メルカリは11月16日、家庭で利用しなくなったモノを分別するための「メルカリエコボックス」と、メルカリに商品を出品するための梱包資材を配布する取り組みを開始しました。この取り組みの開始にあたり、今回の取り組みに協力する日本財団および取り組みに参加する岐阜市・蒲郡市と共同で記者発表会を開催しています。

  • 「メルカリエコボックス」と梱包資材

    「メルカリエコボックス」(写真後)と梱包資材(写真前)

  • メルカリエコボックス

    メルカリエコボックス

「もう使わなくなったけれど捨てられないもの」を入れておくエコボックス

「メルカリエコボックス」は、各家庭で「もう使わなくなったけれど捨てられないもの」を入れておき、一時的に保管しておくための箱。この箱に入れることで使わなくなったものを可視化し、死蔵することなくリユースなどにつなげるというのが狙いです。このエコボックスが配布されるのは今回が初めてではなく、2022年5月30日に「ごみゼロの日」にあわせた実証実験としても行われたとがあります。そのときは配布先の74%が不用品を入れるのに使っており、うち55%で実際にリユースが行われたそうです。また2023年4月からは愛媛県/岡山市で配布を行っています。

  • 「メルカリエコボックス」とは

    「メルカリエコボックス」とは

  • 過去の実施データ

    過去の実施事例では、55%がリユースを体験

  • 実際の利用者の声

    実際の利用者の声

今回は、「メルカリエコボックス」15,300個とメルカリでの商品発送用の梱包資材45,900個を作成。全国の23の自治体に配布します。参加する自治体は以下のとおりです(県市町順/五十音順)。

和歌山県 相生市 生駒市 雲仙市 蒲郡市
岐阜市 坂出市 瀬戸市 仙北市 徳島市
行方市 西宮市 弘前市 船橋市 北杜市
箕面市 三次市 守口市 山形市 岩美町
南部町 東浦町 平群町
  • 配布対象の自治体

    配布対象の自治体

配布開始日は参加する自治体により異なり、各自治体から告知されます。配布方法もそれぞれの自治体が公共施設や環境イベントでの配布、大学その他の学校での配布など、最適と思われる手段を選択して行うそうです。それぞれの自治体で在庫がなくなりしだい、配布は終了となります。

メルカリのサービスがリユースを促進し、環境負荷の削減に貢献している

この施策の実施にあたって開催された記者発表会では、今回の取り組みだけでなく、循環型社会の実現に向けたメルカリのこれまでの取り組み、その背景などが紹介されました。

  • 河野秀史氏

    株式会社メルカリ 執行役 SVP of Management Strategyの河野秀史氏

登壇した株式会社メルカリ 執行役 SVP of Management Strategyの河野秀史氏は、メルカリというサービス自体がリユースを促進し、環境負荷の削減に貢献していると指摘します。たとえば、衣類をメルカリで取引すると、平均して使用年数は3.2年増加するそうで、そのぶん衣類の製造/廃棄を抑制できることになります。衣類の製造をせずにすめば、1着あたり9.3kgの温室効果ガス排出削減につながります。メルカリの利用により、廃棄を回避できた衣類の重量は年間約4.3万トン。日本で1年間に捨てられる衣類の送料は48万トンだそうで、メルカリは衣類の廃棄を約9%減らすことに貢献しているということになります。

  • 衣類を廃棄した場合の環境負荷の減少

    不要物を廃棄せずにメルカリに出品することは、環境負荷の削減への貢献になります

そもそもメルカリをよく利用するZ世代には、リセールバリューを考慮して買い物をすることが浸透しつつあるといいます。調査によれば、新品を購入する際にリセールバリューを考えるという人が59.1%おり、所有物を売ることを前提に欲しいものを購入することがあるという人も42.7%。Z世代の2人に1人はリセールを前提として新しい購買行動をとっているわけです。

  • メルカリ利用者のリセール意識

    メルカリ利用者、とくにZ世代はリセールを前提とした購買行動をとっているといいます

  • 「持ち物」を資産として把握するというフリマアプリネイティブ世代

    「持ち物」を資産として把握するというフリマアプリネイティブ世代

リセールの対象となりうる“かくれ資産”は全国で66兆円、国民ひとりあたりで約53万円になるそうです。そして大掃除を1回行うと、約8.5万円分の不用品を廃棄してしまっているとのこと。粗大ごみ処理手数料や持ち込み量の値上げなど、不要物を廃棄するコストも上昇しているので、メルカリなどで不要物を処分することは今後一層必要になっていくでしょう。

  • 国民一人当たりの平均“かくれ資産”は約53万円、日本全国では66兆円

    国民一人当たりの平均“かくれ資産”は約53万円、日本全国では66兆円

  • 大掃除では約8.5万円分の不要品を処分してしまっている

    大掃除では約8.5万円分の不要品を処分してしまっているそうです

今回の「メルカリエコボックス」の配布は、実際に「不用品を捨てずに資産に換える」という体験を促進することで、循環型社会を目指すというのが狙いとなっています。

  • 「メルカリエコボックス」の狙い

    「メルカリエコボックス」の狙いは、不用品を可視化することと、それを資産に換える体験を広げるところにあります

今回の記者発表会では、施策に費用・デリバリーの面で協力し、「メルカリエコボックス」の共同デザインも行っている日本財団と、配布対象となっている自治体の代表として岐阜市/蒲郡市の両市の市長も登壇しました。

日本財団は2021年からメルカリと業務提携しており、寄付文化の醸成/循環型社会の実現を目指す取り組みを行っており、今回の施策も循環型社会を目指す取り組みの一環としての参画になります。

  • 日本財団の取り組み

    日本財団は、「メルカリエコボックス」を共同でデザインしているほか、費用・デリバリーの協力を行っています

岐阜市/蒲郡市はともにSDGsへの取り組みに力を入れている自治体で、メルカリとの間で連携協定を締結して課題解決・地域の活性化に取り組んでいます。岐阜市はごみの減量・資源化に積極的に取り組み、令和3年にSDGs未来都市に選定されました。今回の「メルカリエコボックス」は、Z世代と子育て世帯を主なターゲットとして、大学や子育て支援施設、年内に開催される環境イベントでの配布を予定しているそうです。

  • 岐阜市での「メルカリエコボックス」の活用予定

    岐阜市での「メルカリエコボックス」の活用予定

蒲郡市は2020年に実施した「メルカリエコボックス」の実証実験にも参加しており、同市でも少なくない人がリユースを実際に行い、その後もリユース/再利用への意識が高まっているようです。また同市はクリーンセンターに持ち込まれる粗大ごみのうち、まだ使えるものを「メルカリShops」で販売するという取り組みを全国で初めて実施しています。

  • 蒲郡市のメルカリとの取り組み

    蒲郡市のメルカリとの取り組み

メルカリ河野氏のプレゼンテーションでは、「メルカリが事業成長することがそのまま循環型社会の体現であると考えています」という発言もありました。今年の年末の大掃除は、出てきた不用品をそのまま廃棄するのではなく、メルカリ出品などで循環させることを考えてみるのもよいかもしれませんね。

  • 発表会後のフォトセッション

    発表会後のフォトセッションにて。左から、柴崎正直・岐阜市長、メルカリ河野氏、日本財団常務理事・笹川順平氏、鈴木寿明・蒲郡市長