次週の放送までに、再度、録画をリピート再生するほどハマっているドラマがある。それが『マイ・セカンド・アオハル(以下、マイハル略)』(TBS系)だ。くすぶっていた30歳のOL・白玉佐弥子(広瀬アリス)が、一念発起して大学に入学。憧れていた建築の勉強をすることに。住まいは同じ大学の生徒たちとルームシェア。そこで出会った小笠原拓(道枝駿佑)と恋に落ち……る……? というのが、あらすじ。

放送前から年下男子との恋愛や、大人の青春がテーマ。しかも透明感を背負って生きているような道枝くんが出演ということで、期待度数が頂点を超えていた。その期待は裏切られることなく、私を含む、中高年女性の心をまるで大網漁のごとく捕まえている。

  • 広瀬アリス

大興奮の第4話を終えて、私と同じく大網にまんまと引っかかっている友人と電話。彼女も中学生から筋金入りの年下男子好きである。

私「なんかさ、既視感あるんだよね、マイハル」 友「わかる」 私「……ねえ、ひょっとしてロンバケ?」 友「そうかも。似ているシチュエーションがある」 私「急いでまとめるわ。世間に知らせないと」

と、このコラムの執筆とつながった。そう、1990年代を風靡したドラマ『ロングバケーション(以下、ロンバケ略)』(フジテレビ系 1996年)。放送から27年経過した今も「ドラマと言えばな……」と語り草のように人気が続くドラマだ。確かに当時、リアルタイムで夢中になって視聴していた私から見ても、マイハルとの類似点はいくつかある。このコラムはけしてディスりではなく、敬意。約30年の時を経て、まるでオマージュするかのように誕生した、現代のロンバケかもしれないマイハルについて綴っていこう。途中、ネタバレがガンガンございますのでご注意ください。

ロンバケが起こした年の差恋愛革命とは

ここからは新旧ドラマを振り返りつつ、気づいた類似点を。

まずは「主人公ふたりに年齢差がある」。ロンバケは瀬名秀俊(木村拓哉)が24歳、葉山南(山口智子)が31歳と7歳差。マイハルは10歳差。今でこそ、年下男性とつき合うことは珍しくはないけれど、1996年代には超がつくほど、画期的なことだった。交際も結婚も男性が年上か、同級生が基本。うっかり結婚しようものなら披露宴で、どこかの親父がスピーチで「年上の女房はわらじを履いてでも探せと申しますが」と、ネタにされてしまう始末。ロンバケの放送が世の女性にどれだけ勇気を与えてくれただろうか。とにもかくにも、当時ロンバケの放送は画期的だったことだけは、作品の熱血ファンとして強く訴えたい。

まずはこの共通点を確認してから、次を読み進めて欲しい。

落ち着く男性、天真爛漫な女性のキャラ設定

続けて「男性側のほうが年下なのにどうも落ち着いている」。両作、天真爛漫な年上女性に比べて、男性のほうが冷静沈着。瀬名は一時期の恋のお相手、奥沢涼子(松たか子)から「詩人みたい(笑)」と言われるほど物静か。自分を表現することが苦手で、だからピアノを弾いていたらしい。

拓も建築の勉強においても、判断力も佐弥子よりやや上に立っている。佐弥子の些細な悩みも「佐弥子さんは人と比べすぎ」と、上沼恵美子ばりにズバッと解決。時には年下特権をフル活用して「佐弥子さんは素直で可愛い人だよ」と、突然、相手が腰を抜かすようなストレート発言をする。年齢なんぞ、男女間では関係がないことが名作を通して証明された。要はその人のキャラクターだ。ちなみに私は20代から本人の意思とは無関係に「姐さん」と呼ばれていたので、この現象は体感している。

加えて今回もヒロインそれぞれが"活きがいいお姉さん"設定。SNSで検索すると、広瀬アリスが山口智子の演技に似せているのでは? とあったけれど、それは違う。やっぱりキャラクターだ。ご本人の竹を割ったような性格、ゆえではないかと察する。

上記と同じ流れになるが「本気でケンカをしても男のほうから折れる」というのも、共通点。マイハルの第4話でも仲直りは拓のほうからで「パスタを作りすぎたから帰ってきて」とLINEをして、2人並んでランチと関係性は修復。そういえば瀬名もケンカの果てに瀬名マンから飛び出していく南を、ピアノの演奏で引き留めていた。

ドラマの鍵を握る、恋の当て馬たちが疾走

両作の共通事項をさらに深めていくと「恋の当て馬がそれぞれに存在する」。主役ふたりを取り巻く環境もなんとなく似ている。ロンバケでは、瀬名に奥沢涼子という片想いの相手がいた。南は元々、結婚相手に捨てられたところから物語が始まっている。終盤ではカメラマンの杉崎哲也(豊原功補)と恋に落ちるが、瀬名が救出にやってくる。

マイハルを見渡すと、佐弥子にはかねてから憧れていた日向祥吾(安藤政信)の存在がある。拓も同じく片想いだった、同居人の桂山キイナ(伊原六花)がいたけれど振られたばかり。ただキイナが今後も何かを仕掛けてくるムードは満タンである。

と、以上がマイハルとロンバケから見出した、共通点。時代が30年近く経過して、同じような恋物語にまたときめくことができるなんて、思いもよらず。長く生きているといいことがあると、実感した。

さて、現在放送中のマイハル。第4話の終盤ではなんとなく気になっていたふたりがキスをした。そのシーンを見ながら「お……」と思ったのは、ロンバケの回想。友人同士だったはずのふたりが、瀬名の何気ない「キスしよっか」の一言で、さわやかなキスをして、瀬名が南の肩に顔をうずめるシーンがなんとも可愛かった。最近、どうも物忘れが激しくなった私の記憶が確かなら、マイハルと同じくドラマ中盤のトピックス。

え? キスの真相を確かめたい? そういうあなたに朗報なのが、11月11日(土)からフジテレビ65周年記念ということで、過去作がTVer、FODにて無料で大量放出されている。その中になんとロンバケのタイトルもラインナップ。眼球は忙しいと思うが、マイハルと見比べてみるのもお勧めだ。念の為、注意をしておくがこの記事はタイアップではない。ひとりのドラマオタクによる、うるわしい回想である。