からの製造と異なり、今年収穫された"とれたてカカオ"による薫り高く華やかな味わいを楽しめる逸品だ。

  • 「キットカット ミニ 東京カカオ」を紹介する、平塚製菓の平塚正幸氏(左)とネスレ日本のオリヴィエ・ジャクー氏(右)

チョコレートに対する好奇心を刺激したい

キットカット ミニ 東京カカオは、世界のカカオ豆生産量に対してわずか0.00002%という、希少な小笠原諸島産カカオ豆「東京カカオ」を使用した、限定生産のキットカット。パッケージには、個包装デザインを採用し、カカオが持つ未知の可能性を表現した。ネスレ通販オンラインショップ、Amazon、楽天市場といったネスレ公式通販での価格は、6枚入りで3,456円。

  • キットカット ミニ 東京カカオ(6枚入り) 3,456円

  • パッケージにはひとつ一つ異なるカカオポッド(カカオの実)をデザイン

イギリスで誕生したキットカットだが、日本では日本文化と混ざり合うことによりユニークな進化を遂げている。ネスレ日本は、キットカットを通じて「頑張る人を応援する」「ご当地ならではの製品を作る」「パッケージ等の紙化」という3つのアクションに取り組み、これまでも地域ならではの製品や日本土産、銘菓とのコラボレーションを行ってきた。

  • 日本文化と結びつくことで独自の進化を遂げてきたキットカット

  • 各地の特産品、名産品とのコラボレーション商品も多数

だが、キットカット ミニ 東京カカオはそれよりさらに一段深い商品、ビジネスを超える貢献として位置づけているという。ネスレ日本 常務執行役員 コンフェクショナリー事業本部長のオリヴィエ・ジャクー氏は、商品への熱意を次のように語る。

「カカオ豆は通常、カカオベルトと呼ばれる赤道付近の熱帯地域で栽培されます。これまで、日本でカカオの栽培が可能とは誰も考えていませんでした。ですが、関係者のみなさんは情熱をかけてその困難を乗り越え、奇跡を起こしたのです。東京カカオの物語を通じて、みなさんにもっとチョコレートに興味を持っていただきたいと思っています」(ネスレ日本 ジャクー氏)

  • ネスレ日本 常務執行役員 コンフェクショナリー事業本部長 オリヴィエ・ジャクー氏

東京カカオの品種は、世界のカカオ豆生産量の80~90%を占めるフォラステロ種。苦みやカカオ感の強い品種だが、発酵により独特な香りを発するよう変化し、チョコレートとして加工すると酸味のあるフルーティなテイストになるという。キットカット ミニ 東京カカオでは、この東京カカオをカカオマス中29%用いたチョコレートを使用している。

「東京カカオ」の誕生とその特徴

この東京カカオを作っているのは、「東京カカオプロジェクト」を推し進める平塚製菓だ。代表取締役の平塚正幸氏は、「数社からお問い合わせをいただきましたが、地域コミュニティや環境負荷について言及したのはネスレ日本さんだけだったんですね。それが嬉しくて、一緒に取り組もうと思いました」と、コラボレーションについて振り返る。

  • 平塚製菓 代表取締役 平塚正幸氏

平塚氏が国産カカオの栽培を検討したきっかけは2003年、ガーナのカカオ農園視察だったという。小笠原諸島に目を付けた同氏は、2006年にプロジェクトチームを結成、2010年から国産カカオ栽培のパートナーを探し始め、小笠原諸島で初めてマンゴ-栽培を成功させた折田農園と出会う。

その後、2011年にはハウス第1号棟が完成。輸入カカオの鉢植え、苗木育成が進められ、2013年に国産カカオの初収穫に成功。そして2019年、ついに東京カカオの販売が開始された。そのストーリーは、東京カカオプロジェクトのWebページでより詳しく知ることができる。

折田農園の折田一夫氏は、「小笠原諸島の土壌や気候は、カカオにすごく合っていると思います。インドネシアも同じような土でした。カカオの栽培は意外と苦労はないのですが、暇がありません。毎日花が咲いて毎日実が採れますから、一年中見ていないといけないのです。教えてくれる先生もいないから、自分で経験して覚えていくしかない。試行錯誤でやっていたので、最初に実がついて採れた時はほっとしました。なんとかやっていけるなと」と、栽培の苦労について語った。

  • 小笠原諸島からオンラインで参加した、折田農園 折田一夫 氏

現在、小笠原諸島ではわずか4農家でカカオ栽培に関わるすべての業務を行っている。近年は観光資源の一つとして、カカオ農園の見学ツアーも実施しているそうだ。今後は、9割が廃棄されるカカオポッド(カカオの実)の外皮の有効利用についても研究進めていくという。

  • 生のカカオポッドとカカオ豆。カカオ豆を覆うカカオパルプはジュースにされることもあるという

国産カカオの栽培はまだまだ試行錯誤の中にあり、その希少さは当分続くだろう。キットカットというブランドを通じてカカオ栽培、チョコレート作りを知ってもらうこと、そして毎年東京カカオを待ち望むファンが増え、取り巻くコミュニティが発展していくことが、ネスレ日本と平塚製菓に共通した願いだ。