「第35回フジテレビヤングシナリオ大賞」が20日に発表され、阿部凌大さん(24)が『高額当選しちゃいました』で大賞を受賞。同日に受賞会見が東京・フジテレビ本社で行われた。

  • 左から 内山哲生さん(佳作)、島崎杜香さん(同)、阿部凌大さん(大賞)、片岡陸さん(佳作)、村瀬健プロデューサー(審査委員長)

    左から 内山哲生さん(佳作)、島崎杜香さん(同)、阿部凌大さん(大賞)、片岡陸さん(佳作)、村瀬健プロデューサー(審査委員長)

■大賞受賞作は「発想が非常に面白い」

『高額当選しちゃいました』は、児童養護施設育ちでシェアハウスに住む同い年の4人が共同で宝くじを購入し、1等7億円が当たるが、翌朝その当たりくじが姿を消すことから巻き起こるストーリー。選考理由としては、「発想が非常に面白いと思った。また、二転三転しながら、いい意味でこちらの予想をどんどん裏切っていく展開も楽しめた。雰囲気に逃げることなく、ギミックをしっかり作り込んで面白いストーリーを作ろうとする気概というか姿勢を高く買い、大賞に選出した」と講評されている。

今年2月まで一般企業に勤務し、現在は無職の阿部さん。同賞への応募は三度目の正直で大賞に選ばれ、賞金300万円を獲得した。

会見では緊張の面持ちで、「歴史と権威のある賞を頂くことができて、本当に光栄ですし、まだ実感がないくらい本当にうれしいです」と喜びを述べ、「今回の作品自体だけじゃなくて、僕らの将来性まで審査員の方がベットして選んでいただいたんじゃないかなと勝手に思っているので、その期待に応えられるように、これからは日々努力して、必死に書き続けて、少しでも大きく大きく育つことで、いつかフジテレビヤングシナリオ大賞自体への恩返しにもなるんじゃないかなと思っています」と謙虚に語った。

■審査方法に新たなスタイルを導入

佳作には片岡陸さん(26・会社員)の『イージーライフ』、島崎杜香さん(21・大学生)の『クロスロード』、内山哲生さん(25・アルバイト)の『わたしたちの失恋』を選出。今年の審査委員長で、2年前に大賞を受賞した生方美久氏と『silent』『いちばんすきな花』でタッグを組む村瀬健プロデューサーは、今回は最終審査に残った候補から審査員がリアル・リモートで対面し、“この人と一緒にやりたい”と思った人を選考していくスタイルを導入したという。

その狙いについて、村瀬Pは「もちろん作品の面白さありきなんですが、ドラマは脚本家とプロデューサーやディレクターとの共同作業なので、それを一緒にやっていくっていう感覚になれる人を選びたい。しかも、審査員の中で“この人とやりたい”という人がいれば、すぐ作品につながる。だから、僕が生方美久さんと出会ってやれた形を、みんながやれたらいいんじゃないかと思ってこのやり方にしました」と明かした。

大賞作品は来年、FODと地上波で配信・放送されるが、村瀬Pは「僕の中で一緒にやりたい企画が、4人それぞれ全然違う形であります。僕の中では“4人見つけた!”という気持ちですね」と、“次の生方美久”との作品づくりに意欲を示した。