ヤマハミュージックジャパンは、独スタインバーグの開発による音楽制作用デジタル・オーディオ・ワークステーション(以下DAW)・ソフトウェア「Cubase(キューベース) Pro 13」と、 その機能を厳選して搭載したミッドレンジグレード「Cubase Artist 13」、 エントリーグレード「Cubase Elements 13」のダウンロード販売を開始した。価格はオープン、Steinberg Online Shopでは、「Cubase Pro 12」が69,300円、「Cubase Artist 12」が39,600円、「Cubase Elements 12」は13,200円。パッケージ版も順次発売を予定している。

  • 左から「Cubase Pro」「Cubase Artist」「Cubase Elements」

今回のバージョンアップでは、インスペクター左ゾーンへの「チャンネルタブ」の追加やMixConsoleのグラフィック刷新、コードパッドのデザイン刷新などのアップデートが施されている。主な新機能は以下の通り。

  • チャンネルタブの追加による作業効率化
    インスペクターの左側に「チャンネルタブ」を追加。トラックのインサートやセンド、フェーダーなどへのアクセスがしやすくなり、より効率的なワークフローの実現が期待できる。
  • 追加されたチャンネルタブ

  • MixConsoleのグラフィックが刷新
    MixConsoleのグラフィックが刷新され、プロジェクトウィンドウとデザインが統一された。コンソール上部にもトラック名が表示されるなど視認性が向上したほか、インサートやセンドセクションなどの表示順を変更可能になるなど、カスタマイズ性の向上も図られている。
  • MixConsoleのグラフィックを刷新

  • コードパッドのデザインを刷新
    コードパッドのデザインも刷新。コードパッドタブ右側にはアシスタントゾーンが追加され、コードエディタ、リスト、五度圏などの表示が可能となっている。1つのコードパッドを選ぶと、そのコードとの音楽的な関係性によって他のパッドが緑~赤で色分けされるため、音楽理論初心者でもより感覚的なコード進行の作成ができる。
  • コードパッドのデザインも刷新

  • サンプラートラックの進化
    再生セクションに新たに「スペクトラルワープモード」を搭載し、極端なタイムストレッチなどにも対応する。各種エンベロープを用いて、よりユニークな表現も実現する。
  • サンプラートラックが進化

  • 新プラグイン「ボーカルチェイン」(「Cubase Pro」「Cubase Artist」のみ)
    搭載された各種モジュールを使って、ボーカルを総合的にコントロールできるプラグイン。左側のモジュールの上から下に信号は処理され、各モジュールはクリーン、キャラクターのセクション内で、任意の順番に変更できる。
  • 新プラグイン「ボーカルチェイン」

  • 新プラグイン「Black Valve」「EQ-P1A」「EQ-M5」「Vox Comp」「Vocoder」
    各種新プラグインを追加。以下プラグイン(Vocoderを除く)は新プラグイン「ボーカルチェイン」にもモジュールとして搭載されている。
  • Black Valve(Cubase Proのみ)

  • EQ-P1A(Cubase Proのみ)

  • EQ-M5(Cubase Proのみ)

  • Vox Comp(Cubase Pro/Artistのみ)

  • Vocoder(Cubase Pro/Artistのみ)

  • オーケストラ音源「Iconica Sketch」
    リアルさを追求したオーケストラライブラリ「Steinebrg Iconica」シリーズより、楽曲制作のヒントとなるサウンドを抜粋。34の楽器と140のアーティキュレーションでオーケストラサウンドの作成が行える。
  • オーケストラ音源「Iconica Sketch」

  • キーエディターの進化(「Cubase Pro」のみ)
    キーエディター左ゾーンに「Visibility」が新設され、複数のパートの表示・非表示をキーエディター上でコントロールできるようになった。また、キーエディター上で範囲ツールが使用可能になっている(範囲ツールはCubase Artist/Elementsにも搭載)。
  • キーエディターの進化

  • ショートカットウィンドウの刷新
    ショートカットウィンドウのGUIが刷新され、「すべて」「割り当て済み」「カスタマイズ済み」「未割り当て」の4つの表示フィルターが追加されるなど、ショートカットの検索効率が向上。新しいショートカットウィンドウでは、ウィンドウを閉じなくても変更が適用されるので、複数のショートカットを確認しながら登録しやすくなった。
  • ショートカットウィンドウの刷新

  • その他の編集ワークフローの向上やサンプルパックの追加
    モノ/ステレオトラックの切り替えが可能になったほか、別プロジェクトからトラックをインポートする際にタイムレンジの設定機能が追加、タップテンポがプロジェクトウィンドウ上でコントロールできるようになるなどの機能が追加、改良されている。新たに5つのサンプルパックも追加。

Steinberg Online Shopで販売が始まっている製品は以下の通り。パッケージ版も順次発売する予定とのことだ(括弧内はSteinberg Online Shopでの価格)。

  • Cubase Pro 12 通常版(69,300円)
  • Cubase Pro 12 クロスグレード 通常版(44,000円)
  • Cubase Pro 12 アカデミック版(44,000円)
  • Cubase Artist 12 通常版(39,600円)
  • Cubase Artist 12 アカデミック版(24,200円)
  • Cubase Elements 12 通常版(13,200円)
  • Cubase Elements 12 アカデミック版(8,800円)

クロスグレード版は、競合他社のDAWユーザーを対象としたディスカウントで証明書の提示が必要。アカデミック版は、学生および学校教員、教育機関向けの優待販売版で、購入の際には、学生証、教員証等のコピーが必要となる。また、アップデート版、アップグレード版の提供も合わせて行う(詳細はスタインバーグサイトにて確認できる)。

動作環境は以下の通り。

  • Mac:macOS Ventura/Monterey、Intel Core i5(late 2015以降)またはApple Silicon、8GB以上のメモリ、1,440×900ピクセル以上のディスプレイ
  • Windows: 64bit Windows 10 Version 22H2以上、64bit Windows 11 Version 22H2以上、Intel Core i5(4th Generation)/AMD Ryzen、8GB以上のメモリ、1,440×900ピクセル以上のディスプレイ、Windows 10に対応したグラフィックカード

また、「Cubase Pro」「Cubase Artist」はMac/Windowsともに75GB以上のディスク空き容量、「Cubase Elements 12」はMac/Windowsともに55GB以上のディスク空き容量が必要。その他、OS対応オーディオデバイス(ASIO対応デバイス推奨)、インストール、ライセンスアクティベーション、ユーザー登録などにインターネット接続環境が必須となっている。