第82期A級順位戦(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は5回戦が進行中。11月16日(木)には菅井竜也八段―佐々木勇気八段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、三間飛車対居飛車の対抗形を135手で制した菅井八段が4勝1敗として挑戦権争いに向け前進しました。

熾烈な上位争い

菅井八段3勝1敗、佐々木八段2勝2敗で迎えた5回戦。5勝0敗で独走する豊島九段をとらえるためには負けられない戦いです。菅井八段の先手番で始まった本局は菅井八段の三間飛車に佐々木八段が左美濃で対抗する持久戦に進みました。

左桂を盤上中央に跳ね出して攻め駒をさばいたのは菅井八段好調のさばき。佐々木八段も駒損覚悟でこの攻めを食い止めにかかりますが、手にした金を後手陣一段目に打ち付けたのが菅井八段の好手。筋悪ながら確実な攻めを見せて後手を焦らせるのが狙いです。

菅井八段が左右から攻め切り快勝

左辺の攻め駒をさばいた菅井八段は今度は右辺に着目。美濃囲いの桂を跳ね出しつつ後手玉の直接攻略に乗り出します。ここからは激しい玉頭戦が始まり、A級順位戦らしい一進一退の押し引きが長く続きます。

佐々木八段がと金を作り詰めろを掛けた手に対して、そのと金に体当たりして金を捨てた手が菅井八段渾身の一手。この金を取ると後手玉が詰む仕掛けになっています。結果的にこの手が決め手となり、菅井八段が混戦を抜け出しました。終局時刻は翌17日0時9分、自玉の詰みを認めた佐々木八段が投了を告げて菅井八段の勝利が決まりました。

これで勝った菅井八段は4勝1敗、敗れた佐々木八段は2勝3敗に。次局6回戦で菅井八段は斎藤慎太郎八段と、佐々木八段は稲葉陽八段との対戦が予定されています。

  • 振り飛車党が名人戦登場となれば1986年度の大山康晴十五世名人以来のこととなる

    振り飛車党が名人戦登場となれば1986年度の大山康晴十五世名人以来のこととなる

水留 啓(将棋情報局)

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