フレネミーは社交的でいい人、という仮面をかぶっているため、フレネミーと気付かずに仲良くなってしまうことも少なくありません。しかし、距離が縮まればいつのまにか自分がつらい立場に追い込まれてしまう可能性があります。
本記事ではフレネミーの特徴と見分け方、その心理を紹介。フレネミーに狙われやすい人の特徴や、上手な付き合い方もまとめました。
フレネミーとは? 言葉の意味を解説
フレネミー(frenemy)とは、「フレンド(friend/友達)」と「エネミー(enemy/敵)」を合わせて作られた造語で、「友達を装った敵」という意味です。アメリカ発祥で、「ミーン・ガールズ」などの映画や、「セックス・アンド・ザ・シティ」「ゴシップガール」などのドラマでも使われ、広まったといわれています。
「フレンド」と「エネミー」という相反する言葉を組み合わせているように、フレネミーには二面性があります。
表面上は友達のふりをしていますが、相手の弱点につけこんで陥れるような行動に出るため、注意が必要です。徐々に相手をコントロールしようとしたり、相手よりも優位に立とうとしたりすることもあります。
フレネミーは最初から「エネミー」の部分を見せてくるわけではないため、知らずに仲良くなってしまうケースも少なくありません。そして、徐々に本性が現れるようになり、気付いたときにはフレネミーによって追い詰められた状況に陥っている、ということもあるでしょう。
フレネミーは男女ともに存在しますが、特に女性間で問題になることが多いといわれています。
フレネミーの特徴と見分け方
フレネミーには共通した特徴があります。
「もしかしたらフレネミーかも」という人が周囲にいる場合、次のような特徴に当てはまる部分があるか確認してみてください。フレネミーの特徴を知っておくことで、被害を小さくできるかもしれません。
表と裏の顔がある
フレネミーの一番の特徴とも言えるのは、表と裏の顔がある点です。「友達」の仮面をかぶりながら、裏では「敵」の顔を持ち合わせています。
例えば仲が良いと思わせておいて、いきなり裏切ったり、急に押しのけて取って代わろうとしたり、相手の欲しがっていたものを横取りしたりといった、敵としての言動が見られます。
また、人によって態度を変えるような二面性を持っている場合も、フレネミーの可能性があるため気を付けましょう。
友達のふりをして陰で悪口を言う
より具体的なフレネミーの特徴として、親しげに近づいてきて相手の弱点や短所を探り、陰で悪口を言うという点が挙げられます。
例えば表面上は仲良くしているはずの相手について、陰で悪口を言っている姿を見たときには、注意が必要です。「私とは仲が良いから大丈夫」と思っていても、フレネミーは陰で、あなたの悪口も言っている可能性があります。
しかもフレネミーは「いい人」だと思われたいため、「他の人が言っていた」など、第三者が悪口やうわさ話を言っていたように装うことがあります。また、「私は気にしてないけど、みんな困っているらしいよ」というように、自分は悪く思っていないことを前提として主張しながら、ネガティブな情報を流すこともあります。
他人の不幸話やゴシップが好き
フレネミーの多くは、他人の不幸話やうわさ話が大好きです。
私たちは一般的に、失恋や仕事のミスなど他人の不幸な話を聞いたとき、本人が話さない限りは詮索しすぎないように気を遣う、ということが多いでしょう。しかしフレネミーは共感するふりをして、根掘り葉掘り話を聞き出します。
表面上は心配してくれているように見えるため、つい信頼して悩みを打ち明けてしまうこともあるでしょう。しかし、実際は情報を収集しているだけで、いつの間にか他人にばらされてしまう事態も起こり得ます。
他者のハッピーな話にはあまり興味を示さないのに、悲しい話や失敗談にはやけに興味を示す人には要注意です。
プライベートをしつこく聞いてくる
フレネミーの多くは相手のプライベートを知ろうとするため、しつこく私生活について聞いてくる傾向にあります。
なぜならば、他人のプライベートな話を聞いて、「自分の方が幸せだ」「自分の方がすごい」と比較して優越感に浸りたいからです。
また、相手の弱点をつかみたいと考え、プライベートを探っているケースもあります。この場合は、つかんだ情報を周囲の人に言いふらし、相手の評価を下げようとしているので要注意です。
その他にも、フレネミーは仲が深まってくると相手を独占したいという感情が芽生えやすいため、相手のささいな情報まで手に入れたいと考えて、プライベートを聞いてくるケースもあります。
人間関係を損得で考える
フレネミーは打算的で、人間関係を自分にとって損か得かで考えます。
そのため、自分にとってメリットがあると思った人には媚び(こび)を売ったり、人懐っこい態度をとったりとわかりやすいです。一方で、メリットがないと判断した人には、冷たい態度をとります。
特に、グループ内でも人気のある人や、上司、なんらかの権限がある人などに取り入ろうとするでしょう。自分にメリットがあると考えれば、「一緒に食事へ行きたい」「今度ゆっくりお話したい」などと積極的に近づいてきます。
また、もしあなたの人脈に興味がある場合も、「今度◯◯さんを紹介してほしい」などとしつこくねだってくるでしょう。
うそが上手で、平気でうそをつく
フレネミーの多くは、自分を良く見せるために平気でうそをつきます。そして、そのうそは巧妙です。
完全なうそではなくても、自分が有利になるように大げさに話すようなケースもあるでしょう。また、自分の成果のように偽り、人のアイデアや仕事を盗むこともあります。
うそは上手ですが、付き合いが長くなると、うそをついていると少しずつ周囲に気付かれるようになり、人が離れていってしまうことも少なくありません。
「あれ、そうだったっけ?」「なんだか辻褄が合わないな」といった、あなたが抱いたかすかな違和感は、正しいかもしれません。
マウントをとりたがる
フレネミーの多くは、人より優位に立ちたいので、何かとマウントをとってくる傾向にあります。楽しそうにグループで遊んでいる写真をSNSに載せたり、高い購入品を自慢したりなどして、人より優位に立とうとするでしょう。
マウントをとることで優越感に浸り、承認欲求を満たして自己肯定感を高めようとするのです。
SNSが派手な投稿で埋め尽くされていたり、「私なんて○○だから…だって…」と謙遜しながらも、実は自慢をしてきたりする人には要注意です。
他人をコントロールしようとする
フレネミーの多くは、他人をコントロールし、支配しようとします。
うわべは穏やかなように見えますが、友達のふりをして相手の弱点につけこみながら、徐々に相手をコントロールするのです。相手を家来のように扱い、自分が相手よりも優位に立つことに優越感を抱いて、自分の劣等感や自己肯定感の低さを守っているとも言えます。
なんだか妙に自分と違う方法をおすすめしてくる、命令してくる、と思ったら、危険かもしれません。
フレネミーになってしまう原因・心理
なぜフレネミーになってしまうのか、その原因や心理には、元来の性格や育ってきた環境などが関係している可能性があります。いくつか見ていきましょう。
負けず嫌い
フレネミーは、負けず嫌いであることが多いです。勝ち負けにこだわり、常に他人より優位に立ちたいため、何かとマウントをとろうとします。
相手の方が優れている場合、一般的には「自分が努力して相手よりも上になろう」と考える人が多いでしょう。しかしフレネミーは、相手を陥れるようなことをして、優位に立とうとします。優位に立つためならば平気でうそをつき、手段を選びません。
嫉妬深い
人の幸せや環境、容姿などをうらやましいと考えて嫉妬するような気持ちは、誰にでもあるでしょう。しかしフレネミーは、こうした嫉妬心が極端に強い傾向にあります。
私たちは一般的に、ちょっと嫉妬をしてもすぐに「仕方がない」と考えて諦めたり、嫉妬を向上心に変えて、自分がもっと成長できるよう努力したりするでしょう。一方でフレネミーは、嫉妬から相手を恨み、嫌がらせをしたり、陥れるような行動をとったりします。
劣等感が強く、自己肯定感が低い
劣等感が強い人も、フレネミーになりやすいでしょう。自己肯定感が低いため、他人への劣等感が人一倍強くなります。
そして劣等感をなくすために、他人を陥れるような行動をとるようになります。幸せな人がいれば邪魔しようとしたり、人の不幸話を言いふらしたりして、劣等感をカバーしようとするのです。
自己中心的
自己中心的で、「自分さえ良ければいい」「全てを自分の思いのままにしたい」といった考えのある人は、フレネミーになりやすいでしょう。
他人の気持ちに寄り添って考えることよりも、自分のためになることを優先して考えてしまいます。そのため、悪口を言いふらす、自分の有利になるようなうそをつく、手柄を横取りするなどの言動ができるのです。
フレネミーは物事を自分の思い通りにしたい気持ちが強いため、相手をコントロールしようとするケースも多いです。
フレネミーに狙われやすい人の特徴
フレネミーらしき人を身近で見付けた場合、自分や自分の大切な人がターゲットにならないように、できるだけ関わりたくないと考えるでしょう。
フレネミーがターゲットにしやすい人にもまた、共通した特徴があります。下記のような特徴がある場合、フレネミーから狙われやすいので特に注意が必要でしょう。
周囲から人気がある人
フレネミーは人間関係を損得で考えるため、人気者、人脈がある人に積極的に近づきます。友人の多い人や、職場で人気がある人、恋愛関係やプライベートが充実している人など、人の注目が集まりやすい人をターゲットにするのです。
そして親しげに近づいて相手へ取り入り、その人たちと仲良くすることで、自分の価値まで高まったと錯覚したり、人脈を利用したりします。しかし、次第に相手への嫉妬の気持ちや劣等感を募らせるようになり、弱点やゴシップを見つけては周囲へ言いふらすようになり厄介です。
幸せそうな人
フレネミーは他人の不幸話は好きですが、幸せな話には嫉妬します。
幸せそうな人には劣等感を抱き、自分が優位に立ちたいと考えるのです。そのため、近付いて行って幸せをぶち壊したり、マウントをとったりすることがあります。
また、周囲へ悪口やうわさ話を流し、幸せな相手を陥れようとすることもあるでしょう。
見た目が華やかな人
美人やカッコいい人、ブランド品を身に着けているなど、見た目が華やかな人もフレネミーに狙われやすいです。
フレネミーの嫉妬心や劣等感を湧き立たせ、「相手を不幸にしたい」「相手を自分より下にしたい」と思わせるためです。
また逆に、フレネミーは自分にメリットがあると考える人には媚びを売る傾向があります。華やかな人は周りから人気があったり、幅広い人脈を持っていたり、芸能界とつながりがあったりという人も多いので、それを利用しようとフレネミーが忍び寄ってくることもあります。
いきなり不自然なほどの親しみを込めて近づいてくる人には、注意が必要です。
仕事ができる人
職場にフレネミーがいる場合、仕事ができる人はフレネミーのターゲットになりやすいと言えます。フレネミーは他人より優位に立ちたいため、自分より仕事ができる人をねたみがちです。
相手の評判を下げて自分が上に立てるようにしたり、仕事のアイデアを盗んで自分の手柄にしたりと、仕事のできる人は被害を受けやすいと言えます。
他人の話を信じやすい人
他人の話を信じやすい人は、フレネミーにとって好都合な存在です。深く考えずに相手の話を信じるため、「あの人は○○らしいよ」「あの人から聞いた話だけど」といったフレネミーによるうわさ話や悪口を、すんなりと信じてしまう傾向にあります。
フレネミーの意見にも素直に耳を傾けるため、フレネミーがコントロールしやすい存在になってしまいます。他人の意見を信じ、流されやすい人は注意が必要です。
フレネミーから身を守るための対処法
フレネミーが身近にいた場合、関わらないようにすることが一番です。しかし職場や学校など、一切の関わりを断ち切るのは難しい、ということも。そこで、フレネミーとうまく付き合うために、次のような対処法を試してみてください。
適度な距離を保ち、会話は必要最低限に
フレネミーだと気付いた相手とは、適度な距離を保つように心掛けましょう。
深い関係にならないように自分の話はできるだけせず、一緒に出掛けることや食事することなどは避けます。
職場や学校の人間関係の場合は、割り切って必要最低限のみ付き合うようにすれば、適度な距離を保ちやすいでしょう。無視をすると逆恨みされるかもしれないので、あくまで必要なときは会話をする必要があります。
プライベートな話をしない
フレネミーは情報を得るために相手のプライベートな話を聞きたがり、その話を他人に平気で広めます。
フレネミーのうわさ話のネタにされないためには、プライベートな話を極力しないようにすることです。プライベートについて聞かれたときには笑顔でごまかし、話題を変えましょう。
あまりにしつこい場合は、「ごめんね、その話はしたくないんだ」と、はっきり断ってもいいかもしれません。
自慢話をしない
自分に良いことがあったらつい自慢したくなるものですが、フレネミーに自慢話は禁物です。
フレネミーは他人の自慢話を嫌います。あなたが自慢話をすれば、マウントをとろうとしたり、嫉妬から悪口や変なうわさ話を広められたりする恐れがあります。
悩みや愚痴、悪口を言わない
特に精神的につらいときなどには、親身にされると悩みや愚痴、誰かの悪口をこぼしたくなります。そんなあなたの弱みにつけこんで、フレネミーは「話を聞くよ」と親切に声を掛けてきます。
しかし、フレネミーに悩みや愚痴、誰かの悪口を言えば、その話は拡散されてしまう恐れがあるため、注意が必要です。また、実際には言っていないことまで加えられ、誇張した話が広まる可能性があります。
大事な話をフレネミーに話すことは避け、親身に近づいてきても警戒するようにしましょう。
悪口に同調しない
フレネミーは陰口が大好きなので、あなたにも他の人の悪口やうわさ話をしてくるでしょう。
そうしたときには、「そうなんだね」「へえ」などのように短く伝え、話を聞き流すようにします。
なぜなら、フレネミーの話す悪口に同調すれば、あなたが悪口を言っていたように噂を広められる可能性があるからです。同意を求められた場合には「分からない」と答えたり、話題を変えたり、何か用事を見付けてその場を離れたりしましょう。
二人きりになるのは避ける
フレネミーの話を適当にあしらうことが難しいという場合には、できるだけ二人きりになることを避けましょう。
一対一で話せば、どうしても話をしないわけにはいきません。そうなると、プライベートな話をせざるを得ない状況になったり、他人の悪口などを聞いたりする危険性が上がります。
複数人で話していれば、自分が話さなくてもいいですし、困ったら他人に話題を振ることもできます。どうしても関わらなければならないときは、複数人の輪の中で関わるようにしましょう。
相手のことを褒める
フレネミーはプライドが高く、褒められることが大好きな人が多いです。
特に話題に困った場合には、相手を褒めるのも一つの手です。持ち物や洋服、メイク、髪型などを褒めれば喜ぶでしょう。
ただし、あまりやり過ぎると必要以上に気に入られてしまう危険があるため、ほどほどにしましょう。
フレネミーから自分の身を守りましょう
フレネミーは友達のふりをして近づき、陰ではあなたの悪口やうわさ話を広めたりする存在です。場合によってはあなたを支配しようとしてくることもあるかもしれません。
身近にフレネミーがいることがわかったときには、うまく対処してターゲットになることを回避してください。ストレスのない日々を過ごすためにも、フレネミーから自分の身を守りましょう。