日本メーカー製のフロントオープンタイプの食器洗い乾燥機を探しているご家庭は注目です。パナソニックくらしアプライアンス社(以下、パナソニック)が、ビルトイン&フロントオープンタイプの食器洗い乾燥機「NP-60EF1W」を12月に発売します。価格は工事費別で517,000円。幅60cmで約12人分の食器が入るNP-60EF1W、詳しく見ていきましょう。

  • パナソニックのビルトイン&フロントオープンタイプの食器洗い乾燥機「NP-60EF1W」。パナソニックは12月22日から順次、「フロントオープン食器洗い乾燥機」を搭載したシステムキッチンの「Lクラスキッチン」および「ラクシーナ」を受注開始。ちなみに、NP-60EF1Wが対応するカウンターの高さは85cmと90cm、電源は単相200Vです

食器を入れやすく取り出しやすいフロントオープンタイプ

ビルトインタイプの食器洗い乾燥機には、扉の開き方としてフロントオープンタイプとプルオープンタイプがあります(引き出し式、スライドオープンという言い方も)。

フロントオープンタイプは、扉を前に開いてカゴを引き出して食器を入れるため、食器をセットしやすくて収納量が多いという点が特徴です。製品にもよりますが、大きな鍋類も入ります。

  • NP-60EF1Wの扉を全開してカゴを引き出して、食器を入れます。カゴは3段になっているため、入れるものの大きさに合わせて調節できます

対してプルオープンタイプは、食器洗い乾燥機の全体が巨大な引き出しになっています(冷蔵庫の最下段、野菜室や冷凍室のようなイメージでしょうか)。手前に引き出したら、食器をカゴの下から順にセット。一般的に、フロントオープンタイプよりも食器の収納量は少なくなります。

カタログに掲載されているNP-60EF1Wの食器収納量は、約12人分の72点。参考までに、パナソニックのプルオープンタイプで幅60cmのM8シリーズだと、食器収納量は約7人分の50点となっています。

  • プルオープンタイプは引き出しに食器を入れていき、カトラリー類は立ててセット。写真は「9 Plus」シリーズ

パナソニックはこれまで、日本のシステムキッチンの進化や生活環境に合わせてプルオープンタイプの食洗機を発売してきました。近年は大容量タイプのニーズが高まってきたことを受けて、今回は22年ぶりにフロントオープンタイプを発売することに。

実は、フロントオープンタイプは海外メーカーが多く発売しており、国内メーカーはプルオープンタイプが主流。「国内メーカーでフロントオープンタイプが欲しい」というご家庭には、うれしいアイテムではないでしょうか。

カトラリートレイやマイボトルホルダーで小物も収納しやすい

NP-60EF1Wは、1段目が「カトラリートレイ」、2段目が「上カゴ」、3段目が「下カゴ」という3段構造。それぞれのカゴを引き出して食器を入れるため、好きな場所から、入れやすい食器から、収めていきやすい作りです。また、食器を一通りセットし終わったあと、入れ忘れた食器を追加するのも簡単。全開しなくても扉が途中でストップするところも、使い勝手を高めています。

浅めの「カトラリートレイ」は、箸などを並べるほか、お弁当用のシリコンカップ、マイボトルのフタ部分といった、小さなアイテム向け。カトラリートレイは窓のように移動でき、2段目に背が高いものを入れたいときにも柔軟に使えます。

  • 浅めのカトラリートレイは、並べた小物が飛びにくいところもポイント。横に並べて置くため、たくさんセットできます

  • 窓のようにスライド

そして真ん中のカゴは一番使いやすい位置。ここにはお茶碗やお皿といった食器類をセットしましょう。日本の食器はプレート類だけでなく、丼や茶碗など深めの器も多いですよね。NP-60EF1Wのピンはこうした和食向けの食器を収納しやすい配置になっていて、迷わずセットできます。

ちょっと余談ですが、親戚や友人たちと一緒に食事をすることが増えそうな年末年始は、普段は使わない大きな食器の出番もあるでしょう。NP-60EF1Wは庫内の高さを3段階で変えられるため、大きな食器にも柔軟に対応できます。

  • 12人分の食器が入り、1日1回まとめて洗えますね

  • よく使う食器は真ん中のカゴが便利

  • 深めの器も置きやすいピン配置

  • ワイングラスといった繊細な食器も安定してセットできます

  • 3段階の高さ調節、作業は簡単です

  • レバーを押し上げて移動します

下段のカゴには、鍋やフライパンといった調理器具をセットするとよさそう。ボトルホルダーを4つ備えているので、家族分のマイボトルを洗えます。

  • ピンを折りたたむと、パスタ鍋のような深い鍋も入ります

  • 我が家にもマイボトルが4本ありますが、毎日手洗いするのはけっこうな手間。ホルダーに立てれば中までしっかり洗えそうですね。なお、ボトルを食洗機で洗いたいときは、食洗機対応のボトルを購入してください

続いて、内部のノズルや水流を見てみましょう。大容量の庫内をしっかり洗うため、天面、真ん中、下にノズルを設けて、3つのノズルで洗い上げます。

  • 50℃以上の高温・高圧のシャワーで洗うことから、予洗いは不要とのこと

【動画】シャワーは2mに達する勢い。実際に見てみると、すみずみまで水が行き渡っていることが分かります(音声が流れます。ご注意ください)

洗浄後は、ヒーターで熱した温風を送り込む「ヒーター乾燥」でしっかり乾燥。梅雨など湿気が多い季節もカラッと乾いて、気持ち良さそう。なお、食洗機の中には、食器についた水滴を乾きやすくする「リンス剤」の使用を推奨しているものもありますが、NP-60EF1Wはリンス剤を使っても使わなくてもしっかり乾かせるとのことです。

ヒーター乾燥では、温風が庫内を一周したあと、側面の経路を通って前面下部から排気されます。こととき、外気を取り込んで排気口の近くで庫内の湿気と混ぜて排気温度を下げます。排気温度は約35℃と体温くらい。ヤケドの心配はありません。

  • 排気の温度は約35℃。排気口は足元です。ヒーター乾燥では扉を閉めたまま乾燥するため、ホコリが入り込みません

パナソニック独自の清潔機能も備えており、同社製の冷蔵庫やエアコンで使われているイオン物質の「ナノイーX」を採用しています。洗浄後にナノイーXを24時間自動で庫内に放出し、臭いや雑菌の繁殖を抑えて食器を清潔に保ちます。

  • 独自の「ナノイーX」で庫内を清潔に

個人的にグッときたのは、残さいフィルターの「自動洗浄システム」です。食洗機には通常、ごはん粒や野菜の切れ端などちょっとした残さいをキャッチするフィルターがあり、使用後は毎回このフィルターに溜まった残さいを捨てる手間がありました。

NP-60EF1Wは、洗浄水を残さいフィルターの上から噴射して残さいフィルターの汚れを落とす仕組み。よって、毎回必要だったお手入れが週1回程度まで減らせます。排水ポンプを作動させてから自動洗浄を行うため、汚れをまき散らすことなく残さいフィルターをキレイにしてくれます。

  • 残さいフィルターの上部に洗浄ポンプから出た水の流れを誘導し、下向きに洗浄水を噴射。残さいフィルターについた汚れを落とします

  • 残さいフィルターは本体下部に。網の目が細かく、流した残さいが庫内へ戻ってしまうことを防ぎます

  • お手入れのときはメッシュフィルターを外します。バラバラにしてしっかり洗えますね

パナソニックは、ビルトイン、卓上ひとり暮らし用、卓上少人数世帯用など、食洗機のラインナップが豊富なメーカーです。1960年に日本初の「電気自動洗い機」を発売して以来、日本人のライフスタイルの変化、キッチンの変化とともに食洗機を開発してきました。そんなパナソニックが発売するフロントオープン食器洗い乾燥機、注目してみてください。

  • 操作は扉部で

  • 洗剤は扉部分の洗剤ケースに。リンスを使う場合も同じようにセットします

  • カゴはスライド式で引き出しやすい!

  • 一番右が1960年発売のMR-500

  • MR-500は食器を上から入れるタイプでした