Blizzard Entertainmentが11月3日から4日までアメリカ・カリフォルニア州、アナハイムで開催していたリアルイベント『BlizzCon』からメディアとして招待を受けたので、現地参加してきました。
同社といえばMicrosoftへの買収が世界中で取り沙汰されるニュースとなって注目を集めたほか、『ディアブロ4』の記録的セールス、『オーバーウォッチ2』における競技シーンの変遷など、大きな流れの只中にいる印象。FPSゲーム好きの筆者はいちオーバーウォッチ2プレイヤーでしかなかったため、イベントを通して同社の姿勢をうかがい知ることができればいいなと考えて参加した次第です。
忙しい方向けにまとめておくと、BlizzConの目玉発表はまさかのスマートフォン向けゲーム『ウォークラフト ランブル』。ディアブロ4待望の新エキスパンションや、オーバーウォッチ2の新タンクヒーローのお披露目に加え、今回K-POPアーティスト「LE SSERAFIM」とのコラボレーションも行われています。個々のニュースを詳細に紹介するというより、会場の様子や雰囲気についてお届けしようと思います。
会場はカリフォルニア州アナハイム。ディズニーランドのすぐ近く
そもそもBlizzConとは、2005年から続く同社にとって歴史のあるオフラインイベントです。今年は4年ぶりの大規模イベントとなり、Microsoftからの買収後かつ、『ディアブロ4』という超大型IPの世界的成功の後ということもあって大きな節目となりました。近年開催されていなかったのは新型コロナウイルスの感染拡大に伴うもので……というのもありますが、2022年度は同社におけるセクシャルハラスメント問題が取り沙汰され、開催を見送っていた経緯があります。
基調講演ではBlizzardが展開する各種IPについて“What's New”を説明し、挨拶を実施。『オーバーウォッチ』『ディアブロ4』『ウォークラフト』『ハースストーン』『ウォークラフト ランブル』における新要素を紹介していきました。
ややサプライズとなったのは、なんと米Microsoft CEOであるフィル・スペンサー氏が登場したシーン。同氏は『ディアブロ』シリーズがかつてより大好きだったと話し、Blizzardのファンとのやり取りを楽しみつつ挨拶を行いました。
ざっくりと各タイトルにおける新情報についてまとめると、オーバーウォッチでは新タンクヒーロー「マウガ」が登場。ディアブロ4はエキスパンション「Vessel of Hatred」が2024年の発売が予告され、ハースストーンでは新規向けに最新環境まで追いつきやすいコンテンツ発売が発表されました。
ウォークラフト ランブルは、同社としては『ディアブロ イモータル』ぶりのスマートフォン向けゲーム。ディアブロ イモータルは強烈なPay to Win要素や、そもそもスマートフォン向けというプラットフォームがあまり受け入れられず、結局Blizzard側が折れる形でPC版も提供されるようになったタイトルです。ウォークラフト ランブルでは、うまくモバイル向けの市場を開拓できるでしょうか。
ちなみに基調講演を聞いていて特に驚いたのは、アメリカにおいてウォークラフトのIPがきわめて強力だった点です。日本にいるとあまり馴染みがないこともあったので、ディアブロとオーバーウォッチに終始するかと思いきや、かなりの時間がウォークラフト関連の発表に割かれていた点がとても印象的でした。
会場の様子を写真で一挙紹介! 現地ではOverwatch Leagueも観戦できた
Anaheim Convention Centerは、4つのつながったホールと1つのアリーナで構成されている展示場です。今年はこのホールAからホールDまでが各タイトルに割り振られており、独自の世界観を堪能可能。ホールBではついにグランドファイナルを迎えたOverwatch Leagueが開催され、来場者は自由に客席に入場して観戦することができました。
個人的に印象的だったのは、ガラガラとは行かないまでも混雑が程よく、とても快適に展示を見て回れたところ。日本国内で行われるこの手のイベントは“芋洗い”状態かと思うほど過密状態になっているものも多いですが、BlizzConはチケットの販売数を上手に制御しているのか超満員状態ではありませんでした。座りたい場所に座れて、何かに多少並んでも気にならないくらいです。
ホールを見て回ったところで、今回のイベントの目玉コンテンツであるLE SSERAFIMのライブに参加! アリーナは直前までコスプレのファイナリストを選出するコンテストが開催されており、忠実なリリスの衣装を披露したユーザーが受賞していました。さすがにライブは入場が規制されるほどで、会場の外は始まる前から長蛇の列。スムーズな入場にはかなり前のプログラムから座席を確保しておいたほうがベターだったかもしれません。
BlizzConを通じて感じたもの
今回BlizzConに現地参加してみて感じたのは、なんといっても『Warcraft』の存在感がとても大きかったことです。供給側の熱意もそうですが、参加者の熱量がとても大きかったことが印象に残りました。オフライン用のタイトルに加えて、現行タイトルとしてもMMORPG『World of Warcraft』が多くの人に遊ばれていることを実感。
日本は長い間MMORPGとして国産タイトルも充実していたほか、韓国産のタイトルにも手軽に触れられる恵まれた環境でもあり、アメリカ発の同作はなかなか個人的に馴染みのないもの。筆者はストリーマーのshroud氏の配信くらいでしか見たことがなかったので、やはりとても新鮮に感じました。
筆者が個人的に好きな『オーバーウォッチ』については、リアルワールドのポップなコンテンツとのタッチポイントとして上手に機能していた一方、ゲーム単体としては他社競合ゲームタイトルに対してやや劣勢に立たされているような印象が拭えません。同社が主催する競技シーン「Overwatch League」もついに公式に終了することになり、先行きはやや不透明だと言わざるを得ないでしょう。
競技シーンへの注目は裾野である一般プレイヤー層の広がりに大きく影響するため、ぜひ再建してほしいところ。ゲームシステム面やヒーロー性能面の調整にもしばしば大胆な舵取りが行われることもあり、いまだ『オーバーウォッチ2』におけるライブサービスとしての安定感は前作ほどではない印象です。とはいえ、世界中からファンが集まるオフラインイベントが大盛況で幕を閉じ、K-POPスターとのコラボレーションのような旬の施策にもキャッチアップしてきた点はかなり好印象。
一方、『ディアブロ4』は本当に強力なライブサービスとして稼働することに成功しているとも強く感じました。レベル100までのレベリングをなんと40%も簡略化するなど、一般的なゲームではライフタイムを大きく損ねそうな施策も大胆に展開。開発者インタビューでは、ディアブロの本当に楽しいところを気軽に体験できるよう改善を続けているほか、ユーザーコミュニティとの対話に力を入れている姿勢についても知ることができました。
Blizzardは最近日本オフィスをリニューアルして注力してくと表明しており、国内におけるIP展開がより強まっていけばいいなと思います。