東京商工リサーチは、2023年「後継者不在率」調査結果を11月14日に発表した。同調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)のうち、2021年以降の後継者に関する情報が蓄積されているデータから17万1,045社を抽出、分析した。
経営者の高齢化と事業承継が問題になる中、2023年の「後継者不在率」は61.09%で、初めて60%を超えた。これは前年から1.19ポイントの上昇。
「後継者不在率」を産業別でみると、10産業すべてで50.0%を上回った。最高は、情報通信業の77.33%(前年76.93%)で、前年を0.40ポイント上回った。代表者が比較的若いソフトウェア開発などが含まれることが不在率を押し上げたとみられる。
後継者不在の10万4,493社に、中長期的な承継希望先を尋ねた。最多は、「未定・検討中」で5万333社(構成比48.16%)だった。事業承継の方針が明確でない、計画が立たない企業が依然として多いことがわかった。
次いで、「設立・交代して浅い又は若年者にて未定」の4万7,886社(同45.82%)で、大きく離れて「社内で人材を育成する方針」の3,298社(同3.15%)と続く。一方、「廃業・解散・整理(予定含む)にて不要」は599社(同0.57%)だった。
代表者の年齢別では、不在率の最高は30歳未満の96.32%だった。創業や事業承継から日が浅く、後継者を選定する必要がなく不在率が高い。以下、30代の92.83%、40代の86.71%、50代の70.53%と続く。
50代までは後継者「不在」が「有り」を上回るが、60代以 降で逆転する。ただ、80歳以上の不在率は23.83%、70代でも30.53%にのぼる。
「後継者不在」企業のうち、「廃業・解散・整理(予定含む)にて不要」との回答は60代全体の0.57%にとどまった。代表者が高齢の企業の多くが事業承継を判断しないまま、対応できていない実態が浮かび上がった。