ピカソの名前、言えますか。パブロ・ピカソ? もちろん間違いではありませんが、正式には「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ホアン・ネポムセーノ・マリーア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアーノ・デ・ラ・サンディシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ」というんですよね。は~長い…。もし手書きサインするとしたら大変でしょうね。じゃあ、印鑑にしてしまったら? そう、実はこの94文字を印鑑にしちゃった会社があるんです。

こちらが『彫れたら絶対にすごいし面白いから見てみたい』と乗せられて彫ったのに全くと言っていいほど反響がなかった "ピカソのハンコ" です

  • (X 永江印祥堂【公式】@nagaeinsyoudou より引用)

  • (X 永江印祥堂【公式】@nagaeinsyoudou より引用)

この判子を企画・製作したのは島根県松江市にある 永江印祥堂さんという会社です。創業が昭和45年なので半世紀以上の歴史ある印鑑の製造会社なのですが、「唯一無二」をキャッチフレーズに掲げる会社だけにやることがユニーク。樹齢1000年以上の「屋久杉」で印鑑を作ったり、寿限無の印鑑を作ったり…。

それにしてもピカソの判子。よく見てください。「デ」や「ポ」など濁点や半濁点も潰れることなく見事に再現されています。1円玉よりも小さいスペースに大量の文字を刻む技術に、フォロワーたちも太鼓判を押しています。

「スゴい技術! 」「もっと日の目浴びて」「す、スゴすぎる…」「゜のところとかなんかゾワってしますよね」「ピカソの名前を彫るなんてすごい根気ですね! 」「ちゃんと読めるのが凄い」「文字が潰れたりしないんだ…綺麗〜」などなど。投稿者である永江印祥堂のご担当者さんにお話を伺いました。

■投稿者に聞く

……なぜピカソの名前に挑戦しようと考えましたか。

「脱ハンコ」宣言とコロナが重なり弊社の売り上げが低迷していた頃(2021年10月)にオンラインショップの売り上げを伸ばすため、公式SNSを立ち上げました。SNS内で弊社のことを紹介していく中で、特に素晴らしく他社には真似のできない弊社の「職人の技術」をたくさんの人に見てもらえれば、印鑑に関心を持ってもらえるしPRにもなると考えました。

そして、昨年10月より1.2センチの印章の中に87文字を彫刻した物に挑戦したことをきっかけに沢山の注目を頂けるようになり、その後、より細かい文字を彫刻したり、ユニークな印章に挑戦していく中で、フォロワーさんより「ピカソの名前を彫ってほしい」と要望があったため、チャレンジしてみました。

……作成する上で最も苦労した点は?

文字編集では、捺印した際に文字がつぶれないように濁点や丸は特に注意を払い、さらに読みやすさを考え文字の配置や線の太さにも気を配りました。彫刻の時には、使用刃の選択、彫りの速度・深さの調整などを繰り返し調整し、最後に綺麗に捺印できるように細かな所まで気を配り手仕上げを行った点です。

……実際に作成した判子を捺した時の感想は?

編集・彫刻し綺麗に捺印が出来た時には、『よし、綺麗に彫れてる。皆様に弊社のこの技術力を広めたい』というのが感想です。

……今後挑戦してみたい判子はありますか

具体的にはありませんが、皆様をびっくりさせるような挑戦をしていきたいと思っております。

▼こちらが『彫れたら絶対にすごいし面白いから見てみたい』と乗せられて彫ったのに全くと言っていいほど反響がなかった "ピカソのハンコ" です