英国に拠点を置くNothing Technologyは11月14日、メッセージングアプリ「Nothing Chats」を発表した。Androidを搭載するNothing PhoneとAppleのデバイスの間で、iMessageのリッチなメッセージ機能の利用を可能にする。米国、カナダ、英国、EUにおいて、11月17日から「Nothing Phone(2)」限定でGoogle Playからベータ版を入手できるようになる。

AppleのOSの標準アプリの1つである「メッセージ」アプリでは、コンタクトやメッセージの吹き出しがブルーまたはグリーンで表示される。ブルーは相手がiMessageのユーザーであることを示し、グループチャットやリアクション機能などiMessageのリッチなコミュニケーションが可能であることを示す。一方、グリーンはAndroidユーザーなどiMessageを利用できないユーザーであり、MMS/SMSのやり取りに限られる。

米国ではMMS/SMSの限定的なコミュニケーションが嫌われ、特に若い世代の間でiMessageのグループチャットに参加するためにiPhoneを選ぶ傾向が見られる。それがiPhoneユーザーとAndroidユーザーの間のコミュニケーションの障害になっている面もあり、GoogleはAppleにRCS(リッチコミュニケーションサービス)のサポートを求めている。だが、AppleはRCSの採用に消極的だ。

Nothing Chatsは、ユーザーがブルーで表示され、iMessageの多くの機能に対応する。これはiMessageとの間を取り持つSunbird Messagingのブリッジサービスを使用している。The Vergeによると、米国と欧州に中継役を担うMac miniを配置したSunbirdのサーバーファームがあり、ユーザーのロケーションに応じていずれかが割り当てられる。Apple IDによるログイン情報はトークンとして暗号化したデータベースに収納される。全てのチャットはエンドツーエンドで暗号化され、「ユーザーが送受信するメッセージにNothingまたはSunbirdがアクセスすることはできません」とNothingは述べている。

そうした主張に対し、外部のコンピュータにApple IDでサインインする懸念も指摘されている。だが、LINEやWhatsAppのようなクロスプラットフォームのメッセージングサービスが普及していない米国では、iMessage問題の解決を望むAndroidユーザーが多く、Sunbirdへのアクセスの順番待ちリストが長く伸びている。しばらくは、Nothing Phone(2)がSunbirdを優先的に使用し始められる方法になる。