家庭での冬野菜保存方法
石川県で「菜園生活 風来(ふうらい)」を営む私が野菜セットを全国に発送するようになって23年。発送の際にはお客さんに野菜の保存方法や調理法などを伝えてきました。同じ野菜でもスーパーに並んでいる野菜と直売所や農家直送の野菜では、保存方法に違いがあるからです。今回は私がお客さんに伝えてきた野菜の保存方法の中で、反響が大きかったものをお伝えします。
ミズナ、コマツナ、シュンギクなどの葉野菜
一般的に葉野菜は、冷蔵庫の野菜室に立てて保存すると長持ちします。
葉野菜は店頭に並ぶ際、ボードン袋と呼ばれる水分によって曇らない袋に入っていることが多いと思います。この袋には鮮度を保つ役割もあります。
スーパーで購入するものはシッカリと水切りしてから袋詰めされているものがほとんどです。しかし直売所や農家直送野菜の場合は洗いたてですぐ袋詰めされる場合もあり、袋の中の水分が過剰になってしまうことがあります。水分が多いと腐りやすくなるので、早めに余分な水分を取り除きましょう。
おすすめの方法は野菜を袋ごと逆さにして水切りをすること。袋の葉先側が閉じられている場合は、開けて水が出るようにしましょう。また、水を切った後に袋から出して新聞紙で包むとより長持ちします。
新聞紙には吸水効果と保湿効果があります。今の新聞は大豆インクや植物油インクが使われることが多く、以前より安全性が高くなったといわれています(完全に安全とは言い切れませんので気になる人は使用しないでくださいね)。
長ネギ
長ネギは立てて保存することで長持ちしますが、そのままでは冷蔵庫に入らないので、3等分に切り分けて保存しましょう。また、根を切り落として新聞紙に包むとより長持ちします。
刻みネギにして保存容器や保存袋で冷凍しても大丈夫です。その場合は冷凍庫に入れて1時間ごとに取り出して振るという作業を何回か繰り返しましょう。そうすると冷凍の過程でネギ同士がくっつかずバラバラになるので、使いやすくなります。
キャベツ
キャベツは冷蔵庫の温度の低い場所で保存しましょう。芯をくり抜くと長持ちします。ただ包丁だと難しく危険です。オススメなのが100円ショップでも販売しているリンゴの芯抜き。これを使うと楽にできます。
そのくり抜いたところに湿らせたキッチンペーパーを詰めて、外葉から使用していくと2〜3週間は使えます。
ハクサイ
冬場は丸のままだと常温で保存可能です。新聞紙に包んで冷暗所に立てて置き、外葉から使うと長持ちします。カットしたものはラップでシッカリ包んで冷蔵庫の野菜室に立てて保存してください。室温が高い場合も、冷蔵庫での保存がおすすめです。
食べきれない場合はひと口大にカットして、重量の2.5%の塩と共に冷凍保存用の厚手のチャック付き袋に入れて袋ごともむと、それだけで浅漬けになります。昆布やニンジンなどを加えるとよりおいしくなります。完成した浅漬けを保存する際は、ハクサイから出た水は捨てずに、そのままチルド室に入れると2週間ほど保存が可能です。塩分があると氷点が下がるので凍らず、そのままの歯ごたえが楽しめます。
ダイコン
葉付きのダイコンを購入した場合は、葉を根元からカットしましょう。葉が残っていると可食部分である根から栄養を吸ってしまい、長持ちしません。葉はビタミンCが豊富なので、細かく刻んでゴマ油でジャコと炒めるのもオススメです。
ダイコンは2~3等分して畑にあった時と同じ向きに立てて野菜室にて保存してください。こちらもビニール袋より新聞紙の方が長持ちします。
ニンジン
ニンジンは簡単に長持ちさせられそうですが、保存方法でかなり違ってきます。
ニンジンは水分が付いていると腐りやすくなるため、買ってきたら必ず袋から出して水気を取りましょう。また乾燥に弱いため、そのまま置くのもよくありません。
1本ずつペーパータオルで包んでから乾いた袋に入れ、縦に置いて保存(常温も可)すると驚くほど長持ちします。
ジャガイモ
ジャガイモは常温にて暗いところで保存してください。直射日光などが当たらないように、覆いをかけるのも手です。
ジャガイモを放置していたらシワシワになってしまうことがありますよね。傷んでしまったように見えますが、実はその状態のものは水分が抜けてうまみ、甘みが強くなっています。ぜひ捨てずに調理してみてください。特にフライドポテトは最高です。また、芽が出てしまった場合は取り除いてくださいね。
サツマイモ
スーパーなどで販売されているサツマイモは「キュアリング処理」をされているものがほとんどなので、常温保存で大丈夫です。新聞紙やキッチンペーパーで包み、屋内の10℃以下にならない場所に置いておきましょう。
キュアリングとは、サツマイモを収穫後3〜4日間、高温かつ高湿度の条件下に置いて収穫時についた傷などを自然治癒させる処理のことです。これにより表面がコルク化し、雑菌の侵入を防ぎ腐りにくくなります。
ただし、直売所で購入するサツマイモの場合、キュアリング処理がされていないものもあります。その場合は端が黒ずんでいないものを選び、暖かいところで保存してください。冷たいところだと腐りやすくなります。新聞紙に包んで冷蔵庫の横におくと冷蔵庫のコンデンサーの熱で多少暖かい状態になります。
冬野菜を畑で保存する方法
冬は収穫物が少ないように思えますが、ダイコンやキャベツ、ハクサイ、ブロッコリーなど意外と多くあります。収穫してしまうと日持ちしないものもありますし、また保存場所の確保などにも苦労します。
そこで、畑で保存できるものはないかと、これまでいろいろと試してきました。その結果、畑にそのまま置いておけるものを見つけましたので、今回はそれをお伝えしたいと思います。少量多品種で栽培している農家さんや家庭菜園愛好者の皆さんの参考になれば幸いです。
サツマイモは畑で保存できないので注意!
まず寒くなる前に収穫が必要なのはサツマイモです。サツマイモは寒さに弱いので、畑に置いておくと腐ってしまいます。収穫量が少ない時は先述したように冷蔵庫の横などで保存すればいいのですが、量が多い時は発泡スチロールや米袋の中にサツマイモとモミガラを交互に入れ、空気を含ませ保温性を高め、できるだけ暖かい場所におくとよいでしょう。
サトイモ、ジャガイモは畑で保存
サトイモ、ジャガイモは意外と寒さに強く、畑で収穫せずに置いておくことができます。そのため、重量のある根菜を一気に運ばなくてもいいのが利点。ただし霜が直接当たるとそこから腐敗してしまうので、不織布をかけるか厚めにモミガラをまいておくとよいでしょう。
その他根菜類の畑での保存方法
寒さに強く真冬でも収穫せずに置いておけたのがニンジン、そして辛味大根、黄色カブ(西洋カブの一種)です。風来でもこれらは野菜セットの真冬の貴重な野菜として重宝しています。雪が降らないところではそのままで大丈夫ですが、雪が深いところでは雪に触れたところが変色してしまうので不織布などかけておくといいでしょう。
ダイコンも雪の降らないところではそのままで大丈夫ですが、地上部に雪や霜が当たると悪くなってしまいます。ダイコンには土中保存といって土に埋める保存法があります。葉を切り落とし、深さ20~30センチの穴を掘り斜めに寝かせ、土をかけておくと春先までもちます。
春先はダイコンも不足気味になります。直売所などでも高値で販売することができるので、余裕がある人は試してみてはどうでしょう。
保存方法によって価値が大きく変わるのが生鮮品。中でも冬野菜は少しの工夫で大きく変わってきます。冬野菜を長くおいしく楽しんでもらえればと思います。