俳優のムロツヨシ、平手友梨奈が出演するフジテレビ系ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』(毎週金曜21:00~)。この秋、同局で54年ぶりに新設された「金9ドラマ」の第1弾で、元人気女優の敏腕マネージャー・蔵前勉(ムロ)が、ひょんなことから空回りがちの新人弁護士・天野杏(平手)のパラリーガルとして再就職し、再起をかけて奮闘するリーガルエンタテインメントとなっている。
プロデュースを務めるのは『グッド・ドクター』『監察医 朝顔』『PICU 小児集中治療室』などを手がけた金城綾香氏。登場人物の心情や日常を丁寧になぞる日本のドラマならではの手法に定評があり、月9枠でまるで朝ドラのような『監察医 朝顔』を制作してヒットさせた新進気鋭のプロデューサーだ。そんな彼女は、今作の第1話の舞台に「テレビ局」を選んだが、その理由とは――。
■『HERO』のようなエンタメ性の高い法律ものを
――昨今、配信も含めてドラマが増加しています。そんな中での「金9ドラマ」第1弾ですがプレッシャーはあったでしょうか?
おっしゃる通り昨今ドラマが増えていますので、そこにさらに金曜日にドラマを作るということ自体、どんなふうに受け入れられるか心配なところはありました。もしかしたら埋もれてしまうかもしれない…。そこで、自分が金曜日にどう過ごしているかをまず考えました。
1週間、働き学び、金曜は皆さんお疲れになっている曜日ではないか。過去には「花金」という言葉もありましたが、コロナ禍を経て落ち着いた週末を過ごしたいと思われる方も多いのではないかと。そんなときに、ハハハと笑って観られるようなエンタメ性を持ち、また飲み会が入って見逃しても1話完結で安心できる作品、元気な登場人物に出会えてパワーをもらえる明るい作品がいいのではないかと考え、本作に至りました。
――その中で、わりと固い印象のある弁護士をテーマにしたのは?
コメディだけに振ってしまうと、知的好奇心のある方にとって物足りない可能性があると危惧したからです。弁護士ものは若い方も年配の方も興味のあるジャンルで、湿っぽくなりすぎず楽しめる。木村拓哉さん主演の『HERO』もエンタメ性の高い法律ものでしたし、私は弊社のそうした名作も楽しく見ていた世代。ああいった作品をもう1回見たいと思い、自分で作ってみた次第です。
■ムロツヨシ&平手友梨奈、キャスティングとキャラ付け秘話
――バラエティでも芸人顔負けで人を振り回せるムロさんが振り回され、ミステリアスな印象もある平手さんがバディというコントラストが実に見事だと感じたのですが、どのようなキャスティングを?
あのムロさんが振り回される、となったときに、自分だったらこの女優さんに振り回されたいなと思ったのが平手さんだったんです。魅力的でありパワフルで、作品によって見せる表情がいつも違う彼女に、冷たいように見えて実はコミカルというキャラクターを演じていただきたい、そう思いオファーしました。
――彼女のチャーミングさも表現されているように思います。
実は、これが平手さんにとっては初のオリジナルドラマ作品なんです。いちからキャラを作り出す中で私も様々なお話をさせていただきました。その中で面白かったのが、マネージャーさんが平手さんと待ち合わせで会えなかったというエピソード。例えば、南青山3丁目が待ち合わせ場所だとして、彼女はスマホに「青山3丁目」と打ってしまった。やっと連絡が取れたと思ったら平手さんが「私はどこにいるんでしょうね」と(笑)。この話がすごくかわいかったので第1話に入れさせていただいたり。あとは打ち合わせで食事をしている姿がかわいかったので、杏も糖分補給でグミを食べるというキャラ付けがされました。
――現場でのおふたりの様子はいかがですか?
ムロさんはスタッフに対して、まるで本当に蔵前さんのように気遣いをしてくださっています。平手さんとお話ししているときは結構真剣に打ち合わせされています。初のオリジナルドラマということで平手さんが先輩であるムロさんに相談されていたのですが、ムロさんはそれがうれしかったみたいで(笑)。波長も合うようで、舞台裏では立場がちょっと違うバディ感を感じています。