伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は予選が進行中。11月15日(水)には第5ブロックの斎藤慎太郎八段-石川優太五段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、角交換型の乱戦を99手で制した斎藤八段が予選突破まであと1勝としました。
序盤の駆け引き
本予選は各組20名前後からなるトーナメントを勝ち抜いた8名が挑戦者決定リーグに進出するもの。予選突破には本局を含めてあと2勝が必要です。振り駒が行われた本局は後手となった石川五段が4手目に三間飛車に構える工夫を見せて幕を開けました。
後手番で石田流の構えを目指すという意欲策を見た斎藤八段はこれに猛反発。両成りを狙う角を打ったのは力戦覚悟の強気な応手で、このあと石川五段が飛車を8筋に戻したことで、戦型は相掛かり調の相居飛車になりましたが先手の一歩得が残りました。
斎藤劇場の始まり
盤上は第二次駒組みに進展。石川五段は飛車先の歩を切っていますが、その歩が先手の駒台に載っている点が目を引きます。歩切れのままでは不満と見た石川五段は積極的な駒交換で局面の活性化を図りますが、ここからの斎藤八段の対応が秀逸でした。
5筋での銀交換に備えて玉を自陣三段目に上がったのが広さを主張する現代的な指し回し。斎藤八段は中央に転回した飛車で後手の角をいじめながら反撃を組み立てます。タダのところに銀を捨てたのが飛車のさばきをつける好手でした。
斎藤八段が快勝
この飛車を切り飛ばして角を手にした斎藤八段は一気呵成の攻めで優勢を確立。石川五段も飛車を打ち込んで反撃を試みますが、手厚い金打ちで自玉を鉄壁にしたのが斎藤八段の決め手となりました。局面が落ち着けば先手からは確実な攻めが約束されています。
終局時刻は19時46分、最後は自玉の受けなしを認めた石川五段が投了。優勢に立ってからは一度も形勢の針を譲らない盤石の指し回しで、斎藤八段が3年ぶりのリーグ入りまであと1勝としています。
水留 啓(将棋情報局)
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